表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

第9話 「真の試練」



【シーン:王都冒険者ギルド・緊急会議室】

【エステル レベル39】


空気が、

張りつめている。


長机の周囲には、

ギルド長ローガン。


王国の学者。


騎士団長。


そして、

エステル。


「消えている」


学者が、

低い声で言う。


「死んだのではない」


「存在そのものが、

消滅している」


エステルの指が、

震えた。


---


「場所は、

世界樹の根元付近」


ローガンが、

続ける。


「世界の理を、

支える要だ」


エステルは、

胸が苦しくなる。


嫌な予感が、

はっきり形になる。


---


【シーン:世界樹外縁・調査隊】

【エステル レベル39】


巨大な樹。


空を突き刺すほどの高さ。


根元には、

黒い亀裂。


触れた岩が、

音もなく消える。


粉も残らない。


「……戻せますか」


リオが、

聞く。


エステルは、

首を振る。


「……わからない」


初めて、

正直に言った。


---


調査兵が、

足を滑らせる。


亀裂に、

触れる。


体が、

霧のように消えた。


悲鳴すら、

残らない。


「……存在回復!」


光を放つ。


だが、

何も起きない。


戻らない。


エステルの顔が、

真っ青になる。


---


【シーン:世界樹根元】

【エステル レベル39】


奥へ進むほど、

空気が薄い。


呼吸が、

苦しい。


地面に、

無数の消失痕。


ここでは、

存在回復が効かない。


エステルは、

膝をつく。


「……私の力、

万能じゃない」


---


ローガンが、

近づく。


「文書にあった」


「存在を戻すには、

定義が必要だ」


「お前は、

無意識にやっている」


エステルは、

顔を上げる。


「……定義?」


「その者が、

何者で、

何を成す存在か」


「それを、

理解しているほど、

戻せる」


エステルは、

思い出す。


リオ。


カイン。


兵士たち。


顔が、

浮かぶ。


---


【シーン:世界樹・核】

【エステル レベル39】


巨大な結晶体。


ひび割れ。


黒い光が、

漏れている。


「核が、

壊れかけている」


学者が、

叫ぶ。


黒い塊が、

湧き出す。


存在喰らい。


触れたものを、

消す魔物。


---


戦闘が、

始まる。


リオが、

矢を放つ。


当たった部分が、

消える。


効かない。


カインが、

斬る。


刃ごと、

消える。


「……無理」


エステルは、

前に出る。


存在喰らいが、

触手を伸ばす。


カインが、

飲み込まれる。


「カイン!」


消える。


何も、

残らない。


---


エステルの思考が、

止まる。


膝が、

崩れる。


でも。


思い出す。


カインの言葉。


「前を向け」


リオの笑顔。


守ると、

決めた。


---


エステルは、

立ち上がる。


目を閉じる。


カインを、

思い描く。


無口。


仲間思い。


自分を、

信じてくれた人。


「……カインは、

生きる」


「私の仲間として」


胸の奥が、

燃える。


光が、

爆発する。


---


空間が、

歪む。


消えたはずの場所に、

影が生まれる。


カインが、

吐き出される。


「……え?」


存在回復が、

進化した。


「定義回復」


ステータスに、

表示される。


---


存在喰らいが、

悲鳴を上げる。


光に、

包まれる。


消える。


核のひびが、

ゆっくり塞がる。


---


【シーン:世界樹外縁】

【エステル レベル45】


カインは、

無事だった。


リオが、

泣きながら抱きつく。


エステルは、

力が抜ける。


ローガンが、

静かに言う。


「……お前は、

世界を、

書き換えた」


エステルは、

首を振る。


「……仲間を、

戻しただけです」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ