表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
第二部 第八章 銀行都市スフィアバンク編 『株主総会での決戦!』
270/763

治安局のお仕事

 男がイルアリルマに向かって足を振り下ろした、その時だった。


「――はいはーい!! その人は我々治安局が身柄を拘束しまーす!!」


 足を上げた男を突き飛ばして、現れたのはステイリィだった。

 大柄の治安局員を引き連れて、男達を押しのけイルアリルマを取り囲む。


「いってぇ!! テメェ、何をする!?」


 バランスを崩して倒れた男が、ステイリィを睨みつけた。

 しかし、ステイリィは男が転んだことを鼻で笑う。


「フフフ、いい気味」

「はぁ!? 治安局員が何言ってんだ!? それに一体何の用だ!?」

「何って、お仕事に決まってるじゃないですか~。この女はスフィアバンク内で火薬を用いたテロリストなんでしょ? だったらこいつは捕まえなきゃ! よーし、者ども、このテロリストを拘束しろ!」

「了解です、上官!」


 ステイリィの指示により、イルアリルマは治安局員に拘束された。


「ちょっと待て、それは俺達の仕事だろ」


 その行動に不服があるのか、転んだ男が立ち上がって因縁をつけてくるが、ステイリィはいたって平然に切り返した。


「いえいえ、これは我々の仕事です。貴方達は株主総会を守るのが仕事でしょ? 株主総会は正午からの予定のはず。今はまだ午前10時を少し回ったところです。でしたら貴方達には関係がない。爆竹で人を傷つけようとしたのですから、我々が連行するのが正しいです。ご理解いただけますか?」


 最後に鋭い睨みを送り、ステイリィはイルアリルマを連行していく。


「そうそう、もう一つ言っておきます」


 論破され、無言になっていた男に、ステイリィは振り返る。


「我々治安局は株主総会には手を出せない決まりになっていますが…………私はよく破天荒な行動を取ることで治安局では有名なんです。規則を破る事だって少なくはない。もし何か私の気に食わないことがあれば……。まあ覚えておいてください」


 治安局員を率いて、ステイリィは戻っていく。

 残された男達の妬みの視線ですら、ステイリィにとっては笑いの種だ。





 ――●○●○●○――





 ――スファイアバンク治安局本部。


「お疲れ様です。リルさん。いやー、危ないとこでしたね!」


 ステイリィは、イルアリルマの拘束を解くと、彼女に椅子に座るよう促した。


「ウェイルさんの思惑通りに事が進みましたね」

「はい。ですが助かりました。少し間違うと何をされていたことか……。ステイリィさん、本当にありがとうございます」

「怖かったでしょう。全く、ダーリンったら女の子に無茶させるんだから!」

「正直凄く怖かったです……。でも同時に強くなれた気がします。母のことを理解できましたから」

「母? う~んと、よく判らないけど良かったです。さて、あの爆竹を見て、ダーリンが行動を起こしてくれたらいいけど」

「大丈夫ですよ。あの人は素晴らしいプロ鑑定士ですから」

「でしょでしょ! もっと褒めて!」


 イルアリルマの脳裏には、俺に任せろと言ってくれたウェイルの姿があった。


(言われた通り、サポートはしました。後は任せますよ……!!)


「そりゃあダーリンは大陸最高のプロ鑑定士…………うん?」


(リルさんの顔、今少し女の顔に!? まさかダーリンのこと……――惚れた!?)


「だ、ダーリンはあげないからね!!」

「ええ!? 何の話ですか!?」


 イルアリルマ渾身の行動は、しっかりとウェイル達に届いたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ