54◆再び四階の魔兎
導術を修正しました。
魔兎狙いの風の迷宮の四階にも慣れてきた。
三階を抜けてからも緊張は続くが、この階のトレントは警戒の広さが狭いようなのでかなり近づかなければ絡まれることはないようだ。
「あそこにいる」
「わかった。やろう」
「《聖導の守り》《聖導の盾》」
次々と光が現れてガラアックを優しく包む。迷宮の入口でかけてもらった導術と合わせて、防御と攻撃にも強化が入っている。
「ありがとう」
「どういたしまして。役目ですから当然です」
ニッコリと笑う導女フラバスの目は澄んだ緑色だ。
――ヒュッ!ヒュッ!
二本ずつ放って全部当てた。すぐに魔兎の飛び蹴りがくる。
「スピスピスピスピ!」
「フン!」
盾で叩き落とす。突き返しを入れて、隙を伺う。
連撃を入れた。もう一撃入れられるかと思ったが外した。
「ソイヤッ!」
最後に盾で殴りつけた。相手の身体がわずかにズレる。
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
ラベトリオの連撃が今日も冴えている。
「エイエイ、エイエイ!」
ミキュラの連撃も競うように回転を上げたが音で外したのもわかる。
それでも気にせず打つ回転の速さだ。
「《雷矢》!《氷結》!」
音を立てて飛ぶ雷の矢が魔兎の太い腹に突き刺さると、のけぞった。
そのまま冷気が押し寄せる。
隙を逃さなかった。連撃を入れる。
返すようにしてきた相手の噛みつきを盾でかわして相手の体勢を崩す。
いままでよりももう一撃多く入れた。自分の限界が伸びたのを感じる。
「セイッ!」
タフなのはわかっている。ためらわずに叩きつけた。
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
巧みな足さばきが出だした。ラベトリオの技だ。
「エイエイ、エイエイ!」
ミキュラが手堅く連撃を入れた。その脇から飛び出す影がある。
様子見をしていたジルベルトが後ろから飛びついて体勢を崩させる。
「ハウ!」
「スピスピスピスピ!」
「《雷矢》!《氷結》!」
雷の矢が飛んだ。魔兎に当たって衝撃が弾けた。
のけぞる魔兎。再び冷気が体を包み氷付かせる。
調子よく連撃を入れるつもりで油断していたところをつかれた。
素早い回復で魔兎が飛びついてきた。
――ガン!
跳び蹴りの一段目を盾で受けたが盾を弾かれた。
引き戻すのが間に合わない!
――パリーン!
光の盾が砕けて衝撃を和らげてくれた。それでいてかなりの衝撃。
――ゴン!
さらにいいのを胸に受けた。衝撃で後ろに下がる。重い鎧で支えられているのを感じる。
太ももから力を振り絞って立て直す。
盾を叩きつけるが外された。半歩前に出たい。でも出られない。冷や汗が出る。
「《聖導の盾》!《聖導の癒し》!」
柔らかく回復の力をもらう。ありがたい!
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
ラベトリオがかばうように前に出てくれた。攻撃を決めつつわずかに詰めよる。
「ああっ!」
相手の位置が変わったミキュラは体勢が完全ではなく攻撃を放てなかった。
「スピスピスピスピ!」
「《双炎矢》!《氷結》!」
二本の炎の矢が魔兎の身体に突き刺さると、跳ねるようにして魔物は動きを止めた。
すぐに迷宮の吸収が始まる。魔石とともに塊肉と毛皮が残されていた。
「大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。付与があるからな。助かってる」
「強力な打撃ではありませんが、油断はいけませんね」
「そうね!」
「少し油断した。反省する」
「まあ問題ない範囲ですよ」
「ああ。上手くやれた方だと思う。もっとやれたかもしれないけどな」
「「「なるほど」」」
「少し休みますか?」
「いや、大丈夫だ。見た目ほど衝撃は食らってないんだ」
(一撃目はだけど。二撃目は目が覚めたぜ)
「男の子ですねえ。ウフフ」
「盾持ちだものね!そうこなくちゃ!」
「導女の癒しは凄い?」「スゴイですよ」
「ふーん」
狩は続いた。
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