鉄道計画!
「鉄道ですか?」
「うむ。西のアインメイツ合衆国という国で、2本の鉄を並べたレールというものの上を走らせ、馬に牽かせる馬車があるそうだが、少ない牽引力で多くの人や荷物が運べるそうだ。それを蒸気機関や軽油エンジンで出来んかと思ってな。」
なるほど、蒸気機関車とかディーゼル機関車ですか。
「開発は可能だと思いますが、建設するのに手間がかかりそうですね。」
運河は国の物でもなく共通の物だと言う認識のため、ある程度は自由に出来るが、鉄道のように陸地を走る場合は、その土地を持つ貴族や皇族に許可を貰わないといけない。特に、交通手段ともなれば、貴族達に利益を何%か払わないといけない。
「うーん、お爺様、貴族の方達との交渉をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「うむ。フィナのためなら、何でもするぞ!貴族共を一人残らず冥土に送ってやる!わっハッハッは!!!」
「お爺様、冥土に送らないでください。」
貴族との交渉はお爺様に任せて、私は皇帝陛下に許可を貰いに謁見の申し込みを行います。
皇城の一室、客人を待たせるための部屋にいます。謁見の申し込みをしたところ、皇帝陛下から「暫し待たれよ。」と伝言を伝えられ、待ってるのですが、もう1時間ほど経ちました。
コンコン
「失礼いたします。皇帝陛下との謁見の準備が整いました。ご案内いたしますので、着いていただきますようお願いいたします。」
「畏まりました。」
皇城の豪華絢爛な廊下を進み、衛兵が両脇に立つ巨大な扉の前で立ち止まると、侍従達が扉を開け、中に入り皇帝陛下の玉座から少し離れたところで立ち止まり跪きます。
「表をあげよ。」
顔をあげると、50か60代くらいの金髪の髪を後ろへと撫で付け、髭も整えられ立派な口髭が生えていて、まるで全てを見透かしてるような深い青色の瞳からは目が離せなくなる。
この男が大陸の中でも三大大国と言われるタンデヴィシュ皇国の皇帝であるアラクサンド・ヴォルト・タンデヴィシュである。
「そなたがリバーサイド鉱業商会の会頭のフィナ・リバーサイドか。若いな。もっと年齢が上だと思っておった。」
まあ、そうですよね。私みたいな小娘が次々と事業を起こしてるんだから...
「支えてくれる皆様が優秀でございますから、私の無茶な計画も実現出来るのでございます。」
「うむ。貴族の家督を継げない三男三女以下を多く雇ってくれたことにも礼を言う。お陰で貴族の就職問題もだいぶ解決した。」
「勿体なきお言葉でございます。」
「うむ。では、先にお主の用件を聞こう。」
「はい。実はーー」
皇帝に運河の船舶による渋滞緩和策として鉄道を敷きたいので、土地を使わせて欲しいことと、トラックによる輸送を提案したところ、しばらく目を閉じて考えてた皇帝は頷き、線路の建設を国が行い、線路を国が保有してリバーサイド鉱業商会へと貸し出す形で落ち着いた。
「では、鉄道の管理と運用を任せる。線路の使用料は後で宰相と話し合い決定しよう。」
「ありがとうございます。」
「さて、今度は私の用件だが、フィナ嬢は許嫁や婚約者はおるか?」
「え、い、いえ、おりません。」
「そうかそうか、実はな、お主の家の傍系に当たる公爵家があるのだが、世継ぎがおらぬそうで、困っておってな。そこで、公爵家の養女となり婿を迎えないかと思ったのだが、どうだろうか?」
「え、えっと、すぐには決められません...お爺様と相談させて頂けませんでしょうか。」
「うむ。構わぬ。儂も公爵も急いではいないからな。ゆっくり返事を待つとしよう。」
「ありがとうございます。」
その後、謁見を終えて宰相と線路の使用料について交渉を行い、収益の25%を国に納めることとなった。




