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龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
第三部 第十一章 教会戦争完結編 『誰が為に、君が為に』
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テメレイアのミッション


 アルクエティアマイン上空に現れたオライオン内部では、実はかなりの混乱が起こっていた。

 テメレイアが様々なところで神器暴走を起こし、艦内では小さな爆発騒ぎが続出していたからだ。

 その爆発を起こす秘密兵器こそ、ポケットの中に入っている小さなガラス玉。

 このガラス玉には魔力が込められており、それを暴走させることで爆発を起こすことが出来る。


「もうそんなには残っていないか。節約しないと」


 艦内を混乱に陥れるために景気よく使ってきたガラス玉だが、その数には当然限りがある。

 いざという時の護身用の武器にもなるため、少々ガラス玉を節約せねばならない。


「なら、こうするしかないね」


 テメレイアは艦内の壁に手を付ける。

 その壁はオライオン艦内全体に繋がる管、神器『蒸気心管スプラッシュシリンダー』の一部であった。


「貴重な神器を傷つけるのは残念だけど、仕方ないね」


 テメレイアは、小さく呟くようにアテナの詩を歌うと、『蒸気心管』に光が伝い、少し離れた場所から爆発が起こった。

 このようにしてオライオン内に伝う『蒸気心管』を暴走させ爆発させることで、艦内の混乱を加速させると共にガラス玉の節約をした。


 しばらくすると、艦内の窓から山に囲まれた都市の姿が見えてきた。


「……ついにアルクエティアマインの上空まで来たね。そろそろ砲撃も始まりそうかな。……被害が大きくなる前に決着をつけないと」


 ミルを連れだして、オライオンを墜落させる。

 その際には自爆装置を解除していなければならない。

 難しいミッションになるのは百も承知。

 だがテメレイアは、そんなミッションを前にして胸が少しばかり高鳴っていた。


「自爆装置の解除は面倒だし、オライオンを墜とすのは大変だけど、それよりもミル、そしてウェイルと再会が楽しみだ。今からその瞬間を思うと、不安も消え去るってもんだね。――……ん? 振動? 僕は今何もしていないのだけど」


 艦内を伝う微振動。

 テメレイアはもう一度窓際へ寄り、外の様子を伺った。


「完全にアルクエティアマインの都市上空だ。……オライオン周辺で爆発が続いている……?」


 オライオンは内部での爆発だけではなく、外部でも大きな爆発が起こっていた。


「……なるほど、治安局の砲撃か。となると、これは結界系(バリアクラス)の神器で砲撃を弾いている様子だね。イルガリの奴、オライオンに結界系神器を積んでいたのか。こいつはますます僕の墜落作戦が物を言いそうだね」


 そう呟いた時、ぐらりと船体に大きな振動が走る。

 その瞬間、オライオン全体に魔力光が走り、一瞬視界が真っ白になった。


「……発射したのか……!?」


 このオライオンを操っていた者として判る。

 この衝撃は、オライオンに積まれた巨大像砲手が火を吹いた証だ。

 第一発目が発射された模様。

 外の景色も一変し、至る所から黒煙が上がっているのが見えた。

 人的にも物的にも相当な被害が出ているはずだ。



「急がないと……!! ミル、今行くからね……!!」


 この場を離れて、上へ上へと上がっていく。

 こうして辿り着いたフロア11。

 フロア11の奥には、目的地で船長室がある。


「いたぞ、テメレイアだ!」

「そこを動くな!!」

「……あらら、見つかっちゃったか」


 残念ながら『蒸気心管』はこのエリアには見当たらない。

 そしてガラス玉は、ポケットに後十五個ほどしかなかった。

 

「ここは二個で十分かな……?」


 船長室目前のこのフロアからは敵も数が増え、ガラス玉に頼る機会も増えるだろう。

 どこで何個使うかきっちり計算しないと最後まで残っているか判らない。


「よし……!!」


 二つほど手に忍ばせて、レイアは道を塞ぐ信者に向かっていった。


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