表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
最終部 第十二章 運河都市ラインレピア編 前編『水の都と秘密結社』
450/763

三つの派閥

 贋作士集団『不完全』には、大別すると三つの派閥が存在した。

 一つ目はクルパーカーで戦争を巻き起こしたイングを筆頭とする過激派。

 二つ目は戦闘は行わず、ただひたすらに贋作制作と組織運営に勤しむ穏健派。

 そしてそれらどちらの派閥にも属さない中立派である。


 ――過激派、穏健派、中立派。


 派閥として見ればこの三つであるのだが、正しく実情を表現すれば、さらに細かくグループ分けがされている。

 過激派と穏健派は、それぞれ内部では二つのグループに分かれている。 

 たとえ贋作士といえど芸術家の端くれである。

 だからこそ同じ派閥内であろうとも、各々考え方が全然違うし、趣味嗜好も大きく異なる。

 さらに言えば中心となっている人物の影響が大きい。

 同じ派閥でありながら、グループが違えば、活動内容は似て非なるものになる。


 過激派は、イングを中心とする超攻撃的武闘派グループと、イドゥを中心とした比較的穏やかなグループ。

 穏健派は、組織運営メインの幹部連中グループと、作品制作ばかりしている連中のグループである。


 中立派は、両派閥どちらにも所属しない変わった連中が多い。

 特別どこのグループにも属していない、いわばどっちつかずの連中や、どちらにも繋がりがある優柔不断な連中、どこのグループとも全く交流を持たない一匹狼な連中が、ここに分類されているわけだ。


「イングを中心とする過激派グループは、クルパーカー戦争の時に貴方が潰したでしょう?」

「ああ。実際にやったのはイレイズだが、俺が関わっていたのは間違いない」

「あの時にイングのグループに属していて、貴方が知っているのはルシャブテとフロリア、そして――ルミナステリア」


 アムステリアの妹、ルミナステリア。

 アムステリアが自らの手で葬った相手だ。


「正直なところ、過激派はイングのグループが特筆して危険だっただけで、もう一つのグループはさほど行動はしていなかったのよ。穏健派との歩み寄りだってあったし」


 事実クルパーカーの事件を筆頭に、大陸各地で人が亡くなるレベルの事件を起こしていたのは、イングのグループばかりであった。


「あの事件でイングのグループは崩壊したわ。イングの処刑と共にね。もっとも今言ったルシャブテ、フロリアは生きている」

「フロリアは判るが……。ルシャブテって、どいつだったっけな」

「ああ、そうか。マリアステルでの地下競売事件の時、ウェイルはイレイズに掛かりっきりだったもんね。あの時赤い髪で爪を振り回していた変な男がいたでしょう? あいつがルシャブテ。そうね、教会都市(サスデルセル)でラルガ教会の神父を殺した奴といえば判るかしら」

「バルハー神父を殺した奴!?」


 ウェイルとフレスが出会った始まりの都市、教会都市サスデルセル。

 そこで広まっていた悪魔の噂事件の首謀者である神父バルハーは、地下牢獄での幽閉中、何者かに殺害されたと聞いている。


「間違いないのか?」

「間違いないわね。殺し方が特徴的だったから」

「確か両目をえぐられていたんだっけか」

「そうそう。そんな下種な殺し方をするのは、『不完全』ではイングとルシャブテくらいしか知らないし。まあ治安局も取り調べの前にルシャブテの脱獄を許してしまったらしいから実際どうかは定かじゃないけど」

「……ちょっと待て。治安局はそのルシャブテって奴を逃したってのか!? 聞いていないぞ!?」

「そりゃ言えないでしょ。殺人者の脱獄を逃がしてしまったと、治安局が大々的に発表すると思う? するわけないじゃない、そんなこと」


 治安局とてメンツがある。

 公に自らの失態を言いふらす真似はしないだろう。


「ちなみにエリクって覚えてる?」

「あのワニみたいな神獣を召喚していた奴だな。サグマールの秘書になっていたという」


 尾にもワニの顔があり、鋼鉄の皮膚を持つ神獣『クランポール』。

 その体液は真珠胎児(パールベイビー)精製の原料となっていて、エリクは召喚系神器(サモンクラス)を巧みに用いて使役していた。

 あの事件の時、サグマールに正体を見破られ、逮捕されていたはずだ。


「実はあのエリクって女は、まだ生きているのよ。治安局との司法取引で情報を吐き出したから。そのエリクは過激派に属していたの。イングのグループではなく、所属はイドゥを中心としたグループ」

「さっきから気になっていたが、そのイドゥって奴はどんな奴なんだ? 名前だけは少し耳にしたことはあるんだが」


 先程から度々名前が挙がる人物、イドゥ。

 その名前は、『不完全』の捜査中に何度か聞いたことはあったが、どのような人物か実際に詳しい話を聞いたことはなかった。


「イドゥはね。私の命の恩人よ」


 それからアムステリアは、イドゥについて、自らの過去を交えながら語ってくれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ