最初からクライマックス
パロネタについては大丈夫ですか!?
それではいってらっしゃい。
「ぐふぅ!」
「げほぉ!」
「ごはぁ!」
「さあさっさと魔王のところへつれていきやがれ!」
俺は悪魔のしたっぱをぶっ飛ばした。
さっきから出てくるのは、どいつもこいつも雑魚ばかりだ。
いや俺が強すぎるのかな。
ここは魔王城の中。
階は50を越えると言う。
どの階も暗く、影から雑魚が襲ってくるばかりだ。
まあ、俺が察知できないなんてないんだがな。
したっぱはもう意識がないのか、そのまま動かなくなった。
俺はまた階段を上っていく。
魔王城。
それは10年前、突如現れた。
城からは悪魔が現れ、多くの人間を殺していった。
例外なく、俺の家族も殺された。
俺は怒りと憎しみから修行を続け、第164代目勇者として抜擢された。
「ほっほっほ、いけませんな勇者殿。そんなに焦ってへぶごっ!?」
階を上がると出てきた悪魔の幹部に、顔面パンチをお見舞いする。
「さっさと魔王のところへつれていきやがれ!」
「何を言ってるんですか勇者どぼへらっ!?」
「うるせえっ! 喋るの遅いんだよ!」
「な、なぜくぼぉっ! このだばぁっ! 私ごほぉっ! まったくがはぁっ! 歯がげほぉっ! 喋らせてきゅんっ!」
「あ、死んだ」
意識の飛んだ幹部を、俺はそこら辺に転がしておいた。
「次いくか」
俺は再び階段を上った。
階段を上がり終わると、広い場所に出た。天井も壁もない。どうやら最上階みたいだった。
「ん? なんだあれは」
暗黒の空に、キラーンと輝くものがあった。
と、それがこちらに落ちてくる。
俺は落下地点から離れる。
轟音を鳴らしながら、それは着地した。
「誰だお前は!」
「フ、フフフ、フハハハハハハ」
谷の底から聞こえてくるような低い声で、それは笑う。
「よくぞたどり着いたな、勇者よ。ここまで来たのはお前が初めてだ。良かったじゃないか、人類記録更新だ。フハハハハハ」
「てめえが、てめえが魔王か!」
「いかにも、余が魔王、ブルージュースだ!」
ブルージュースが名前を言い終える間に、俺は構える。
「名前はなんでもいい! 家族の、仲間の敵! 討たせてもらうぜ!」
「フ、良いだろう。まずは歓迎会ということで、余の力見せてやる!」
何がくる……?
すると、ブルージュースの周りが赤く輝きだした。
「いくぞ勇者よ! 帰りたい! 帰りたい! あったかいわが家が待っている! 帰りたい! 帰りたい! あったかハイムが待っている! セキスイハイム!」
ブルージュースが唱え終わると、炎が魔神の姿になった。
「勇者よ! これを覆してみよ!」
「く、ならば!」
俺の周りが輝き始める。
「水のトラブル、クラシアン! 安くて速くて安心ね! 暮らし安心! クラシアン!」
すると、俺の周りから水が吹き出し、水竜の形になる。
「行っけぇ! クラシアン!」
「オオオオオオオ!」
クラシアンは雄叫びをあげながら、炎の魔神に向かっていく。
クラシアンは魔神を食いちぎった。
しかし、なおも威力は衰えることなく、今度はブルージュースに向かっていった。
これで、終わりだ!
「おおおおおおおっ!」
「オオオオオオオ!」
ブルージュースにぶつかって、そして砕ける。
これで平和が…………なに!? 生きてるだと!?
ブルージュースは変わらぬ姿でそこに立っている。
「フハハハハハ! なるほど、これが蒼精のクラシアンか! 面白い! 面白いぞ! だが、余を倒すには少しばかり威力が足りなかったな!」
「くそ……、轟炎のセキスイハイム様は水も対処ずみってわけか……!」
さらにブルージュースは手を上げた。
「なんのつもりだ! 降参でもするつもりか!?」
「降参……? 何を馬鹿なことを……」
じゃあ何を意味する!?
俺は防御の構えをとる。
「これで終わりにしてやる……」
ブルージュースの周りが、今度は黒く輝き始めた。
くる!
「畠山吾朗さん。67歳。家族でパン屋を営み、朝から夜までパンを作っている。
きっかけは留学だった。
畠山さんは留学先で病気にかかってしまった。
そんなときだ。
友人のジローがフランスパンを買ってきてくれた。
しかし、畠山さんは食べれそうにない。
なぜ買ってきたのか?
それは自分が食べるためだった。
病気で食べれない畠山さんの前で、ジローは見せびらかしながら食べる。
もぐもぐもぐもぐと。
『おいちい』
とジローは言った。
畠山さんは思った。
いつか自分が、あいつの食べてるパンより旨いパンを作って、そして目の前で食べてやるんだと。
畠山さんはそれから修行し、立派なパン職人になった。
畠山さんはこう語る。
『最近ジローがやって来ましてね。私は目の前で食ってやったんですよ。旨そうにね。そしたらジローが、あのときは悪かった。だから食わせてくれないか? って言うわけですよ。嬉しくなっちゃいましてね。たくさん持っていってやったんです。そしたらジローのやつばくばく食い始めましてね。私がおかわりを取りに行ったんですよ。そしたら、ジローがいなくなってました』
そして、一枚のメモ用紙だけが残っていたらしい。
そこにはこう書いてあった。
『あんま旨くなかったわ。あばよ』
それから畠山さんは、また修行をし始めた。
そんな畠山さんを支えるのが、この、青汁ぅぅぅぅ!」
「ジロォォォォォォォォ!」
ブルージュースは暗黒を放つ。
それは、俺には到底どうにかできる大きさではなく。
俺は闇に包まれた。
「フハハハハハハハハッ! よくやったぞクラシアン! 貴様はよくやった。だがこれで終わりだ! 畠山さんの闇に包まれて死ぬがよい!」
ドオオオオオン! という音とともに、魔王城と俺を闇が侵食していく。
くそ、負けだ。
なんだこの戦力差は。
こんなの勝てっこない。
みんな、ごめん。
そのとき、誰かの声が聞こえた気がした。
走馬灯だ。
仲間が。家族が。俺に願いを託して消えていった人たちとの思い出が、次々に甦る。
「ま、だ、だ」
気づけば闇が消えている。
魔法が終わったらしい。
俺は瓦礫の中で横たわっていた。
まだだ。
まだ死ねない。
あいつらの願いを、思いを、涙を!
俺は無駄にしちゃいけない!
「お、お、おお、おおおおおおお!」
俺は咆哮する。
獣のように。怪物のように。
一人の人間として、仲間や家族から背負わされた全てを糧にして。
「まだ、負けられない! 倒れるわけにはいかない! お前のせいで死んでいったやつらのためにも!」
ブルージュースが空から見下ろしている。
「フハハハハハハハハハハハッ! まだ! まだ生きておったかクラシアン! いいぞ! 余にどこまでやれるか見せてみろ!」
俺はよろよろと立ち上がった。
胸の前で手を向かい合わせる。
「この力はみんなから託された思いの力! いくぜ!」
俺は一気に息を吸い込む。
「お手々のしわとしわ、合わせて幸せ!」
光の奔流が始まる。
暖かい光だ。
みんなを近くに感じる。
「なーむー!!」
光が広がり、ブルージュースを包み込んだ。
「な、こ、これは……、幸福のはせがわだと!? そんな馬鹿な! こんなの一人にできるはずが……」
「一人じゃない! 俺に願いを託してくれたみんなとの力だ!」
「くそぉお! 余が! 余が人間ごときに負けるなどあり得ん! あり得んぞ絶対にぃぃぃぃィィィィイイイイ!」
そうして、光がブルージュースを飲み込んだ。
終わった。
なにもかも。
ブルージュースを倒した。
たけど、あいつを倒したからと言って、何かが戻ってくるわけじゃない。
帰ろう。
あの家に。
あの町に。
積水ハウスに。
おかえりなさい。
積水ハウスに。




