98◆敗走の反省会
階段の途中で目が覚めた。
ハービスホークとミキュラが運んでくれていた。
「重い」「軽い」
「すまなかった。ありがとう。自分で歩けるよ」
拾ってもらったロングソードを受け取ろうとして階段に落としかけた。
手に力が入らない。熱で浮かされたような感じもある。
「ダメだ。手に力が入らない」
「呪いのせいですよ。神殿で解いてもらいましょう」
「ああ、こうなるのか」
《インベントリー》に放り込む。
開き直って、壊れかけた鎧も入れてしまった。かなり動きやすくなった。
「危なかった」
「うむり」
「そうね!でも逃げられてよかったわ!」
当分の間やることは階段を上ることだけなので、反省会をしつつ進む。
「調子に乗りすぎたか」
「深い階層で力試しをしてみる分にはいい経験でしたね」
攻撃が無効化されている状態というのは普通じゃない。
「迷宮を一階ずつ潜ることにも、見えない意味がありそうだ」
「そうかもしれないですね」
「迷宮の力そのものかもしれません」
やっと踊り場まで辿り着いたので、休息を取る。
呪いと言ってもすぐに命を取られるものではないらしい。
食事も取りたい気分ではないが無理にでも食べた。
疲労もあるし、時間も大分たっているので、交代で仮眠も取ることにした。
「最初は上手く行っているように見えたけどな」
「いや。魔物に攻撃が効いてる手応えがなかった」
「うむり」「そうですね」
「魔物が攻撃者より強すぎると起きる現象かもしれません」
「新人を連れて不用意に深く迷宮に潜ると、魔物に攻撃が当たっているのに傷を負わせられないことがあると聞いたことがあります」
「そんなことあるのかよ!?」
「それだろうな。三人とも攻撃が効いてなかった」
「魔物がよほど強くない限り、滅多に起きないことだと思いますが、これは深く潜り過ぎましたね」
「まだ分不相応ってことだな」
認めたくないが認めるしかない。力不足ということだ。
「そうね。『まだ』よ!」
「ふみぃ」
「私の導術では解呪はできませんので、ガラアックの力を取り戻すには神殿へ行く必要があります」
「つまりガラアックの戦えない状態で上らねばならないということです」
「「はい」」「避けて進む」「おう」
「任せる。正直歩くので精いっぱいだ」
「盾持ちは私が」
ラベトリオが自然に発言する。
「あとはいつも通りで」
「荷物持ちならできるぜ」
「「うふふ」」「ん。病人は大人しくする」
「注意しつつ進みましょう」
「「「「はい」」」」「おう」
楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。




