61◆カボチャとともに
階段の小部屋で休憩を取って三階に下りた。
そこでは石と土でできた体の魔物がウロウロしていた。
それと、やはりパンプキンの魔物もいた。
ローブ姿で大きなパンプキンの頭を持っているが、ゴーストよりも体は見え難い。
影になっているというより、暗闇そのものが体のようだ。
魔術を使いそうな短いステッキ持ってフヨフヨしている。
ワルケリアナの《鑑定》によると、パンプキンウィッチらしい。
「どっちから?」
「単体で狙いやすい方から」
「じゃあパンプキン」
「おう」
「《聖導の盾》《聖導の守り》」
「《聖導の羽衣》」
柔らかい光が包み込み、ガラアックに防御の支援がかかる。
さらに光のベールが全員を包みこんだ。
――ヒュッ!ヒュッ!
ミキュラと二本ずつ矢を放つ。両方とも大きな頭に当たった。
「ポグポグポグポグ!」
怒ったパンプキンウィッチがステッキを振り回した。
暗い影が風の渦のようにまとわりついてくる。
「あっ!」「これは!」「ぐぅ」
前衛三人の目が暗闇で覆われた。
どこに魔物がいるかわからない。
頭のヘルムが少し熱を持つ。
「魔術だ!」
「エイエイ、エイエイ!」
ミキュラが勘で相手を捉えて攻撃する。当てているようだ。
怒る魔物が殴りかかってきた。
ミキュラが勘でかわす。その物音に盾を前にして近づいた。
――ポコン!ポコン!
音とは釣り合わない衝撃がガラアックを打ち据えた。
「ぐはっ!」
――パリーン!
光の盾が砕けて衝撃を緩和する。それでも結構食らった。
「導女様!」
「《浄化の聖風》!」
導女フラバスの導術が前衛に広がる。
視界を覆う暗闇が晴れていく。
「助かる!」「んむ。ありがと!」
「ありがとうございます」
「ポグポグポグポグ!」
――ゴン!ゴン!
「フン!」
衝撃を盾で受け流すが受け流しきれずにいいのをもらう。
「ぐぅ」
「まだまだ!」
突き返しを入れて、連撃を入れようとしたが、スカされてしまった。
「《聖導の盾》!《聖導の癒し》!」
導女フラバスの回復を促す支援がガラアックを包んだ。
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
視界が回復したラベトリオが連撃で魔物を切りつける。
魔物の捉えどころのない動きを、見事に捉えていた。
「《氷弾》!」――バン!
冷たい氷の塊が魔物に炸裂した。破片の氷からも冷気が溢れて凍り付く。
一気に魔物が動きを鈍くした。
「ハウ!」
マントを着けたジルベルトが飛びついて噛みつく。
魔物の身体がよろけた。
すかさず連撃を入れた。
「ソイヤッ!」
右、右、右と入れて盾で殴ろうとしたときは魔物はすでに床に落ちていた。
――ボボボ!
紫色の煙を上げて迷宮に吸収されていく。
魔石と南瓜とステッキが残っている。
「暗闇か…まともに食らうと厄介だな」
「そうですね。でも導女様がいらっしゃればどうということはないです」
「ふみぃ」
「大丈夫ね?」
「ああ」
「ちゃんとしてますよ!」
「この南瓜は食べる方が美味しいやつね。飾り用には向いてないわ!」
皮が濃い緑の南瓜だ。魔石とともに回収して《インベントリー》に入れた。
「ステッキはよくわからない効果ね。『カボチャとともに』ですって」
「使ってみてください」
ラベトリオが頼み込んだ。
「え、いいのかしら…」
「はい、是非とも!」
――ポコン!ボフン!
ステッキでラべトリオを叩くと、紫の煙が上がった!
ラベトリオのヘルムの上にパンプキンウィッチの小さな幻影が現れた。
くたりと伸びた姿勢でだらしがない。
周りから説明を聞くラベトリオ。どことなく嬉しそうだ。
「ふむふむ。ハットだと似合いそうですが…迷宮内では止めておきましょうか」
「それがいいと思うな」
――ボフン!
一定時間で消えるようだ。何もいなくなっている。
ステッキを受け取るラベトリオ。
「ハウ!」
――ポコン!ボフン!
ジルベルトの背中の上にミニサイズのパンプキンウィッチがまたがっている。
「これは面白い」
試して気に入った様子だった。
楽しんでいただけたら幸いです。評価、ブクマありがとうございます。




