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決戦!指輪を賭けた命のゲーム

「どうする、このゲーム、やってみる?」

 不敵に笑いながら、私はそう尋ねたが、カールが必ず応戦してくることは心の中で既に分かっていた。


 リアの記憶によると、カールは極度(きょくど)にけちな人間で、ほんの少しの利益も見逃さない。

 このゲームは一見公平だが、賭けるものは彼にとって非常に有利だ。もし私が勝ったら、指輪を取り戻すだけ──だが逆に、彼が勝った場合、五枚の金貨を取り戻す上に、私の人身制御権も得ることになる。

 案の定、今のカールはいやらしい目つきで私を見つめている。


「本当に、好きにしていいの? どうでも?」

「もちろん」

 彼の気持ち悪い目つきを我慢しながら、私はあっさりと答えた。


「ホーマン、どう思う?」

 酒場で会計をしていた店員のホーマンはうなずきながら答えた。

「確率的に見ると、両方が表になるのは4分の1、同じく裏も4分の1。そして片方が正反対なら2分の1──つまり、期待得点(きたいとくてん)はお互いに同じだ」


「まあ、あなたが負けるのが怖いなら、別に断ってもいいよ。」

 最後に、私は火をつけた。

 この明らかな挑発に、やはりカールの顔色はすぐに青くなった。


「やろうぜ──太陽神様に誓ってッ!」

「じゃ、私も太陽神様に誓って」

 私もカールの動きに倣い、指を3本掲げた。


 太陽神はこの世界の支配神であり、その名のもとに宣誓(せんせい)することは最も重い誓いとされている。もし誓いを破れば、それは神への冒涜と見なされ、太陽神を信仰するロマンシア大陸では決して許されることはない。


「ふふ、負けても絶対泣かないぜ」

 おそらく自分の勝利を確信し、その後に得るものを思い描いている様子のカールは、下卑た笑みを浮かべた。


 ──あんたこそ、負けても泣かないでよね。

 私は依然として淡々とした表情を保ちながらも、心の中ではすでに微笑みを浮かべ始めていた。


 実はカールよりも、二階からフードを被った二人の視線の方が、私にはずっと圧迫感を与えていた。

 ゲームの対決を提案してから、彼らは完全に私に目を留めているようだ──いや、気のせいだろうか?


 ようやくゲームが正式に始まり、誰も視線を逸らすことなく、ゲームの進行に注目している。

 一局一局が進むにつれて、カールの笑いは徐々に消え、ついには氷のような冷たい表情になった。


 そしてついに100局が終わり、観客全員が目を大きく見開いた。


「118対83、優勝者は……リ、リアだ。」

 得点をカウントする役割を担ったホーマンは、震える声で結果を発表した。


「ふざけるな!イカサマだ!お前、イカサマしただろ!」

 カールは勢いよく立ち上がり、私に向かって絶叫した。

 

「え~、失礼ですが……イカサマの証拠は?」

 私は再び、不敵な笑みを浮かべた。

「こんなにたくさんの目が見ている中で、イカサマをする余地なんてないでしょう?ここに、私が不正をしたところを見た人はいますか?」


 私は目線をぐるりと酒場中に巡らせたが、誰一人として声を上げる者はいない。


「それとも、誓いを破りたいのかしら?太陽神様の名のもとに宣誓したのに?」

「そ、それは……」


 カールはぐずぐずし始め、結局何も言い返せなかった。

 さすがカールでさえ、人前で太陽神の誓いに背く勇気がないようだ。


「じゃあ、指輪を頂くわ」


 空中に浮か水晶指輪を、手元に引き寄せる。


「ちなみに、金貨5枚もありがとうございました❤」


 カールに向かって軽く一礼し、そのまま振り返ることなく立ち去った。

 薄っすらと、周囲からざわめき立つ議論の声が耳に届いてくる。


「あんな条件で、あの子は貞操どころか、自分の命まで賭けたんだな。」

「自分が勝つと確信してたのか?いったい何者?」

「お前はよそ者だから知らないのも無理はない。彼女は郊外にあるマリア修道院の孤児、リアだ」

「孤児なのかよ。若いのにこんな対応ができるなんて、不思議な子だな……」


 酒場を出て中央通りを曲がったところで、私はようやく安堵(あんど)の息をついた。

 手に持っている水晶指輪を注意深く観察し、以前と同じように無傷であることを確認した後、それを慎重に服のポケットにしまい込んだ。

 ──よかった……これでベラに返せる。



 そう思った瞬間、体が突然障壁(しょうへき)の層を通り抜けたような感覚に襲われ、もともと人混(ひとご)みで賑わう中央通りから、人けのない路地へと場面が変わった。


空間魔法(くうかんまほう)!」

 私はすぐにそれを見破り、警戒しながら周囲を見回した。

「誰だ!?」

 私が問いかけたその瞬間、背後からかすかな笑い声が聞こえた。


 驚いて急いで振り返ると、フードを被った二人組の姿が目に入った。背の高い方は路地の出口に立ち、明らかに私の逃げ道を塞ぐための位置取りだ。

 もう一人は建物の窓枠にだるそうに腰掛けながら、じっと私を見据えている。

 ──さっき酒場の二階にいた二人だ!


 だが今では、彼らはすでにフードを引き下ろしていた。

 陽だまりの下で、非常に整った二人の顔立ちが目に映る。


 立っている方の少年は少し年上のようで、17歳か18歳くらいだろうか。黒髪がきちんと整えられ、クールな表情を浮かべている。

 もう一人の少年は、自分と同い年くらい、15歳ほどに見える。薄い金色の髪がわずかに乱れ、額には数本の髪が垂れている。

 二人とも澄んだ蒼色の瞳を持ち、頬の輪郭はまるで彫刻のように美しい。フードの下から覗く服は繁雑ながらも高級感があり、彼らが貴族であることを物語っている。


 私は、その場で血の気が引いていくのを感じた。


 この二人は、ゲームの攻略対象であるイグニス家の兄弟──ヴィクトル・イグニスとニコラス・イグニスじゃない!!!!!!!?


「さっきのゲーム、一つ聞きたいことがあるんだけど」


 声を上げたのは弟だった。

 天使のような顔立ちで、親切そうに見えるが、どこか恐ろしさを感じさせる微笑みを浮かべながら、私をじっと見つめている。


「どうしてお前は、自分が必ず勝つと確信できたの?」



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