64◆休憩と先の予定
数戦をこなした後、そろそろ戻る頃合いだと引き返してきたパーティ一同。
期待していたが、やはり属性剣はレアらしく、再度落ちることはなかった。
階段の小部屋で休憩する。
他にも休んでいるパーティがいるが、静かなものだ。
カボチャランタンの灯りが揺れている。
「そういえば初級迷宮の《守護者》は属性あるのかな?」
「特化してないかもしれませんね。迷宮を守る最後の砦ですから素直な属性ではないのではありませんか」
「そういうものか」
「土属性に見えるわね!大サソリ」
「それなら風で攻めれば楽になる?」
「やってみないとわからないな…」
「風の魔術は揃えてないのよね…」
「ここも、風を持ってきたら楽だったのかもな」
「きっとそう」
「選べるほど装備を持ってるわけじゃないからな」
「それでも、あなたの《インベントリー》で大分楽できていると思いますよ」
「予備の装備が溢れたら、家か倉庫を持つことも必要になりますからね」
「「「ああー」」」「そうですね」
「もし仲間が増えたら、持つことも考えていいかもしれません。料理もできますし」
導女フラバスが食い気味に言った。
「うーん。ギルドハウスか」
「さすがにウチにどうぞとは言いにくいわね。クリームの家業とは関係ないし」
「そこで縛られるのは嫌だな。気を遣うことになるし」
「ふみぃ」
「話は逸れたが。初級迷宮の《守護者》はもうやれると思わないか?」
「ハッ!そうね!」「んむ」「ですかね?」「どうでしょう」
「ここを終えたら区切りのいいところで挑戦してみよう」
「それだけの実力はついたと思うし、二人が加入してくれてからも大分戦って慣れたもんな」
「「「「はい!」」」」
◆◇
戻りの洞窟も魔物がいてかなり時間がかかった。
戦闘を回避しにくいということで純粋に時間を取られている。
戦闘自体に不安はない。
火力の上がったラベトリオがかなりの活躍を見せているし、ミキュラの風属性魔術付きの短剣が地味によく効いていた。
「次にここに来るなら、階段の小部屋で仮眠するつもりで来た方がいいな」
「明日?」
「リーダー次第」
「もう少し深く潜れそうよね!」
「じゃ、そういうつもりでいよう」
「んむ」「「はい」」
「必要なものがあれば買っておいてくれ。〈箱〉に入れるから」
「深く潜るのにも慣れが必要でしょ!」
「そうですね」「はい」
◆◇
荒れ野から荒れ地へと戻り、中級迷宮を通る頃には夜になっていた。
ジルベルトが上機嫌で先頭を歩く。
おかげで魔狼に絡まれることはなかった。
夜の街はカボチャの飾りで灯りが普段より多く明るい。
飾りつけもあり、魔物が街の中に入ってきているようにも見えた。
冒険者ギルドで清算する。ここは休みなく開いているのがいいところだ。
酒場で食事と果実水にありつくころには夜も深まっていた。
「属性剣を祝して!」
「「「「カンパーイ!」」」」
――グビグビ。プハー!
濃厚な果実水は植物迷宮が産地だろう。ここのもきっとそうだ。
「「「「おいしーい!」」」」
「ミキュラのも悪くないが、ラベトリオの剣の方が欲しかった属性剣だからな」
「ウムリ。これは扱いづらい」
「いい使い心地です」
「それはよかった」
「それでも、使いこなしてるミキュラは凄いな」
「そうね!剣の事はわからないけど!」
「ムフー」
「もう一本出るまで通いたいですね」
「そうだな」
「そうですね」
「んむ。わかった」
「ミキュラの短剣みたいに、石が飛び出す属性魔術の剣だったりしてな!」
「「「「ガラアック!」」」」
「そういうことを言っていると、本当になりますよ!」
「いいさ、出るまで通うよ!」
「アハハ。ホントに出て泣いても知らないわよ!」
「んむ。私も短剣のいいのが出てホシイ」
「じゃあ、私は食べ物ですね」
「私は耐性付きの防具がいいです」
「剣の直後に贅沢では!?」
「いいのですよ。本当になるといいことなんですから!」
「じゃあ、ワタシは強い杖ね。下の階のトレントあたりで出ないかしら」
「見た目のカッコイイのもいいわね!」
しばらくの間欲しい物が上がり続けて、時間が遅くなったので、翌日は休みになった。
荒れ野は意外と近いが時間がかかる。
迷宮内での本格的なキャンプに何がいるか考え始めるガラアックだった。
楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。




