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龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
第三部 第十章 貿易都市ラングルポート編 『暴走!! 超弩級戦艦!!』
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デイルーラ社の使命


 ラングルポート全域に出されていた緊急避難警報も、三時間後には解除された。

 デイルーラ社の主導で、行方不明者の安否確認や負傷者の手当てが行われていた。

 プロ鑑定士協会、並びに治安局は、此度の事件の首謀者をアルカディアル教会と断定し、捜査に踏み切ることにした。

 荒れ果てたガングートポートの修繕を行うように早速指示が回る。


 元の姿に戻ったフレスを連れて、ウェイルはデイルーラ本社へと戻ってきた。


「ウェイル、無事だったか……!!」

「まあな、……ってユースベクス、何泣いてるんだ!?」

「バカ野郎!! ダチが危ない目に遭ってたんだ、無事を確認できたんだから涙くらい流させろ!!」


 オイオイとなく社長に、社員一同、暖かい眼差しを送っていた。


「俺はあの大艦隊が来た時、己の無力さを恨んだよ。いくらデイルーラ社のトップでも、これほどの緊急事態には何もできないということを痛感した」

「いいや、そんなことはない。デイルーラ社の社長たるお前にしか出来ないことはあるだろう? 住民達の避難を率先してやったそうじゃないか」


 ウェイルが見回すと、社員達は皆首を縦に振っていた。

 代表してイザナが前に立つ。


「社長の迅速な指示のおかげで、社員に死傷者はいません。地域住民も社長に感謝していますよ」

「だが被害は出てしまった。散々暴れ回った軍艦は、元々我が社のもの。地域住民には償いきれない罪を犯した」

「それは違うぞ、ユースベクス。罪を犯したのはアルカディアル教会でお前じゃない。あの軍艦だって、他大陸からアレクアテナ大陸を守るためのものだろう? 誰もお前を攻めやしないさ」

「そうだって、社長さん! ボクらは社長さんから大切なものを沢山守ってもらったんだ。だからその恩返し! それだけだよ、気にしないで!」


 フレスの言う大切なものというのは、王都ヴェクトルビアの事。

 デイルーラ社の協力がなければ、リベア社の株式総会では負けていたに違いない。


「ユースベクス。お前に落ち込む暇なぞない。さっさとラングルポートを復興させろ。それがデイルーラ社の使命だろ」

「う、うむ。そうだな、その通りだ」

「そんな情けない姿を、是非ヤンクに見せてみよう」

「止めてくれ! 俺は親父の拳には勝てんのだ……」


 そんな情けない姿を堂々と晒すところも、ユースベクスが社員から愛される所以であろうか。


「よし、イザナ! 負傷者の治療の後は、被害のあった場所を全て調査しろ。今回の事件で被害に遭い途方にくれているものは全員デイルーラ社で雇ってしまえ。こき使ってさっさと元の生活に戻させるようにするぞ」

「了解しました、社長! それでは三つの港に調査団を送りましょう! しばらく昼寝する時間はありませんよ?」

「ふん。眠気などとうに吹っ飛んでおるわ」


 やる気に満ち満ちるデイルーラ社一同。

 ラングルポートの復興はすぐに終わる事だろう。


「そうだ、俺の弟子がイザナから手帳を借りたんだ」


 イザナの手帳をユースベクスに手渡す。


「そういえば俺も中を見たことは――――!?」


 ページをめくるたびに、ユースベクスの顔が固まる。


「イザナ?」

「はい、何か?」

「この社長観察日記というのは何かね?」

「ああ、それですか。文字通り、社長の観察日記です。社長ったら毎日違った面白いことをしますからね。お昼寝一つにしても寝相が違ったりするんですよ」

「これをまさか毎日つけてるのか……?」

「ええ。毎日つけて、定期的に社内新聞で公表しておりますが?」

「今すぐに廃刊だ!! そんな新聞は!!」

「社員からのウケはいいのですけどねぇ」


 こんな社長と秘書の漫才も、デイルーラ社の名物と言えよう。


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