外伝 「黄昏の残光」
【シーン:辺境の町・酒場】
【ガルド レベル205】
酒場は、
静かだった。
客は、
まばら。
ガルドは、
一人で座り、
酒をあおる。
苦い。
昔より、
ずっと。
---
あの日。
王都の広場。
エステルの背中。
何度、
思い出したか、
わからない。
「俺は……」
呟きが、
漏れる。
---
扉が、
開く。
レオンが、
入ってくる。
続いて、
フェイ。
三人が、
同じ卓につく。
沈黙。
---
「……生きてるか」
レオンが、
言う。
「なんとかな」
ガルドは、
答える。
フェイが、
視線を落とす。
「俺たち、
間違えたよな」
誰も、
否定しない。
---
【シーン:回想・黄昏の五刃・全盛期】
【ガルド レベル210】
魔物の群れ。
ガルドが、
盾を構える。
レオンが、
切り込む。
ミュラが、
呪詛を放つ。
フェイが、
召喚獣を呼ぶ。
エステルが、
後ろで光を灯す。
誰も、
倒れない。
当たり前のように。
---
「……あの頃、
俺たちは、
強かった」
ガルドは、
言う。
「違う」
レオンが、
首を振る。
「支えられてた」
フェイが、
小さく頷く。
---
【シーン:辺境の森】
【ガルド レベル205】
三人は、
依頼を受けていた。
討伐対象。
岩甲獣。
硬い甲殻。
力任せでは、
倒せない。
---
岩甲獣が、
突進する。
ガルドが、
盾で受ける。
衝撃。
腕が、
痺れる。
レオンが、
背後を取る。
刃が、
弾かれる。
フェイが、
魔獣を呼ぶ。
踏み潰される。
---
「くそっ!」
ガルドは、
歯を食いしばる。
昔なら、
エステルが、
後ろにいた。
傷は、
すぐ塞がった。
今は、
塞がらない。
---
レオンが、
腹を切られる。
血が、
噴き出す。
フェイが、
倒れる。
ガルドは、
叫ぶ。
「退くぞ!」
逃げるしか、
なかった。
---
【シーン:野営地】
【ガルド レベル205】
焚き火。
レオンの腹に、
包帯。
フェイは、
青い顔。
「……弱くなったな」
レオンが、
言う。
「違う」
ガルドが、
首を振る。
「元々、
俺たちは、
この程度だった」
---
沈黙。
フェイが、
呟く。
「エステルは、
今、
どうしてるかな」
ガルドは、
目を閉じる。
王都の噂。
世界樹。
奇跡の少女。
全部、
知っている。
---
【シーン:王都近郊・丘】
【ガルド レベル205】
三人は、
遠くから、
王都を見る。
近づかない。
近づけない。
「……追いかけるか」
レオンが、
言う。
「違う」
ガルドが、
言う。
「俺たちは、
俺たちの道を行く」
---
フェイが、
笑う。
「遅すぎる再出発だな」
ガルドも、
少し笑う。
「それでも、
歩く」
---
【シーン:別れ道】
【ガルド レベル204】
三叉路。
レオンが、
右へ。
フェイが、
左へ。
ガルドは、
前へ。
振り返らない。
---
ガルドは、
呟く。
「エステル」
「ありがとう」
言葉は、
風に消える。
---
【シーン:遠景・黎明の灯】
【エステル レベル48】
遠く、
丘の上。
エステルは、
空を見る。
理由は、
わからない。
でも、
胸が、
少しだけ、
温かい。
---
彼らは、
交わらない。
それでいい。
それぞれが、
それぞれの道を行く。




