88◆休日のラベトリオ
――親愛なるマロンへ。
秋も深まり寒くなる中いかがお過ごしでしょうか?
遠く離れた地より便りを送ります。
出立する前にお話ししたように護衛の任務の都合上どことは言えません。
ですが、とても充実した冒険者生活を送っているといえましょう。
長旅の移動もひと段落して、今は住みやすい街で落ち着いています。
仲間にも恵まれました。
この仲間達はとても賢明で、装備の強化に一定の割合で貯め続けているのです。
ドロップも相談しつつ考えながら、皆で使うことを優先するのです。
最初から売って金にして自分の懐に入れることを考える輩ではないのです。
若いのに信頼できます。
先日も重たい鎧に買い替えると大枚をはたいていました。
その一部は皆で貯えたものでした。
なかなかできることではないと私は思いました。
こちらは高台ということもありかなり寒く感じる日が出てきました。
そちらではどうでしょうか。
まだ落葉樹の葉が落ちるには早い頃でしょうか。
あなたと歩いた林の事を思うと今すぐに飛んで帰りたいと思うのです。
高名な魔術師ならばできるかもしれませんが、一介の戦士では無理な話ですね。
できることは、あなたの笑顔を想って剣を振るうぐらいでしょうか。
ですが気持ちだけでもと思い、この便りを送るのです。
正しく届いていてくれることを望みます。
少ないですがお金を同送しました。いつもの手順で冒険者ギルドから受け取ってください。
手数料はかかりますが、それを差し引いてもそれなりの額が残ります。
本を買うなり、美味しいものを食べるなりして勉学に役立ててください。
これから寒くなりますが、温かくして過ごされますように。
読書に夢中になるのもいいですが、睡眠も大事ですよ!
ラベトリオ
ハウ!
ジルベルト
あなたを愛する一人の冒険者より――
楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。




