第4話 「初めての仲間」
【シーン:王都冒険者ギルド・掲示板前】
【エステル レベル27】
朝のギルドは、
まだ人が少ない。
掲示板の前に立ち、
依頼書を見渡す。
「森の小型魔物討伐」
「街道の護衛」
「辺境村防衛」
視線が、
一枚の紙で止まる。
「辺境村防衛・急募」
報酬は、
低い。
だが、
人数不足と書かれている。
エステルは、
その紙を剥がした。
「……行こう」
自分に、
そう言い聞かせる。
---
【シーン:辺境村・入口】
【エステル レベル27】
木の柵で囲まれた、
小さな村。
畑と、
数十軒の家。
静かすぎる。
嫌な予感が、
胸をかすめる。
村の中へ入ると、
若い少年が駆け寄ってきた。
「冒険者さんですか!?」
「はい……」
「よかった……
もう、
人が足りなくて……」
案内されたのは、
村の集会所。
中には、
二人の冒険者がいた。
弓を持つ、
細身の少年。
獣の耳を持つ、
青年。
「俺はリオ」
弓使いの少年が、
短く名乗る。
「カインだ」
獣人の青年が、
低い声で言う。
エステルは、
ぺこりと頭を下げた。
「エステルです」
三人だけ。
それが、
防衛部隊の全員だった。
---
【シーン:辺境村・外周】
【エステル レベル27】
日が、
沈みかけている。
村の外から、
獣の鳴き声。
「来るぞ」
カインが、
耳を動かす。
草むらが、
揺れる。
ゴブリン。
三体。
リオが、
矢を放つ。
一本目が、
肩に刺さる。
二本目が、
喉を貫く。
残り一体が、
突っ込んでくる。
カインが、
前に出る。
短剣で、
腹を裂く。
ゴブリンは、
倒れた。
「……いける」
エステルは、
小さく呟く。
---
だが、
次が来た。
地面が、
揺れる。
森の奥から、
大きな影。
オーガ。
棍棒を持つ、
大型魔物。
「……話が違う」
リオの声が、
震える。
オーガが、
咆哮する。
耳が、
痛い。
「私が、
回復します!」
エステルは、
前に出る。
カインが、
突っ込む。
短剣が、
太ももに刺さる。
だが、
オーガは止まらない。
棍棒が、
横薙ぎに振られる。
カインが、
吹き飛ぶ。
地面を、
転がる。
「カイン!」
エステルは、
走る。
「小回復!」
光が、
カインを包む。
だが、
出血は止まらない。
オーガが、
次の一撃を振り上げる。
リオが、
矢を放つ。
目に命中。
オーガが、
怯む。
その瞬間、
エステルの胸が、
熱くなる。
無意識。
「……戻れ」
透明な光が、
溢れる。
カインの裂けた肉が、
元に戻る。
骨が、
正しい位置に戻る。
出血が、
止まる。
カインは、
目を見開いた。
「……生きてる?」
エステルは、
頷く。
リオが、
叫ぶ。
「今だ!」
カインが、
跳ぶ。
首元に、
短剣を突き立てる。
オーガが、
崩れ落ちた。
---
静寂。
虫の声だけが、
響く。
リオは、
膝をついた。
「……死んだと、
思った」
カインは、
自分の体を見る。
「……傷が、
ない」
二人の視線が、
エステルに向く。
「エステル、
あんた……
何者だ?」
エステルは、
首を振る。
「……わかりません」
それは、
本当だった。
---
【シーン:辺境村・集会所】
【エステル レベル29】
簡単な祝宴。
パンと、
スープだけ。
それでも、
温かい。
リオが、
言う。
「俺たち、
組まないか?」
カインも、
頷く。
「一人より、
いい」
エステルは、
少し考えて、
頷いた。
「……お願いします」
初めて、
仲間ができた。
胸が、
少しだけ、
軽くなる。




