閑話ー冒険者アルの冒険①ー
俺は、冒険者のアルだ!世界中に隠された秘宝を求めて、田舎の小さな村を飛び出して王都へやって来た!
それが、10年前で、今はコツコツと生活費を稼ぐために簡単な調査依頼や、弱い魔物を倒して、生活している。秘宝を探すことを諦めた訳じゃないが、正直、何処を探しても見つからないし、もう冒険する資金も足りない。
剣や魔法の才能があればまた違ったのかもしれないが、俺にはそんな才能は無い。だから、今日も王都の冒険者ギルドにやって来たんだが.....
「おいおい、なんだこの調査依頼は...」
「あの『ゴールドリバー』の依頼か?」
「こんな情報だけじゃ探せねぇよ。」
「まあ、調査費用は向こうもちなのは良いけどなぁ...」
「ああ、これは危険すぎるし、いつ見つかるかもわからんな。」
何やら冒険者達が依頼書が貼られた掲示板の前で、集まってるが、何だろうか。
「よお、どうしたんだ?」
「ああ、アルか。いやな、『ゴールドリバー』からの依頼書らしいんだが、報酬や条件は良いんだが、探すものが問題でな。」
「何!?『ゴールドリバー』か!?」
『ゴールドリバー』って言えば、多くの伝説を残す超金持ちじゃねぇか!!!
「お、おい!内容は!」
「慌てるなって、内容だが、『黒くてドロドロとして火をつけるとよく燃える液体を探しだしてほしい。』って書いてあってな、報酬は金貨5枚とその後の採取量の売上の5%の利益で、調査費用は向こう持ちだ。ただ、その黒い液体に関するヒントは何もない。」
「黒くてドロドロとして火をつけるとよく燃える液体か...確かに見たことは無いが、魔物なのか?」
「いや、最近、ランプで使う軽油と同じような燃料らしい。」
軽油ランプの登場は、安価で扱いやすいな事が影響してか、今では冒険者を始め、誰でも持つような生活必需品だ。その燃料の軽油と同等のものとなれば、莫大な利益を生むに違いない。
「よし!その依頼、俺がもらった!!!」
依頼書を掲示板から剥ぎ取り、カウンターの受付嬢に受注の手続きをさせる。
「お、おいおい。止めとけよ。そんな仕事してたらいつまでたっても金がはいんねぇぞ?」
「はっ、これさえ見つけられれば、大金持ちじゃねぇか。それに、俺はこう言う仕事をしたくて冒険者になったんだよ!じゃあな、お前ら!次に会うときは、俺は大金持ちになってるからな!!!」
男はそう言うと冒険者ギルドを出て、リバーサイド鉱業商会へと向かい、依頼内容を確認してから、旅の準備を済ませ、商会で聞いた『セキユ』という今だ見ぬ宝の山を探しに旅に出た。