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86◆再びの休憩

再び休憩を取った。

そうは言っても回復の時間は短い。導女の癒しの導術のおかげでもりもりと回復するからだ。

どちらかというと気力の回復の方が狙いだ。

ダメージを負うのに慣れていない人員が多いからな。


先に出した紅茶の香りの中で、自分も《インベントリー》からポットを出して珈琲を一口飲む。

こちらも試しているうちに、口に合うようになってしまった。

ホッとする瞬間だ。自分以外に人気は低いけど。


「方針として、魔兎は続けるがハイトレントは避けることにする」

「「「「「ウムリ」」」」」

「今日はハービスホークの様子見ということで連れてきたが、まだ付き合ってもらうぞ」

「ああ」

「せっかくここまで来たんだ、下をのぞいて行こうじゃないか」

「「「ああー」」」「いいわね!」「んむ」


「よし、休憩は終わりだ」

片付けて準備をする。


階段を下りた。五階に入る。

石組みの壁が続く迷宮だ。比較的幅の広い道が続いている。

広さは戦闘には問題なさそうだ。


「《聖導の盾》《聖導の守り》」

光がガラアックを包んで防御の底上げをする。


ジルベルトが警戒を解かない。近くに魔物を感じるのだろう。

「いるね。何かわからないけど臭い」

「どんなのだ?」

「スケルトンに近いかも。あれを酷くして職人街の臭いと一緒にした感じ」

「ふむ」

「この臭い。死霊の類なら私に別の支援ができます」

「心当たりがある?」

「ええ」

コクリとうなづく導女フラバス。

足を進める一行だが、通路の角を前に先行していたミキュラとジルベルトが止まった。

「来るよ。九ぐらい!」

「「「「「九!?」」」」」

「多いな。下がってやり過ごせるか試そう」

「ん」

全員で後退する。ひんやりとした通路がかび臭い。


幸い全部は来なかったが一部がこちらに曲がってきた。

「三体来た」

「後退しよう」

「「「「「はい」」」」」


階段の小部屋まで下がることになった。

ウロウロしているだけで成果がない。

「三体でまとまっている魔物みたい。分かれたのも三体ずつ」

「ふむ。やるときは少なくても三体と同時にやらなきゃならないのか」

「そう」

「やりましょう。私も援護します」

自信のある導女フラバスの態度に圧される形で承諾した。

「《聖導の盾》《聖導の守り》」


階段を降りると、包帯だらけの人型の魔物が三匹固まってウロウロしていた。

意外と動きが早い。

「ウ…ア…ウ…アァァ…」


待ち受けているわけではないようだ。

導女フラバスが戦端を切って導術を放つ!

「《浄化の聖風》!そして《聖風の一陣》!」


浄化の導術は、装備についた汚れを落とすだけではなかった。

魔物の体にしっかりと纏わりついてその呪いや澱みといった負の力を削いでいった。

そこに広域の対魔物用の衝撃波が光を伴って炸裂した。

魔物たちの中心から広がるそれは三体を圧倒して硬直させた。


「今です皆さん!」

「《双氷刃》!」

機会をうかがっていたワルケリアナの範囲魔術が二枚の大きな氷の刃となって三体に切りつけた。

魔物の周囲ごと気温を下げて氷付かせる。

動けなくなった魔物に前衛陣が突撃した。

手前から躊躇なしに攻撃した。

「エイエイ、エイエイ!」

パリパリと氷を砕く音が混じる。

「ソイヤッ!」

右、右、右と叩きつけて、盾で殴りつけた。

手応えが軽い。肉のある魔物の感じではなく、スケルトンに干からびた肉が着いているような感じだ。

「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」

滑らないように注意している慎重なラベトリオの連撃。

「ウォー!タァー!リャー!」

ハービスホークも好調な攻撃を見せた。

魔物が動き始める。


氷魔術の効果で遅くなっているにもかかわらず素早い動きで飛びついて噛みついてきた。

それが三体!

――アグアグ!アグアグ!

――アグアグ!

「フン!」

――ガブリ!

「いてっ!」一撃受け損ねた。

――パリーン!

光の盾が攻撃を和らげてくれたので痛みはほとんどない。

全身に寒気が走ったが何とか耐えられた。


盾で殴りつける。

「《聖風の一陣》!」

再び導女の導術が炸裂して目の前が光で一杯になった。

魔物の動きが止まる。

「今だ!」

「「おう!」」「んむ!」

右、右、右と入れて盾で殴りつける。そのままもう一度殴りつける。

「エイエイ、エイエイ!」

素早い回転で斬りつけるミキュラ。

「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」

ラベトリオの巧みな足さばきが出始めた。

そこで魔物が三体とも崩れ落ちた。

――ボフン!

茶色い煙を吹き出して迷宮に吸収されていく。

残された魔石は一つだ。ドロップは特に出なかった。


「何かもらいましたか?」

フラバスに尋ねられたがわからない。

「噛まれたときは寒気がしたが、今は何ともないな」

「一応かけておきましょう」

「《聖導の癒し:病魔》!《聖導の癒し》!」

柔らかな光がガラアックを包んで回復を促す。

「ありがとう」


「この魔物は三体で一体なのね!」

「あまり強くはない印象です」

「スケルトンを含めて、こういう魔物は複数で固まっていることがあるようですね」

「「「「ああー」」」」

「あまり相手したい魔物じゃないな」

「迷宮ですからね。どこか遺跡のような古い墓場にできた迷宮の写しでしょう」

「ふみぃ」

「戦えない相手じゃないことが分かったな。さて、引き上げようか」

「「「「「はい!」」」」」





楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。

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