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85◆窮地の後で

戦いは続いている。

「ゴゴゴゴゴ」


――ブン!

再び払いの一撃が太い枝で来た。

「フン!」

今度は上手く姿勢を入れ替えて、受け流すことができた。

追撃を警戒して突き返しは入れなかった。

枝の動きの隙を見て連撃を入れる。

盾で殴りつけてから、右、右、右と入れた。


「《氷弾》!」

起きたワルケリアナが魔術を放つ。

破裂音とともに氷の破片が飛び散る。魔物の幹から枝まで冷却されて、動きが鈍る。

「ミキュラさん起きてください!」

声だけが聞こえている。

「《氷弾》!」

再び破裂音とともに氷の破片が飛び散った。ワルケリアナが腹を立てているのだ。


「無理するな!」

「わかってる!」

「エイエイ!エイエイ!」

ミキュラの連撃が始まった。確認するような刻み方だ。

見えない位置での動きなので動けているのを知ってホッとする。

「ガァー!!」

叫び声が聞こえた。ハービスホークがラベトリオに起こされたようだ。

「まだ、続いてるぞ!」

叫んで知らせる。聞こえてるといいが。

「《聖導の盾》!《聖導の癒し》!」

柔らかい光がガラアックを包んで防御の支援をする。

回復の促進がパーティ全体に光を伴ってかかった。


魔物を盾で殴って牽制する。

導女フラバスは弱まってると言っていたが、もう一度使わせるわけにはいかない。

次は止めたい。盾越しに警戒を強める。


「エイエイエイ!」

外しつつも連撃を当てるミキュラ。

「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」

起こしに回っていたラベトリオが前衛に復帰する。

巧みな足さばきからの連撃だ。

「ウォー!タァー!リャー!」

起きたハービスホークが両手剣を右に左に大切断して見せた。

「《双雷矢》!からの《双雷矢》!」

ワルケリアナの音を立てて飛ぶ雷の四本の矢が突き刺さると、衝撃が幹から全体に広がって抜けた。

梢から濃い緑の葉がパッと散った。

魔物の身体がギクシャクとして動きを止める。

すぐに始まる迷宮の吸収で沈み始める。

魔石とドロップの杖が上質な木材とともに残される。


「我が友ジルベルト、《郷愁の犬》よ。出でよ!」

魔力の塊が犬の形をとって出現した。吠えずに静かに周囲を見回している。

「おお?なんだなんだ」

「使い魔ですよ。警戒をさせます」

「なんだ味方か。ならよろしくな!」


「ふへー。疲れたぜ」

「ミキュラ、周囲の警戒できるか?」

「できる…けど、本調子じゃない。たぶんまだ緩く囲まれてる」

「そうか」

この状況で連戦はキツイ。相手が全体攻撃してくるならなおさらだ。

少なくとも一休みしたいところだ。集中力が切れかけているのは全員同じだろう。


「下への階段部屋の方が近そうだな」

「そうね!」「んむ」「「はい!?」」「ああー」

「やらずに行けるか?」

「たぶんいける。トレントが来た方が階段部屋のはず」

「よし、進もう」


ジルベルトが先頭に立って誘導してくれた。

ミキュラの補佐として役立っていた。

そのおかげもあり、幸運にも魔物に遭遇することなく階段部屋を見つけることができた。

追加の戦闘はなしで、下へ向かう階段の小部屋に入ることができた。


「勝ったのに逃げ込む気分だぜ」

「わかりますよ」

ラベトリオとハービスホークは仲が良くなったかもしれない。

「飲み物を出すよ。休憩だ」

それぞれが腰を下ろして楽な姿勢を取る。


「みんなは平気か?傷を負うのは珍しいだろう?」

小部屋に入って安心したのか導女がいつも通りニコニコしている。

「これぐらい平気ですよ!痛みのある人がいたら癒します!」

底知れない女性だ。心配する必要のないぐらい元気があった。

「スゴク痛かったわね!」

しかめっ面のワルケリアナ。だが意外と元気そうだ。

「んむ!」

ミキュラの顔が怒っている。耳を伏せているのでかなりの怒りのようだ。


「ちょっと油断してましたね」

ラベトリオが元気なく言う。導女の護衛の役目もあるのだから、反省する必要があるのだろう。


「これを毎回食らって戦うってのはなあ」

「最後にいいのを食らわせてやったから、気分は悪くないな!」

「またやろうっていうなら、考え直してもらいたいが」

ハービスホークがよくしゃべる。

「対策なしにはやらないよ」

「そうね!」「んむ!」

「ありならやるのか…盾持ちだからか…負けてるなオレ」


「耐性装備が必要な相手がいるって聞いてたんだが、こいつもそうだったみたいだ」

「「「ふむ」」」「「ああ」」

「やるなら風属性が必要ね!」

「魔術抵抗が効いたよ。装備が温かくなった」

「初級迷宮のドロップね!」

うなづいて見せる。

「でも全員分揃えるより、先を見た方が判断としてはよさそうだ」


「この階のトレントで狙うドロップがあれば別だけどな」

「他に何が落ちるか、わからないですから」

「んむ。知らない」

「避けていけるなら避けてよさそうではある」


「倒せてよかったが、積極的には狙わないことにしよう」

「同意するわ!」「わかった」「「はい」」「おう」

「今後のことも考えて、耐性装備がどこで手に入るか気に留めておこう」

「「「「「ウムリ」」」」」


「ドロップの杖なんだけど、魔術の効果が上がる付与がされてるわ!私が使ってもいいかしら?」

「「「「「どうぞ!」」」」」

「うふふ。ありがと!」

「他のは仕舞っておこう」

木材のドロップと魔石は《インベントリー》に回収した。





楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。

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