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龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
Side Episode 1 : フレス編 『フレスのプロ鑑定士ってなんなの?』
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電信ってなんだろう?

「ねぇねぇ、ウェイル。さっき職員の人がね、電信が届いたって持ってきてくれたよ」

「ああ、ありがとう。見せてくれ」


 フレスから受けとった小さな紙。

 これには電信によって書かれた文章が記されている。


「……ふむ、なるほどな。またレギオンの価値が上がったようだ。逆にハクロアは大きく価値を下げている。ヴェクトルビアの連続殺人事件やクルパーカー戦争の影響だろうな」


 貨幣価値についてぶつくさ呟くウェイルの隣で、フレスが気になったのは内容ではなく、その紙自体であった。


「ねぇ、ウェイル。ボク、前々からずっと不思議に思ってたんだけど、電信ってどんな技術を使っているの?」

「ん? 教えていなかったっけな?」

「うん。サラーだって電信を使っていたし、ボクも使ってみたい!」

「そうだな。電信は鑑定士にとって必要不可欠な技術だ。よし、教えてやろう」


 二人は自室を出て『電信室』と書かれた札の掛かった部屋に向かった。


「こいつが電信だ」


 ウェイルが手を置いた大きな装置。

 見た目は少し大きめのピアノのような型。

 ピアノで言うと鍵盤の部分に、様々な文字のボタンが配置されていた。


「このボタンを押すと、ボタンに描かれている文字が紙に印字されるんだ」


 試しにとボタンを一つ押す。

 するとピアノでいえば楽譜を載せる部分に、魔力光によって描かれた文字が映し出されていた。


「文字が光ってる!? 魔力なの、これ?」

「そうだ。電信は神器だからな」

「ふへー、それでどうするの?」

「ボタンを押して文章を作成してみろ」

「ボクが使ってもいいの?」

「いいぞ」

「えっと、なんて書こうかなぁ……」


 フレスはたどたどしく時間をたっぷりと掛けて、文章を入力した。


「あ、間違っちゃった! ねぇ、これどうすれば治るの?」

「間違った箇所をタッチしてみろ」

「こう?」


 光り輝く文字を押すと、その文字は半透明になった。


「その状態で正しい文字を押せ。上書きしてくれるから」

「あ、ホントだ!! ……よし、出来たよ!」


 少し時間は掛かったが、何とか打ち終わったみたいだ。


「出来たなら、今度は送り先を選択しなければならない。どこへ送るんだ?」

「サラーのとこ!」

「となるとクルパーカーの王宮でいいかな。イレイズのコードは……よし、打ち込んだ」

「これでもう送れるの?」

「ああ。といっても送るのは文章の情報だけだ。実際に何かを送るわけじゃない」

「お手紙なのに、お手紙じゃないの?」

「そういうことだ。よし、送ったぞ」

「ありがと!! ……これ一体どういう仕組みになっているの?」

「今言ったように電信は文字情報だけを送るんだ。無線電波という技術があってな」

「でんぱ? 魔力じゃなくて?」

「魔力は長距離通信には適していないんだ。転移系神器の範囲が狭いのはそれが理由だ」

「あ、そういえばそうだね」

「その点、電波なら広範囲にわたって通信が可能だ。ここで打ち込んだ文字情報を電波によって相手に送り、送った先では魔力によって紙に文字を印字する」

「へぇー!! よくわからないけど、すっごい技術なんだね!」

「ああ、凄い技術だ。電信ってのは神器と科学の理想的な融合体なんだよ」

「返事はいつ頃届くの?」

「届くのはすぐだが、返信は相手が電信を確認してからになる。少しばかり時間が掛かるだろうな。飯でも食べながら待っていようか」

「賛成!」


 それからしばらくの間、待っていると――。


「ウェイル―!! 返信が来たよーーーー!!」

「そりゃ良かったな」


 電信の紙を持って大いに喜ぶフレスが部屋に飛び込んできた。


「さっそく読んでみたらどうだ?」

「うん! えーっとね……。『知るかバカ』だってさ! ボク、何か変なこと書いたかなぁ……?」

「なんて書いたんだ?」

「えっとね、『今日も一日暇でした』って」

「フレス。お前って本当に暇なんだな」

「だって、本を読み終えるまで外出禁止だって……」

「その本は読んだのか?」

「…………まだ」


 翌日から、フレスはとても忙しくなった。

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