順調2
イヤー狩屋君おめでとう!さすが我が社のエースだ!
うちの専務が音頭をとり盛り上げる。
帰社した俺たちをを向かえのは賞賛の嵐だった。当然その夜は飲み会があり今その真っ最中だ。
俺は渡すはずのケーキを横目にビールを飲み干す。
ケーキ生ものだからなヤバイかな?
宴は続き気が付くと12時を回っていた。
ではみなさんそろそろお開きにしましょう!
ハァーやっと終わったか!
同僚と別れ俺はタクシーを拾う。
迷わず桐島さんの家へ向かう。
ケーキだけ渡そう。
裏覚えだがなんとか彼女のアパートに着いた
前は気が付かなかったがかなり古いアパートだ。階段もサビサビで所々穴が空いている
表札は紙に桐島と書かれているがインクがボヤけてなんとか読める程度だ。
明かりは付いている。
やっぱり辞めよう。こんな夜更けに不謹慎だ
階段をおりかけた。
ガチャ、、、
桐島(どなたですか?)
偶然か彼女が出てきた。
あ、ごめんこんな夜更けに近くまできたから
あ、ケーキ買ったもんでどうかなと思ったんだけど、大分時間たっちゃったし、捨てたほうがいいと思う。
ママーどうしたのー
奥から子供の声がしたと思ったら4歳くらいの男の子が顔をだす。
目がクリクリの可愛い子だ。
その子はケーキの箱を見つけると
わぁーケーキ?食べたい!食べたい!
ねぇママいい?
桐島(よろしいんでしょうか?)
あ、ああ。だけど大分時間が、、、
俺の説明を遮るように男の子はおれからケーキを奪っていった。
桐島(すみません。、、、あっ汚い所ですがよかったら上がりますか?)
俺は迷ったが。
じゃあ少しだけと上がらせてもらった。
お世辞にも綺麗とは言えない部屋だった。
染みだらけの壁に暗い照明、割れたガラスはテープで補修してあり、蛇口からは水が漏れている。
桐島(すみません適当に座って下さい。)
彼女は恥ずかしいそうに笑うとお茶の支度を始めた。
男の子は既にケーキの箱を開けて一つを口にほうばっていた。
ねぇお名前は?いくつ?と聞くと。
男の子(きりしま けんたです。よんさいです)
ハッキリ大きな声で答える。、、、かわいいな。
桐島(健太!まだ食べちゃダメでしょ!)
健太(だっておいしいもん。)
口の周りにたくさんクリームを付けてまんべんの笑顔だ
健太(もうひとつたべていい?)
桐島(駄目よ。お腹痛くなるでしょ)
健太(だってけーきたべれないもん。さんたさんもけーきくれなかったもん)
まあまあいいじゃないですか。食べさせてあげれば。
健太
俺は少し考えた。もし桐島さんと結婚して健太君と三人で暮らしたらどうなるか?
桐島さんは本当は綺麗な人で笑顔が素敵な人この人を助けてあげたい。
俺は30分くらいお邪魔して帰った。
何か大きな可能性を心にいだきながら。