朝チュン的な。
***********************
すずめが鳴いている。
それをぼんやりと聞いていると、次第に今自分がおかれている状況を把握してきた。
―――もう朝か。
申し訳程度に掛けてあったタオルケットはかろうじて亮太の腰あたりを隠しているが、上半身は肌が露になっている。男とは思えないほど白い肌に、華奢な身体、胸の尖端には桃色より濃い突起が色づいている。
それがまるで吸い付いてくれと言わんばかりに尖っているように見えて、朝から何を考えているんだと慌てて亮太から目をそらす。
邪念を振り切ろうと頭をふり、今度は亮太の寝顔を見つめ、頭を撫でてみた。
昨日の夜は少し汗ばんでいた髪の毛も、今はすっかり乾いている。さらさらとした感触が指を通り抜けて、その感覚が気に入り何回も何回も髪を梳く。
優しく、ゆっくりと。
しかし、そうしていても亮太は起きる気配もなく、
ぐっすりと眠っている。
…早くあの大きな目で見つめて、この柔らかい唇を動かしているところを見たいのに。
当然、起こそうと思えば起こせる。
なんていったってもう午前10時をまわるかという時間だからだ。
いつもなら、亮太が先に起きて俺を起こす。
「…雅人。そろそろ起きなよ。雅人。」
と、優しい声で。
その声をずっと聞いていたくて、起きていても寝ているふりをするのが雅人の習慣だった。
でも、今日は珍しく俺のほうが早い。
何故かいつもと違うそれが嬉しくて、なかなか亮太を起こせないでいる。
だって、寝顔、可愛いし。
むにゃむにゃ言ってすり寄ってくるときとか、まじで俺、死にそう。なんだこの愛らしい生き物。
何回見たって、何分見ていたって、何時間見つめていたって飽きない。亮太は寝ている時も表情が豊かなようだ。
そう思いながら亮太の寝顔を見つめていると、だんだんイタズラをしたくなってきた。
亮太を起こしたくないと思う一方、起きて構ってほしいと思う気持ちも、正直言って、ある。
葛藤した末、自分の欲望がみるみる膨らみ、気づいた時には亮太の唇を自分の舌で舐めてこじ開けていた。
もともと少し隙間が空いていたので、舌を滑りこませるのは容易だった。
口の中で亮太の舌を探し、自分の舌を絡める。
雅人が舌を入れた時点で覚醒しつつあったようだった亮太は、それで完全に目を覚ましたみたいだ。
驚きが密着した肌から伝わってきて、慌てて俺を引きはがそうともがいたみたいだが、俺の力には敵わず、疲れたのか亮太の身体から力が抜けた。
雅人は舌を名残惜しげに軽く吸ってから唇を離す。
「おい…」
「おはよ、亮太」
抗議をしようとしたようだが、今のキスで力が抜けてしまったらしい。
「朝から、なにやってんだよ」
頬を赤くしながら潤んだ目で見つめられても…
「なにって、」
一度離れた唇をもう一度合わせる。
触れ合うだけのキスをして、また離れる。
「キス、だけど」
「…っ、それはわかってる!」
亮太は文句を言おうとするけど本当は嫌じゃないと思ってて拒絶しないから、俺がつけ上がって色々としちゃうんだよ?
そういうところ、大好きだけどね。
何かを赤くなりながらブツブツ呟いている亮太に、
もう一回キスを贈った。