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龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
最終部 第十二章 運河都市ラインレピア編 後編『沈む都市と聖なる剣』
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決戦! 時の時計塔!

「イドゥ。久しぶりね。元気にしてた?」

「お陰様でね。お前さんも元気そうで何よりだ。一応気には掛けていたものでな。せっかくだ、茶でも用意しようか?」

「要らないわよ。貴方らが用意したものなんて安心して飲めたもんじゃないし。それに「元気そうで何より」なんて、自分で刺客を送っておいてよく言うわよ。あら、その刺客の一人もそこにいるじゃない。仮面の気持ち悪い君?」

 

 一同の視線は、イドゥの隣に座るリーダーへと集中する。


「これはこれはお姉様。お久しぶりでございます。まさかこんなところで再会できるとは思いもしませんでしたよ、オホホホホ!」

「相変わらず気持ち悪い子ね……」


 アムステリアと仮面の男は、以前にも会ったことがある。


「……リーダーよ。受けを狙った口調かも知れんが、皆に引かれてるぞ」

「あ、やっぱり? オホホホと笑う前から薄々そんな気してたんだ~」


 緊張感のなさ過ぎるリーダーと呼ばれる男に、ウェイルは嫌悪感を覚えていた。


(……なんだ、こいつは……!?)


 敵である以上、嫌悪感を抱くのは至極当然ではあるのだが、この男の声や口調には、なんだか形容しがたい気持ち悪さを感じていた。


「この人、気持ち悪いよ……!!」


 それはフレスも同感の様。

 この男には要注意だ。

 そう思って身構えた時、仮面の男は衝撃的なことを口にし始めた。


「いやー、ちょっと嬉しくて舞い上がっちゃってさ。アムステリアに会えたのも嬉しんだけど、それ以上に――――ウェイルとフレスに出会えたことがさ!」


「――なっ……!?」

「――ボク達……!?」


 どうしてこの男が、自分達のことを知っているかのように語るのか。

 勿論ウェイルとフレスの記憶に、こんな気色の悪い仮面男なんて、微かにも有りはしない。


「久しぶりだねぇ、というのも生ぬるいほど久しぶりなのだけど。ああ、そうか。君は僕のことを知らないんだったね。気にしなくていいよ!」

「ふむ、なるほど。以前お前が話していたのはこの男のことか」


 それに対し、『異端児』側の二人は勝手に納得している様子。


「一体何のことだ!?」

「だから気にしなくていいって言っているでしょ? ティア!」

「は~い!」


 仮面の男の隣に、ティアが並び立つ。


「イドゥ。ケルキューレの方はお願いね。僕等はわざわざ来てくれたお客様をおもてなしするからさ!」

「承知した。だがその客はアムステリアだ。それに龍までいる。絶対に油断だけはするな?」

「心配ないよ。お姉さんの怖さはよく知っているから。それにね、久しぶりにウェイルに会えてガラにもなく興奮してるんだ! 全力でお相手するさ!」

「お前さんは結構普段から興奮しているような気がするがな」


 イドゥは右手で握ったピアスに魔力を込める。


「ウェイル! イドゥを止めるわよ!」

「当たり前だ! 『三種の神器』を奴らの手に渡すわけにはいかない!」


 セルクの意思を引き継ぐ覚悟した時から、この状況を心のどこかで想定していた。

 五つの鐘がなるとき、ケルキューレは目覚める。

 すでに四つの時計塔の鐘は鳴り響き、天へ光の柱を伸ばしている。

 後はこの『時の時計塔』を残すのみ。

 ここの鐘が鳴る響く時、聖なる剣は姿を現す。

 ウェイル達は絶対に阻止せねばならない。


「フレス! 行くぞ!」

「うん! ボクだって、ティアにはお礼をしないといけないんだ! 躊躇している場合じゃないよ!」


 すぐさまフレスがウェイルの元へと駆け寄る。


「私は察覚を使って、皆さんのサポートをいたします!」

「さっきにみたいにお願いね、リル!」


 イルアリルマはホール外へ。

 アムステリアは先陣を切り、そしてウェイルとフレスはというと。


「ミルの事件以来だな。行けるか?」

「大丈夫だよ! ……テリアさん、今こっち見てないし」

「だな。さっさとやろうか」


 何度やっても、やはりこの瞬間に慣れることはないだろう。

 二人は意を決して、しかしながら自然に唇を重ねることが出来ていた。


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