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オレはおおかみ  作者: ふくろうねこ
1/4

登場人物が二人ぐらいの劇を想定して書いています。

オレはおおかみ。


あ?


どこのおおかみだって?


チッ。


おまえ、オレさまのことを知らないってのか? あ?

ひゅう。


おまえだってガキのころ、読んだことがあるだろうが。




あ?



何を、だと?



はん。有名なところだと、あれだ。

ばあさんとこどもを丸呑みしたり、子ヤギを6匹も丸呑みしたり。





ああ、そうだよ。あのおおかみさ。

ま、つまり、泣く子も黙る、おとぎ話のワルモノだ。

森の王様ってとこか。

みろ、この毛並みを。

つやつや、ぴっかぴかしてるだろうが。





あ?


骨と皮ばかりになってるって?


ひゅう。




おまえも、丸呑みしてほしいか?ん?



ふん。口には気をつけるんだな。




なにい?



最近はヤギと仲良くやってるじゃねーかって?


ばかやろう!


あんなヤツと一緒にするんじゃねえ!





う…。

くっそ…。


叫んだら、目が回っちまったぜ…。


おまえ、命拾いしたな。

今のオレは、それどころじゃねーんだよ。

なんでかって?


ひゅう。


おまえ、それを言わせるつもりかよ。オレに?

おまえ、知らねえのか?

オレさまの悲劇を!





ふ。くっそ・・・。

叫ぶのはいけねえな。くらくらしやがる。




おまえ、ぶたの野郎を知ってるか?


はん?

そうか。なら話が早い。


あ?


あのおおかみはブタに食われたって?


・・・・・・・・・。

ひゅう。




ばっかやろう!!!!!!


くそっ、それこそおとぎ話だっ!





うー…。

だめだ。目が回る・・。

くそっ。

おまえみたいな不味そうなやつでも、口にできりゃあもうちょっとマシなんだが・・。

それどころじゃねえんだよ。オレは。

オレは今、スープ1杯、飲む気がしねえ。

もうもう、我慢できないとこまで来てんだよ・・。

とにかくなあ、

ドンガラガッシャーン!!!!!!!!

誰だ!


「へ、へいっ!あっしですう!おおかみのだんなっ!」


・・・フン。なんだよ。きつねのやろうか。

あのばか。

まあた外のバケツひっくり返しやがったな。チッ。


「あ、あのう・・・・・おおかみのだんな・・・・?」

入れ!

「はいいっ!」

ぎいい〜。

がちゃり。


「あ、あのう・・・。おおかみのだんなには・・・。ごきげんうるわしゅう・・」

うるわしいわけねえだろうが!このばかぎつね!

「ゥ゙ヒャイッ!」



ふん。

なんの用だ?

「はっ!はいっ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え〜っと?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「へへ、え〜っと?・・・なんでしたっけ?」

ドガシャーン!

「ひいいいいいい〜っ!」

おっと、手が滑っちまった。


「・・・・・・・・・・・手が滑ったら椅子が飛んでくるんすか?」

バッコーン!

「ひゃっ!」


ふん。

今度は足が滑っちまって机が飛んだなあ・・。

今度滑ったら何が飛ぶやら。多分、きつねとかじゃねえか?

「やっ、やっ、やめてっ、やめてくださいっ、思い出しました!思い出しましたからっ!」

だ〜か〜ら〜、

早く話しやがれって言ってるんだこのとんまやろう!

「はいいいいっ!あの!あのですねだんな!だんなの、だんなのしっぽが」

オレさまのしっぽがどうしたあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

「うわあ!あああああああああああ、あの、あのあのあの、あの、だんなのしっぽが、しっぽが、とうとう、とうとう、みつかったんでやすよ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ひゅう。


おれさまの、しっぽが?

見つかっただと?

「はい!あったんでやす!」


・・・・間違いねえんだろうな?

「はい!あの毛並みは確かにだんなのしっぽでやす!おいら、この目で確かめてきやしたから!」


そうか。

・・・・・・。

ひゅう。


まあきつね、ご苦労だったな。茶でも飲むか?

「えっ!!!

あ、ああああああ、は、はい!い、いいいいただきますですです」


こぽこぽこここここぽぽ。

かちゃん。


それで?

オレさまのしっぽは、今どこにあるんだ?

「はい!

ふうふうごっくん。うんめえ!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

ひゅう。

「あっ!えっとだ、だんなのしっぽでやした!え、えっとあの。

あっ!!!!

あ、あのう、あのう、だんな。

ぜっっっっっっっっっっっったい、怒らないで、聞いてくださいよ?」


怒らないで、だと?

「はい。

あのう・・・。


あの、だからっ、おいらっ、おいらは、見つけたってだけで!おいらがそこへ置いたわけじゃないんで!」

ひゅう。

「ひっ!」

ばかやろう!

ひと睨みしただけでそこまで縮み上がってちゃあ、話が進まねえじゃねえか!とっとと話しやがれ!

「はいっ!あのう、だんなのしっぽは、あいつの家の」


・・・・・・・。

あいつ?


「はい、あいつでやす。あのぶたの」

ぶただとお!

「ひいっ!」


・・・・・・。

フン、まあいい。

ぶたの?どうした?


「えっと・・・・・・。

だんな?ぜったい、ぜえったい、怒りっこなしですよ?」

わかったわかった。早く言え。


「はい、そのう・・。

あいつの、家のですね。

え〜っと・・。そのう・・・・」

早く言えってんだろうが!

「はいいい!

えっと、ゴミ捨て場にあったんでやす!」

ゴミ捨て場だとお!!

「ひゃあっ!だんな!おいらじゃないってば!あいつですよ!あいつがきっと、そこへ捨てやがったんですよ!」


ひゅう。


・・・・・・・・・・。

なるほど。そういうことかよ。

あいつのしそうなこったな。くそっ・・・・。




ん?



なんだ?


おまえ、まだいたのかよ。

これでわかったか?

食いもんも喉を通らねえほど、オレ様が悩んでるわけが・・。


そうだよ。

さっきも言っただろうが!

オレさまは、食われちゃいねーんだよ!

現にここに!こーして!オレさまはいるだろうが!

なんにも見てねえやつが、勝手なこと言ってんじゃねえぞ!

オレさまを舐めるんじゃねえ!

あんとき、オレさまは華麗な身のこなしで、鍋には落ちなかったんだ!


でも。


でもなぁ。



ひゅう。


あのブタ野郎がとっさに鍋のフタを閉めやがったせいで…。


オレさまの大事な、しっぽが。


しっぽが、ねもとっから、ちぎれちまったんだよ!!!!





舞台中央、客席側に壁のない、古ぼけた家、中には机、椅子が2脚、きちんとしたお茶セット、壁に紐が引っ掛けてある。おおかみは椅子にどんより座っている。家だけにスポットが当たっている(屋根はない)。

というイメージで書いています。

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