65◆雑貨屋にて
パンプキンに支配されたかのような店内飾りの雑貨屋にカバン妖精はいた。
「来ないねえ」
「待ってるのにねえ」
「普通のカバンならたくさんあるけど。タイニーパンどこだろ?」
マードの街の雑貨屋に飾られているカバンの中でひとり呟く妖精。
タイニーチャイミーは待つのに飽きていた。
「お茶会に行ってみようっと!」
わずかな光と共にカバンの奥に消えるタイニーチャイミー。小さな鐘の音が響いた。
◆◇
「ですのよみなさん!悲しい話でしょう?」
「「「ホントぅ?」」」
「ホントぅですのよ!」
小さな鐘の音が響いて、タイニーチャイミーが出て来た。
「いまきまちたよ!」
「「「「タイニーチャイミー!」」」」
「なになに?」
「タイヘンタイヘン!」「そーなのよ!」
「タイニーパンが試したらできなかったの!」
「なにを?」
「「「「《インベントリー》!」」」」
「ほへ?」
「説明してあげて、タイニーパン」
「嫌ですわ。こんな悲しいこと私の口からはもう話したくありませんの」
「あららー」「もう」「仕方ないわね!」
「○○候補の話はしたでしょう?」
「うん」
「その《ギフト》の《インベントリー》にタイニーパンが潜ろうとしたらね」
「「弾き出されちゃったのよ!」」
「えーっ!!」
「弾かれてしまいましたわ」
うなだれるタイニーパン。
「危うく迷宮の冷たい床にボトンするところでしたのよ!」
「「「「ヒエ~!」」」」
「飛べばいいじゃない」
「「「「そうね!」」」」
「どうします?」「この娘は飛ぶの上手なのよ!」
「ワタシ食べ過ぎで上手く飛べない…」
「「「あなたは動きなさい!」」」
「はーい」
「私荒れ地の街まで来たんだけど…意味なかった?」
不思議顔のタイニーチャイミー。
可愛そうなものを見る目のカバン妖精一同。
「住処にするには狭いですけど。しばらくならウチに来てもいいですわよ」
「うん。いまね、雑貨屋で待ってるんだ」
「あら、もうすぐ向かうみたいでしてよ」
「そう?でも駄目だったんだよね?」
「あ、新品の革のイイ香りがする!行かなきゃ!またね、みんな!」
小さな鐘の音と共に姿を消すタイニーチャイミー。
「「「ああっ!待ってタイニーチャイミー!」」」
「どんなカバンか聞きたかったのに!」
「まあ、あの子ならまたすぐ顔を出すでしょ!」
「ホント、話を聞かないのよね」
「ウチに来るのかしら…」
◆◇
「お小遣いを入れたりなんかしないわよ!」
「雑貨屋で何買うんだ?」
「着替えを入れておける箱をもうひと箱欲しいのよ」
「そりゃあると便利かもな」
「選んで出せる?」
聞くワルケリアナ。手にした革の財布は迷宮で手に入れたものだ。
「選んで出せるよ」
応えるガラアック。
「それはまた凄いですね。《ギフト》に感謝です」
「聖なる導きがありましたね」
軽装にカボチャマント姿。パンプキンウィッチのチビ幻影を乗せたガラアック一行が店を物色していた。
「売り物は別にして、手元に残しておきたい装備が増えたら、装備の箱も作ろう」
「分かりやすい方がいいわね!」
ワルケリアナの手に持った革袋からチリリンと小さい鐘の音がした。
休日にすると言っても全員で集まって、あーだこーだと過ごす一同だった。
ワルケリアナとミキュラ、導女フラバスの合作パンプキン料理&お菓子に舌鼓を打ったのが昼前のことだった。
ガラアック「お店のくらい美味しいよ?」
ミキュラ「もっと褒めて!」
ラベトリオ「もっと甘くして大人味にしてもいいかもしれないですね」
ワルケリアナ&フラバス「甘いのは大人味!?」
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