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龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
第三部 第十章 貿易都市ラングルポート編 『暴走!! 超弩級戦艦!!』
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神器『魔王の足枷―サタン・チェーン―』


「イルガリ様。うまくいきましたね」

「ああ。龍姫を拘束している神器『魔王の足枷(サタン・チェーン)』を使わずに済んでよかった。そろそろ燃料が切れるとこだったからな。奴に本気で暴れられたら抑えきれなかったかも知れん」

「新しい燃料を用意してきました。ここで変えておきましょう」

「それが良さそうだな」


 アルカディアル教会の秘密地下室。

 イルガリが見下す先には、一人の女性信者がいた。

 彼女は一糸纏わぬ裸で、意識も朦朧として横たわっている。

 その白い肌には、まるで悪魔が両手で彼女を掴んでいるかのような、黒い痣が全身に出来ていた。


「あ……、あ……、りゅ、りゅうひめ……さ……ま……」


 かろうじて漏れ出す、龍姫を呼ぶ言葉。

 衰弱しきり、今にも命を失いそうな彼女を、イルガリは興味もなさげに見下した。 


「もう使えなさそうだな」

「極限まで魔力を吸い上げましたからね。新たな燃料を用意しましょう」

 

 イルガリの部下が、彼女に付けられた首輪の形をした神器を触る。

 その瞬間、首輪は闇を排出した後、小さな銀色の指輪へと変わる。

 後に残った彼女は、すでにこと切れていた。


「連れてこい」


「は、離してください! 一体何をするんですか!?」


 裸にされて拘束された新たな女性がイルガリの前に現れる。


「し、神父様、これは一体!?」

「安心してください。貴方は龍姫様と共にあります。怖がることはありません。この指輪をつけるのです」

「これを……?」

「ええ。これをつけるとですね。貴方は命を龍姫様に捧げることになります。これは大変に名誉なことです」


 それを聞いて、女性の顔は真っ青になる。


「ちょっと、どういうことですか!? 私、命を失うに値する罪を犯しましたか!?」

「いえいえ、そうではありません。ですが龍姫様は貴方をお望みです。これ以上の理由は必要ですか?」

「当然です! どうしてこんな格好にされて、その上命まで――」


 そこまで叫ぶと、女性は唐突に俯き、静かとなる。

 顔を上げた時、彼女の目から光が消えていた。


「いいですね? 龍姫様に命を捧げるのです」

「……わかり……ました……」


 うなだれるようにそう呟いた彼女は、躊躇うことなく指輪をつける。

 神器は発動した。

 激しい闇が彼女を包み、命を奪わんと拘束する。


「この『魔王の足枷(サタン・チェーン)』は龍を封じることすら出来る強力な神器。しかし強力が故に燃費が悪くてね。能力の維持には人間の持つ魔力を神器に注いでやらんとならん。だがこれで当分は持つだろう。これからしばらくアルクエティアマインへの進攻に忙しいからな。次の生贄も急いで用意しておけ」

「了解しました。しかしイルガリ様。その神器は本当に強力ですね……」

「だろう? この精神介入系神器『催眠汚染針ヒュプノ・コラプション』は秘蔵の神器でね。人間であれば簡単に洗脳出来る。実に素晴らしいものだ」

「どうして龍姫に使わないのですか?」

「言ったろう? 人間であれば、と。あれは人間じゃない。化け物だ」


 イルガリは怪しい光を放つ『催眠汚染針ヒュプノ・コラプション』を懐にしまうと、その場を後にした。


 事件が起こったのは、この二日後。

 教会都市サスデルセルは大混乱に陥ることになる。



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