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オレはおおかみ  作者: ふくろうねこ
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3

「ハア〜、ほんとに暑い日だねえ〜。こう暑いんじゃあ、ごみがす〜ぐ臭ってきちまう。さっさと燃やさないとねえ・・・。

どれ」

ずんしっ。ばたっ、がちゃがちゃ。


「ふう。しっかし、アタシもこんなにでかくなるってわかってりゃあ、もうちょいっと大きな家を作ったものを・・。これじゃあいちいち腹がつっかかって、身動きするたんびに汗みずくだよ、まったくもう」

ずんしっずんしっずんしっ。


「え〜っと、ああ、あったあった、マッチマッチ、っと。

ふん、なかなかいい油じゃないか。きつねもたまには役に立つねえ・・・。」

がちゃん、ぎいい〜。ばたん。

ずんしっずんしっずんしっ。


「ああ、そうだ!ついでに生ゴミも燃やしちまおうかね。この暑さじゃあ、穴掘って埋めるなんてやってらんないよ。燃やしついで燃やしついで、っと」

ずんしっずんしっずんしっ、がちゃ、ぎい〜、ばたん。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

なんだありゃあ。

ほんとに、あいつなのか?


きつねのやろう・・・・・・。

2倍どころじゃねえじゃねえか!


・・・・・・・クソっ。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

い、いや、オレは怖いわけじゃねえぞ?

ちょっとあんまり、あんまりあのチビが育ってるから、ちょーっと驚いただけだ!

くそう。

ゴミ捨て場まで、れんがで作りやがって・・・・。

これじゃあ、ふふうのふうっと吹き飛ばすわけにもいかねえだろうが!


ん?


ああ!だめだだめだ!

ふふうのふうなんてやっちまったら、オレさまのしっぽまで飛んでっちまうじゃねえか!

どうするかな?う〜む

「ちょいと!」

ぎゃっ!

「何やってんだい?そんなところで?ごみあさりなら、よそでやっておくれ!まったく、散らかるったらありゃしない。あんたらのら犬のせいで、こっちの仕事は倍に増えるんだ。

うん?どうやら新顔らしいねえ・・。いいかい、今回だけは見逃してやるから、とっとと消えな!今度やったら、ただじゃおかないからね!」


ひゅう。


「なんだいその目は?アタシになにか言いたそうじゃないか、生意気な。のら犬の分際で、ぶたに楯突くんじゃないよ!油かけて、焼き犬にしてやろうか!」


・・・・・・・ひゅう。

ちくしょう。れんがやろうのくせに・・・。


「ハア?れんがやろうだって・・・・?

おや・・・。あんた・・・。よく見りゃ、どっかで見たような・・。

ああ!

なんだい!

おおかみどんじゃないの!

あらあ〜、あんた、ひっさしぶりだねえ〜。

・・・・こりゃまた、ちょっと見ない間にえっらくみすぼらしくなっちまって・・・。

ひっどいもんだ。まったく。ハッ。

あれ?でもあんた、さすがにおおかみだろ?食うのには困ってないだろうに。

そんなとこで何やってんだい?」


な、なんにもしてねえ!ちょっと通りがかっただけだ!


「ふうん・・。

それにしちゃあ、えらく長いこと座り込んでたよねえ・・・・・。

ああ!そうか!油かい?!きつねに聞いたんだね?いいともさ。ちょっとぐらいなら分けてあげられるよ。そんなに多くはいらないんだろ?あんた、揚げ物なんかしなさそうだもんねえ・・・。

しかし、なんだいおおかみどん、とうとう生肉はやめたんだね。そうだよお、生肉は体に悪いさ。ちょっと焼いたほうがうまいに決まってる。

ああもちろん、アタシは食べないよ?自分で自分を食べるようなもんじゃないか。

ああだけど、ちょっと思ってることがあるんだよ、人間どもはさあ、よく、うしうし、ってありがたがるけどさあ、うしよりぶたのほうが絶対、肉はうまいに決まってる、ってアタシは思うんだよ。あんたもそう思わないかい?あ〜んな、ぐうたらどんすけのうしなんかより、アタシの肉のがうまいに決まってるよ。

ま、もちろんアタシは食べられてやるつもりはないけどね!ハッハッハッ!」


・・・・・・あのなあ。おれは・・

「ああそうだったね!油だったっけ!ここにあるよ、今分けてあげるからね!

あれ?なんだい、入れ物を持ってこなけりゃあいけないじゃないか!まさか手で受けて帰るつもりじゃあなかったろうね。

あ〜、そいういうこったね!せっかくここまで来たはいいけど、入れ物をどっかへ落っことしてきちまって、うろうろしてたんだね!

ああいいともさ!ぶたは気前がいいのが本来だよ、待っときな!ちょっとなにか、入れ物を見繕ってくるからねえ・・。

ああ!そうだ!うう〜ん、昨日掃除したばっかりで、奥のほうへしまい込んじまったよ!時間がちょいとかかるっかもしれないね!まあ、手で受けて帰るよりはましだろ、そこでちゃんと待っとくんだよ!」

ずんしっずんしっずんしっ、ぎい〜、ばたん。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

なんだありゃあ。

なに言ってんのか、半分も聞き取れねえ・・。

どんだけ喋りゃ気が済むんだ。

しかも勝手に話作ってやがるし・・。

・・・。

そうだ!

今のうちにオレさまのしっぽを

「あったよお〜!待ってな!」

ぎょえっ!!!

ずんしっずんしっずんしっ、

「ほれ、これでいいさ。さあ持ってきな。アタシも今からちょいと忙しいんだった。あんたの相手ばっかりはしていられないのさ、すまないねえ。さ、さっさと持って帰ってランチでもディナーでもやっとくれ。

あ〜、それにしても暑いねえ。あんた、知ってるかい?ふくろうのじいさん。この暑さでうろの中でひっくり返ってたんだってさあ。ありゃ、そうとう年だからねえ。このままぽっくり行くのかと思ったら、なんだかいい薬を誰ぞにもらったみたいでねえ。なんのことはない、今はぴんぴんしてるそうだよ。あんなじいさんがそんな元気になっちまうんだから、一体どんな薬だって話よ。ねえ。

それからさ、人間とこから卵かっぱらってきたその帰り道、あ〜んまり暑すぎて、くらっと来たみたいでさあ。ちょいとした木の根っこにつまずいて、ほとんど割れちまったんだと!ばっかだねえ!アタシならその場で食べちまうね!ああ、この馬鹿はきつねだよ。あんまりしょげてるもんだから、アタシのお手製のあぶらげやったら、顔しかめてたよ。アタシはきつねと言やあ、あぶらげだと思ってたけど、ほんとはちっとも好きじゃないんだってね!初めて知ったよ。でもさ、きつねったらその割にはしっかりくわえてたけどね。きっとはらぺこだったに違いないよ。しかしあいつはおっちょこちょいだねえ。あんまりおっちょこちょいすぎて、おをつけるのはもったいないよ。そう思わないかい?あいつはちょこちょいで十分だよほんとに、アッハッハ!こりゃうまいこと考えたもんだね、自分で言っといて何だけどそう思わないかい?今日はほんとに頭が冴えてるねえ・・・・。

ああ!」

な、なんだよ!

「こうしちゃいられない!ちょっとどうしてくれるのさ!お日さんがこ〜んなに高く上っちまったじゃないか!

さあさあ邪魔しないで、とっとと帰っとくれ!これからアタシゃ、ごみやきしないといけないんだからね!」


・・・・・・・・・。おい。

なんなら、オレがやっといてやるぞ。


「ハア?ゴミ焼きをかい?

あんた、物好きだねえ〜。この暑いのに、ゴミ焼きの手伝いとは!

ああ!そうかい!油のお礼、ってわけかい!そういうことならお願いしようかねえ。

アタシゃきれい好きで通ってるけど、どうもこのゴミ焼きだけは苦手でねえ・・。

ほら、なんかさあ、言いたきゃないけど・・・・。焼き豚になってくような気がするんだよ。

火の番をしてるうちに、だんだんアタシからいい匂いが漂って、おおかみでも近づいてきたらガブッと・・・・。

ああ!

おおかみはここにいたんだった!

まあ、あんたぐらいならねえ・・・。

ふふん。

まあとにかくじゃあ、頼むかね。でもやるんなら、最後まできちんと燃やしておくれよ?ちょっとでも残ってると、カラスのやつが寄ってくるし、とにかくアタシはあの気色悪い腐ったもんの臭いがだいっきらいなんだから!

いいね?!」


・・・・・・・ひゅう。

ああ、わかったよ。

油をそこへ置いときな。

マッチもな。


「ああそうするよ。だけど、油は全部使っちゃ駄目だよ?それでまた揚げ物するんだからね?何しろ油だけはなかなか手に入らないからゴミ焼きに使う分は、ほんのちょっと、って決めてるんだ。

絶対余分に使っちゃいけないよ。ほん〜の、ちょ〜っとだけ!だからね!」

わかったわかった

「ほんとにわかってるのかい?!」

わかったって。ほん〜の、ちょ〜っとだけ!なんだな?

「そうそう、わかってりゃいいの!じゃ、頼んだよ!」

ずんしっずんしっずんしっ、ぎい〜、ばたん。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・よっし!

名付けて、火の番はオレに任せろ大作戦!

ほんっと、オレさま、頭いいよなあ・・。

さすが森の王者、ってか?

よ〜し、これで堂々とオレさまのしっぽをとりかえせるってわけ

ぐわ!!!


・・・・・・・・おまえ・・・・。


まだいたのかよ・・・・・・?


・・・・・・・・・・・・見てたのか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・全部? 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ひゅう。


ま、まあ、オレさまの作戦はおまえにも読めなかっただろうけどな!

始めっからこうしようと思ってたのよ!

ぶたの丸呑みなんて、今はやらねえしな!

それに、それにっ、そうだ!

だいたいおまえ、あんなでっかいぶた丸呑みしたら、オレさま動けなくなるじゃねえか!

そしたらまた猟師がやってきてオレの腹をジョキジョキ・・・

いやいやいや!

とにかく、これがオレさまの作戦だ!どうだ?まいったか?

相手のふところに入って、油断をさせて取り戻す。

素晴らしい!

これこそ、本物の王者の作戦

「ちょっと!なにぶつくさ言ってんだい!早く燃やしとくれ!いつまでもさぼってるんなら、鍋にして食っちまうよ!」


・・・・・・・・ひゅう。

ふん。

まあいい、これさえ取り返しちまえば、もう用はないのさ。

あばよ!

「あっ!

こら!どこ行くんだい!まだ何にもしてないじゃないか!この油ドロボー!!!!

・・・・って?

ん?油もマッチもあるじゃないか。んん?何持ってんだいありゃ・・。

ああ!そういうことかい!

なあんだ、それならそうとさっさと言えば良かったのに!

お〜い、おおかみど〜ん!

そのしっぽ、はたき代わりに使ってたからさあ、ずいぶんほこりまるけだよお!いいのかい?!

ハッハッハッハッハッハッ・・・・・」



暗転

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