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私は悪役魔女に転生した!?

「ふざけんな!!!こんなこと、ありえないだろ!!!」

 

 すべてを思い返すたび、机に頭をぶつけたい気分だ。

 

 ——ダメだ! こんなところで動揺しては……

 

 必死に自分を落ち着かせようとし、周囲の様子を観察し始める。

 

 遠くないところに、街の中央で一つの噴水池(ふんすいち)がある。

 日は春先(はるさき)で、清冽(せいれつ)な泉が噴水の中心から流れ落ち、水壁を作り出している。日光が水面にこぼれ、飛び跳ねる雫が色とりどりの光を反射する──そして噴水池の真ん中には、大理石で彫刻された一つの像が立っている。

 その像が視野に入った瞬間、なぜか私は、すぐにそれが太陽神であることを感じ取った

 

 太陽神は背が高く、とてもハンサムで、金色の光を放つ冠をかぶり、左手に太陽を象徴する金球を持ち、右手には権力の杖を握っている。

 美しい絵のような光景が広がったが、すぐに氷の洞窟に落ちたような冷え込みが襲ってきた。

 

 やっとそれが何なのかを理解した瞬間、私は両手で口を覆い、声も出せずに叫んだ。

 

 今、私がいるのは…1週間も遊んだ「薔薇の王座」のカルサ城じゃないか!?

 そして目の前の像は、光と正義を象徴する太阳神――この世界が崇拝(すうはい)する神像(しんぞう)だ!

 

 私は深く息を吸い、ようやく動揺を抑えた。

 そして前の噴水池に近づき、そっと中をちらっと覗き込む。

 水面はとても澄んでいて、ちょうど私の大まかな姿が映っている——

 

 微かに巻かれた薄茶色の長い髪が肩に散らばり、瞳は虹のように輝き、細い体がまるで15歳のようで……

 驚きが胸を締めつけ、一瞬で息が止まる。

 まさに青天(せいてん)霹靂(へきれき)

 

 ——ありえない……!

 

 この見た目、まさかゲーム中の悪役魔女リアにそっくりなんじゃない!?

 ほぼ同時に、私のものじゃない記憶が急に頭に押し寄せてきた──それは、リアの記憶だった。

 

 『身元発見おめでとう!』

 

 その時、脳内に突然、音が響いた。

 さっきの暗闇にいた子供の声だ!

 

「誰! 誰だよ!」

 

 びっくりして、私はすぐに大声で叫び、噴水池の端から落ちそうになった。

 周りの行人は、まるで狂人を見たかのような目線を投げてくる

 

「お母さん、どうしてあのお姉さん、独り言しているの?」

「ふーん、変な人に構わないで」

 

 耳に入ってくる無遠慮(ぶえんりょ)な議論から推測すると、自分以外の誰もその声を聞こえないらしい。

 再び深呼吸をし、頭の中で尋ねてみる。

 

 『あんたは誰?さっきの暗闇での自称神なの?』

 『酷いなぁ。自称なんかじゃなくて、紛れも無く神様なんだけど』

 

 その声は不満そうに言った。

 

 『でも「ソル」って呼んでいいよ...それが僕の名前だ』

 その神様は、親しげに答える。

  

 ……なんて勝手な神様だ。

 そして、なぜ神様が子供なの!?

 もう、どこから突っ込めばいいのか、さっぱりわからないよ!

 

 『さて、君はすでに自分のキャラクターが分かった以上、最初のゲームミッションが始まるよ』

 

 私の錯覚(さっかく)なのだろうか……その声はすごく機嫌がいいような気がする。

 ソルの言葉が終わると、一瞬で金色の光が私のそばに広がり、周りには一つの結界が形成される!

 

 『結界内の時間の流れは外とは違うよ。()()()の10万分の1くらいだから、他の人の目にはリアが瞬きしただけで、結界内の出来事に気づくことは不可能だ』

 

 ソルが説明している同時に、私の前に突然ゲームインターフェースのようなフレームが現れ、テキストの段落(だんらく)がその上に浮かび始める。

 

【ゲームミッション:

 孤児リアとして「薔薇の王座」の世界で生きていくために、キャラクターになりきれ】

 

「それはどういう意味?ここで生きていくって!?まさか、後は何か恐ろしいことが待ってるの?」

 

 呆れ果てて、あの自称『神様』のガキを引きずり出して一発殴りたい気分だ。

 

「ははは、これからは頑張ってね。魔法の世界に生き残るのは大変だよ」

 

 私の質問に答えることなく、結界は一瞬にして溶け、ソルも姿を消した。

 

 この臭ガキ!

 もっとはっきり説明してくれよ!

 ──だめ、落ち着いて。

 今から手がかりを整理しなければならない。

 必死にそう自分に言い聞かせて、もう一度深呼吸(しんこきゅう)をした。

 

 もしここが『薔薇の王座』ゲームの世界なら、主人公はベラという少女である。

 彼女は、リア……違う、私と一緒にマリア修道院で育てられた親友だ。

 だが二人はまったく異なっていて、ほぼ二つの極端(きょくたん)と言えるだろう。ベラは性格が優しく、頑張り屋で、誰からも好かれる女の子だ。

 そしてベラは、修道院でリアに親切にしてくれた唯一の人だった。

 しかしリアはベラにひそかに嫉妬し続け、ある日ベラがうっかり指輪を落としたとき、 黙ってそれを持って行った。

 あいにく、その水紋の模様の水晶指輪(クリスタルリング)は、ベラの血統を示すもので、さらに身元の証明でもあった。

 ――それは、この世界の四大魔法家の一つ、アクア家の令嬢である証だった。

 それこそが、ゲーム『薔薇の王座』の序章(じょしょう)の始まりだ。


 リアは指輪を酒場のマスターに売り、修道院を出て大陸首都イカロス城へ向かう資金を得ようとしていた。

 意外にも、その指輪は転々と売られた末に、最終的にアクア家のエディ執事の手に渡ることになる。

 エディは名門伯爵家であるアクア家の執事だった。当主と奥様が暗黒神(あんこくしん)『ノクス』との戦争で命を落とした後、行方不明になったお嬢様を長年探し続けていた。そして、その手がかりを追い求め、ついにカルサ城のマリア修道院へたどり着く。


 その後、エディは指輪を売ったリアをお嬢様と見なし、修道院から連れ出した。しかし、リアはベラが本当のお嬢様だと知りながらも、貪欲(どんよく)と嫉妬に駆られ、その身分を偽る道を選んだ。

 それからリアは、修道院の過去とは全く異なる人生を歩み始める。

 

 ──あれ?

 

 待って!

 ここまで整理してきた時、全身の毛が逆立(さかだ)つような感覚がした。

 

 ──ゲームの序章って…今じゃない!!!?

 

 震えながら、ぼろぼろの修道服のポケットを触れてみる。

 予想通り、金貨の財布にぶつかった。

 

 ────まずい。

 まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいっ!

 

 今は、指輪を売ったばかりのタイミングじゃない!

 三日後、エディ執事が修道院に来て私を連れて行く!

 嫌だ!

 私は元のリアの末路を辿りたくない!!!!

 

 ゲームの流れでは、リアは無事にベラの代わりに令嬢となったが、ランロス魔法学院に入学する際、再びベラと遭遇した。

 ベラがエディ執事とすれ違った後、とある兄弟と出会ったからだ。

 彼らの助けを受けて、ベラはランロス学院に入学し成功した。そして、人生を変えることになった。

 それどころか、ベラはランロス学院内で多くの貴族の少年たちから好意を寄せられた。

 

 二人の少女の運命は再び絡み合い、不安と嫉妬が原因で、リアはベラを邪魔し続け、傷つけることを止めなかった。

 最終的に、リアは暗黒神の傀儡(かいらい)となり、魔女に堕ちてしまう。

 ベラはいつも優しい子だが、親友と見なされていた人に何度も裏切られ、ついにリアを許すことができず、最も邪悪な魔女となったリアを打ち負かした。

 その後、主人公の()()()()の一人であり、リアの恋しい相手でもあったヴィクトル・イグニスは、リアの魔力を封印する。

 最後に、魔女リアは中央神殿で公判され、火刑の結末を迎えた。

 

 ――ゲームでの火刑のCGは、少なくとも快適なものではない。

 

 それを思い出すと、私は物凄い痛みを感じた。

 だめだ!絶対にダメ!

 私は魔女にはなりたくない――!

 

 指輪はベラのものだ!

 私は必ずそれを持ち帰り、ベラを本来のお嬢様の身分に戻す!

 そう思いながら、私は酒場の方へ走り出す。

 その同時、心の底から切に祈る。

 

 ――絶対に、間に合うように!

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