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音を聴いた。
確かに、耳に届いた音は直ぐにその場から消えた。
その意識から、直ぐに消えていった――。
その日学校へ行くと、幼馴染の小唄が死んでいた。
校庭で一人、倒れていた。
左耳を削ぎ落とされ、右手の薬指を切り取られ、倒れていた。
明らかな殺人。
だが、学校側はその事実を隠すべく、警察への捜査の依頼はせず、事故死とした。
あまりに理不尽な一人の死によって、あまりに理不尽な隠蔽によって、この先があてもない暗闇になるとも知らず。
これからお話しすることは、ある一人の少年の死をきっかけに崩れ去った僕らの日常のことだ。
どうか、僕の話に、声に、耳を傾けて欲しい。
少しだけでいいから。
僕の為にも、小唄の為にも。