その嘘を突き通せ
※本作はフィクションです。実在の法律・人物・団体とは一切関係ありません。
「ねえってば!ゲーム機買ってよ!
2組の子、みんな持ってるんだよ!」
「みんなって誰なのよ?」
「みんなはみんなだよっ!
僕だけだもん。持ってないの!」
ツバサ君は小学3年生。
『みんな持ってる』、『みんなやってる』が口癖の、屁理屈の多いお年頃です。
かわいいですね。でも、お母さんには通用しません。
「わかった!そんなにツバサが言うなら、本当に2組の子全員が持っていたら、買ってあげるよ!」
「ほんと!?やったぁ!!約束だよ!」
「ホントホント。
でも、嘘だったら承知しないからね。」
さあ大変なことになりました。
実は、ツバサ君のクラスで、お目当てのゲーム機を持っている子は一人もいないのです。
咄嗟に嘘をついてしまったツバサ君。
しまったぁ、と思うものの後の祭り。
こうなったら嘘を突き通すしかない。そう心に決めたツバサ君。
さあどうなることやら。
次の日、ツバサ君は自分の銀行口座からこれまで貯めていたお年玉一万円を引き出し、それをお父さんのネット証券口座に入金すると、お父さんを自分の手足のように使い、自分の言うとおりに取引をさせ、500万円ほどの資金を調達しました。
それから、日雇いバイトサービスで人を雇い、金の力にモノを言わせて人海戦術を展開。クラスメイト全34人分のゲーム機を確保しつつ、同時並行で探偵を雇いクラスメイト全員の住所情報も入手。
そして、足が付かないよう県境を三つ跨いだ遠い場所からクラスメイトの家へ向けてゲーム機を匿名配送したのです。
この間わずか一週間。
ツバサ君はお母さんに自分の仕業とバレることなく、クラスメイト全員にゲーム機を持たせることに成功したのでした。
(お父さんは金で黙らせた。)
「本当にツバサ以外のみんなが持ってるなんてねぇ…そんな偶然あるのかしら?
でも、約束は約束だもんね。疑ってごめんね。
はいツバサ、これ。ゲーム機だよ。」
「やったあ!お母さんありがとう!!」
首尾よくゲーム機を手に入れたツバサ君。
でもちょっと疲れちゃった。やっぱり嘘をつくのは良くないな。
ゲーム機を抱きしめながら、そう反省するツバサ君なのでした。




