アイデアを求めて!
あれからマリアと使用人の採用試験や奴隷を買いにあちこち飛び回ったりと、とんでもない仕事量となった。それでも、マリアは疲れの色も見せずに平然としていたのだが.....
もう、気にしません。マリアはそう言う存在だということにしておきます。
結局、使用人の数は1500人を越え、300人が平民や下級貴族、商家の三男三女以下の家も継げず、行き先もない者達が集まった。
お陰で、貴族とのパイプがたくさんできました!
後は1200人を奴隷で賄う形となったのだが、本当に多種多様な種族が集まった。
人数が多いので、管理するのに役職が出来、侍女に関して言うと、マリアが侍女長でその下に、侍女、侍女見習い、使用人、下級使用人と続いている。下級使用人に関しては奴隷が属していて、後の役職は才能別で振り分けている。
ここまで増えると集合写真とか撮りたくなりますね。今度は写真を開発しましょう!
そして、離宮がやっと回り始め、落ち着いてきたので、今日はワックナー公爵に何かアイデアが無いか聞きにやって来た。
「ワックナー公爵様、本日は貴重な時間をとって頂き、ありがとうございます。」
「いえいえ、こちらこそ話題沸騰のリバーサイド家と一対一で話せるなんて、嬉しい限りですよ!」
「あら。公爵様ったら...ウフフ」
今日はワックナー公爵が領内や貴族の間で困ってることやこんなのがあれば良いのにという願望を聞いて、商売の元にしようというのが狙いである。
なので、ここで何かアイデアが浮かべば、新商品はワックナー公爵を優先させてもらう事になっている。
「それで、ワックナー公爵様、事前にお伝えさせていただいた事ですが、何かありましたか?」
「う~む...あると言えばあるのだが、こんな内容で良いのであろうかと思ってしまう内容が多いのだ。」
「大丈夫ですよ。何でも商人にはお金のなる木の種でございますから。」
「おお~、頼もしいですな。では、失礼して。」
事前にまとめていたアイデアを書き留めたメモを出して、読み上げはじめて。
「まずは、『ミスリルを大量生産出来ないか?』との事ですな。」
ミスリルとはこの世界では魔力を含んだ特殊な銀のことで、魔力を通しやすい性質があるため、魔法を付与して特殊な剣を作ったり、非常に軽いため、高性能な鎧も作れる。
現状はミスリルそのものが遺跡でインゴットやミスリル製の物が発掘されるくらいしか手に入れる方法は無く、原鉱すら手に入らない。
「それはまた...でも、ミスリルは確かに大量生産したいですね。それは少し実験をしてみます。」
「わかりました。では、次です。『以前に一時的に派遣されたセバスという執事を雇いたい。』」
「セバスですか?彼に抜けられると非常に困るのですが...ですが、人材派遣は近いうちに再開したいですね。」
「では、そう伝えておきましょう。」
その後も無理難題や実現可能そうなアイデアが多く出て、アンケートも一通り、読み終わった。
「結構、皆様、ご要望が多かったですね。これは忙しくなりそうです。」
「それは良かった。ところで、これは私の個人的な要望なのですが...」
「はい。何でございましょうか?」
「実はですね、ここ最近、運河沿いの貴族領全てに共通する事なのですが、貨物の流通量が増えて、船が不足しているんですよ。もし、船をお持ちでしたら、少し貸していただけないでしょうか?」
「船ですか?確かに最近、4隻ほど貨物船を買ったので1隻なら出せますが、足りますか?」
「いえ、足りないと言えば足りないのですが、そちらはそちらで商売がありますからな。借りれるだけ有難いですよ。」
最近、セバスがやたらと船を買ってくださいと言ってたのはこういうことでしたか。船が足りなくて影響が出始めていたのですね。これは海運会社を作っても良さそうですね。と言うか、作るべきですね!これは儲かりそう!しかも、新型の軽油エンジンを使えばきっと輸送量も上がるはず!
「ワックナー公爵様、ありがとうございます!良いアイデアが浮かびました!輸送量の問題は私にお任せください!」
「おお。何か思い付かれたのですな。では、お任せしましょう。よろしくお願いします。」
「はい!」
ワックナー公爵の屋敷をあとにして、軽油エンジンの開発を行っている王都の工場へ向かい、船用に設計を進めるよう指示をだし、たった数日で、廃船予定だった古い帆船を再利用して軽油エンジンを積んだ試験船が完成した。
そして、試験船の実地試験を開始した。