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今日から商人を始めますわ!  作者: 翠狐
第二章
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閑話ー冒険者アルの冒険②ー

『セキユ』という宝を探すため旅に出た冒険者アルは船に乗り、運河を下り、南へ南へと海を渡った。


何故、南を目指したのかと言うと、王都の貿易港に集まる商人達に聞き込みをして、

「そう言えば、南国のジャングルにある村で『悪魔の水飲み場』とかいうのを聞いたことがあるな。確か、池なのに燃えてるから現地のやつらは祟りだと言って、近寄りたがらなかったな。」

と早速、情報を得たためである。


南国へは運河を下り、外洋に出て、1週間もすれば着くとの事で、アルは南国を目指していた。






「ここが、南国の国、コスタか。」


100以上の大小の島からなる島国で、多種多様な部族が暮らしており、今は、太陽王と呼ばれる王のもとに1つの国家として成り立っている。


「それにしても暑い...ムシムシするし、脳がとろけちまいそうだ.....」


照りつける太陽を恨めしそうに睨み付け、『悪魔の水飲み場』と呼ばれる場所を見つけてさっさと帰ろうと思い、聞き込みを始めた。


「悪魔の水飲み場?知らねぇなぁ。この王都の人間に聞いても分からんだろうな。聞くなら出稼ぎや商売に来てる部族のやつらに聞く方がいいぞ。」


「ああ、ありがとうよ。アドバイスするぜ!」


早速、小舟でやって来てたジャングルに住む部族らしき男に声をかける。


「悪魔の水飲み場?『太陽神の風呂』なら聞いたことあるが、知らないなぁ。」


「『太陽神の風呂』って、どんな場所だ?」


「ん?火が轟々と燃えていて、太陽神様が入浴されると大きな火柱をあげるんだよ。まあ、普通は近づかねぇな。」


「お、おい!そこ、案内してくれねぇか?!」


「お、落ち着け!死んじまうぞ!最近は、その火が森に燃え移って、「太陽神様がお怒りになられた!」って族長や部族の年寄りどもが言ってんだから。」


困ったな。恐らく、『太陽神の風呂』とやらは、『悪魔の水飲み場』と同じもの何だろうが、火事で近づけなさそうだな。それに、あまりその部族を刺激しすぎるのも危険だし...ここは、一度、依頼主に連絡するか。






2週間が経ち、リバーサイド鉱業商会から交渉人として、男が派遣されたのだが、何処かの貴族の三男らしく、とても賢く、商会内でも会頭に一目おかれてるようだ。現に、今回の交渉も全権を委任されたらしい。

早速、『太陽神の風呂』がある村へ向かい、族長と交渉人の男は交渉を始めた。正直、こんな男にどうにかなるのだろうかと思ってたのだが、太陽神の神殿を建てる約束と、太陽神に『太陽神の風呂』へ立ち入って触れてもよいのか伺いを立て、太陽神の許可が出たと呪術士が言い、何とか『太陽神の風呂』へ立ち入り調査を行えることになった。


「ほら、あそこだよ。」


案内してくれた部族の青年が指差す先には、火が収まり、黒い液体で満たされた池が見えた。


「確かに、会頭が言われてた物と条件が合いますね。アル殿、池の水を採取してもらっても良いでしょうか?」


「ああ、構わねぇよ。太陽神も火がつかないようにするって、言ってたしな。」


近付くと、凄い臭いがして、正直、あまり近寄りたくない。だが、ここで依頼を達成できれば、大金持ちだ!


「うおぉぉお!!!」


ダッシュで池のドロドロとした臭い黒い水をバケツで汲み、戻る。


「これだけあれば調査も出来ますね。アル殿、ご苦労様でした。まだこれが会頭の望むものかわかりませんが、会頭から預かってる特別報酬を先にお渡しいたしますね。」


「マジでか!?よっしゃあぁぁあ!!!」






このあと、持ち帰られた黒い液体は『石油』だと判明し、リバーサイド鉱業商会と冒険者アルが共同で立ち上げた『アル石油商会』は、コスタ国にある多くの油田を確保し、後にアルは、『初代石油王』として歴史に名を残した。

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