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龍と鑑定士 ~ 絵から出てきた美少女は実はドラゴンで、鑑定士の弟子にしてくれと頼んでくるんだが ~  作者: ふっしー
第一部 第四章 部族都市クルパーカー編  『戦争勃発、陰謀の末路』
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登場、プロ鑑定士協会!


「――いい加減黙りなさい。耳触りにもほどがあるわ?」


 一人の女が、頭を抑えて絶叫する兵士の隣へ立っていた。

 女は当てつけとばかりに、今剥ぎ取ったものをバルバードに投げつけてくる。


「――何を……!?」


 バルバードの目前に落ちたもの、それは耳だった。


「あがあああああああっ!!!」

「うるさいわね」


 痛みのあまり喚き散らす兵士を、女はゴミでも見るかのような視線を送り、そして。


「あ――」


 手に持つナイフで、兵士の首を掻っ切った。

 絶叫は止み、再びこの場は静寂に支配される。

 兵士は、一瞬のうちに息絶えていた。

 女の流れるようにスムーズな殺害に、一同息を呑むことしか出来なかった。

 兵士の間に恐怖と戦慄が走る。それはバルバードだって例外ではない。


「あらあら、バルバード様? お身体が震えてますよ? 寒いですか?」

「…………!?」


 フロリアに指摘されるまで、そのことにすら気づかなかったのだ。

 歴戦の猛者であるはずの自分が恐怖に怯えている。

 バルバードが初めて経験した、死の予感であった。


「ねぇ、フロリア? もう面倒くさいからさ。こいつら全員ぶっ殺してダイヤモンドにしてしまいましょうよ?」


 女の冷徹な一言に、兵士達の士気は完全に砕け散った。

 一人、また一人と逃げ出す者が現れる。


「待ってよ、ルミナステリア。彼らにだって主張はあるでしょう? 聞いてあげないと可哀想」

「フロリア。あんたの考え方って、どちらかというと『穏健派』に近いわよね? 私達は『過激派』なのよ? 本当ならもっともっと殺して、その頭蓋骨をイング様に捧げたいところなんだから」

「ルミナステリア? 私だって本当はこんな奴ら、さっさとぶっ殺したいんだよ? それでも一応彼らのことを考えてこうして交渉しているの。私って結構優しいでしょ」


 もはやバルバードに手段は残されていなかった。

 援軍は間に合わない。イレイズもいない。治安局も来ない。

 ならばもう民を守る手段は、敵の要求を呑むことだけ。

 煮え湯を飲まされているような気分だ。

 だが、言うしかない。


「……判った。お前らの要求を――」


 バルバードが決死の思いで、それを口にしようとした瞬間。


「その交渉、少し待ってもらおうか」

「…………ッ!?」


 フロリアは、とっさに殺気を感じ、身を翻した。

 何故なら凍てつく氷の刃を携えて、プロ鑑定士のウェイルが現れたからだ。


「ウェイル!!」

「久しぶりだな、裏切りメイド」

「想像以上に早く来たね……!」

「フロリア、どうかしたの?」


 フロリアのフォローに入ろうとしたルミナステリアの前には、今度はアムステリアが立ち塞がった。


「アンタの相手は、私よ」

「……お姉さま……!?」

 

 二人の後から続々と現れた、数十人規模の集団。

 敵味方含め、場にいた全員が、その集団に釘付けとなる。

 その中心にいた初老の男――サグマールが大きく叫んだ。


「我々はプロ鑑定士協会だ!! 贋作集団『不完全』を、恐喝、殺人、および違法品取引の容疑で逮捕する!! 覚悟しろ!!」


 クルパーカーにとって救いの号令が、クルパーカーに轟いた。

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