76◆マード南西の森で
「近くには倒せそうなのはもういない」
「ミストリザードはあらかた倒せたな」
「強そうなのなら幾つかいるけど、逃げることになる」
「それはいやですね」「ですね」
「ふむ。移動してラージスパイダーを狩ろう」
「こっち」
枯れた枝や落ち葉の重なりを踏みしめて進む。
もっとしっとりとした森だった気がするが季節で変わるのかもしれない。
ジルベルトが生き生きと走ってミキュラについていく。従魔とは不思議な存在だ。
「いた。スパイダー。連戦になる」
「やるぞ」
「「「はい」」」
樹上のラージスパイダーに矢を射かける。
――ヒュッ!ヒュッ!
二人で二本ずつ放って二本とも当てた。すぐにラージスパイダーが木から落ちてきた。
「キシシシシ」
サイズが小さい気がする。以前ミルトリン達が倒していたのはもっと大きかったはずだ。
「小さい?」「小さいね」「うむり」
どこにいたのかもう一匹落ちてきた。
「キシシシシ」
「追加だ!」
「「「はい!」」」
「《双氷矢》!からの《双氷矢》!」
二本ずつの氷の矢がワルケリアナから魔物に向かってそれぞれ飛んでいった。
突き刺さって氷付かせる。見ていてわかるほどに二体とも動きが鈍くなった。
「ウォリャ!」
前進して突き込んで引きざまに盾で殴りつける。
隙があったので連撃も入れた。
「エイエイ、エイエイ」
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
二人の連撃が決まるとラージスパイダーの身体が地面に崩れ落ちた。
すぐに《インベントリー》に回収する。
前に進んで凍えて動きを鈍らせているもう一匹にロングソードを叩きつけた。
連撃が決まる。
「ソイヤッ!」
「キシシ!」
ラージスパイダーは尻から出した糸を噴き付けようとしたが失敗していた。
「エイエイ、エイエイ」
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
攻撃が一息つくと同時に魔物が力なく崩れた。
《インベントリー》に回収する。
「手応えがないですね」
「以前来た時見た物より小さい魔物ですね」
「トカゲが増えて、スパイダーが減ったようだな」
「近い方はそうだけど、蜘蛛が奥の方で固まってるのはいっしょ」
「「「「へぇー」」」」
「強いのがいっぱいいるからそっちには近寄れない」
「じゃあ、このラージスパイダーと同じぐらいのを狩り続けるか」
「そうね!いい稼ぎになると思うわ!」
「ギルドへの報告にはミキュラさんの所感も併せておくとよろしいかと思います」
「結構大事なことですから」
「そうだな」
「んむ。まだいるから進む」
ラージスパイダーを狩り続けるパーティ一行。
実力が上がった実感よりも、魔物が弱いことの印象が強い一日だった。
ミキュラの誘導に従い、あまり奥には進まずに狩りを続けた。
夜には森から離れて野営して翌日に帰って来た。
中級迷宮のものより弱かった魔兎と魔鹿もあっさり仕留められたので、迷宮産との味の違いにワクワクしながらの引き上げだ。
充実した小遠征になった。
楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。




