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社会的エッセイ

お鍋の蓋理論 〜組織に潜む“フタ”の話〜

料理をするとき、必ずと言っていいほど登場する道具があります。そう、「鍋」と「蓋」です。

鍋に材料を入れ、火にかけ、必要に応じて蓋をすることで、熱が逃げにくくなり、調理の効率がぐっと上がります。


ですが、ここでひとつ質問です。

「鍋」と「蓋」、どちらか一方しか使えないとしたら、あなたはどちらを選びますか?


多くの人は「鍋」と答えるでしょう。

なぜなら、蓋がなくても料理は可能ですが、鍋がなければ調理そのものが成り立たないからです。

蓋はあくまで補助。料理の主役は、材料を入れて加熱する鍋なのです。


さて、この関係性は、実は会社や組織でもよく見られます。

現場で動き、手を動かし、成果を出している「部下」が鍋だとするならば、その上に乗っかっている「上司」は蓋のような存在。

本来ならば部下の力を引き出すための補助的役割を担うべきですが、実際にはどうでしょう?


ただ重しとして存在し、動きを抑制し、熱を逃がしてしまうだけの蓋のような上司。


さらに悪いことに、何か問題が起きたときには、「鍋(部下)」のせいにされることがよくあります。

「鍋の扱いが悪いから、材料(お客様からの注文)が台無しになった」と責め立てられる。

けれど実際には、上に乗っていた蓋(上司)が余計な口出しをし、火加減を乱し、結果的に料理をダメにしてしまった。

現場の状況も分からず、大声だけ張り上げて、何の役にも立たない――そんな“蓋”の存在こそが、失敗の原因なのです。


こうして、本来必要とされている人材が辞め、蓋だけが残る――そんな理不尽な構図を、何度も目にしてきました。


もちろん、すべての上司が無能な蓋とは限りません。

中には、ブランド力や人脈といった“圧力鍋の蓋”のような高性能な存在もあります。

けれど、そうしたケースはごくわずか。多くの場合、ただ乗っかっているだけの蓋であることが多いのが現実です。


だからこそ、私は提案したいのです。

組織を健全化するためには、「お鍋の蓋理論」を取り入れて考えるべきだと。


この人は本当に必要な“蓋”なのか?

鍋を活かす存在か、ただの重しになってはいないか?

そう問い直すことで、本当に必要な人材が誰なのかが見えてきます。


蓋ばかりが偉そうにしている組織に、未来はありません。

熱を受け止め、材料を煮込み、成果を生み出すのは、いつだって鍋なのです。

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