04◆ミキュラとの出会い
四階への小部屋で休む二人。
そこへ獣人の少女が入ってきた。
「オオコウモリしつこすぎる」
「一人でここまで来たのか?」
「そう」
「凄いわね。腕がいいのね貴女」
「そう、私は腕がいい」
一瞬目と目で会話する二人だった。
「じゃあ、一緒に動かない?仲間が欲しいと思ってたのよ」
「賛成だな。スタイルにもよるから無理にとは言わないが」
「どうかしら?」
「オオコウモリのしつこいのが楽になるなら参加する」
「なら決まりだな」
「そうね。これでもっと楽になるわね」
「私はミキュラ。短剣を使うのと隠れて動くのが得意」
「オレはガラアック。見ての通り戦士だ」
「ワルケリアナよ。攻撃魔術担当ね」
「早速だがこれからどうする?四階をのぞいて帰ろうと思っていたんだが」
「ん、それでいい」
「わかった」
三人で話し合って隊列を考える。
結果ミキュラが先頭で中央にオレ、ワルケリアナが後衛となった。
腰を据えての狩りと、移動でもあまり違いがないな。この少人数のパーティなら。
階段を下りつつ警戒を強める。
迷宮の景色が一変した。
今までの石造りの迷宮から、屋外の森林の物に変わった。
「出来立ての迷宮でも屋外の階ができるんだな」
「そうね」
「初めて見た」
他を知らないから当然なんだが、屋内であるはずの天井が青空になっていると驚きを通り越して黙ってしまう。
「敵がいる」
「どこだ!?」
「木陰からこっちを狙ってる。急ぐ」
ミキュラが走り出す。
盾を構えて後を追うと、矢がそっちから飛んできた。
カン!と音を立てて弾く。
「ワルケは背中の後ろで!」
「わ、わかったわ」
ミキュラが短剣を抜いて躍りかかる。
木の裏側に黒い影がいた。
「シャドーゴブリン!」
かつてはいたというゴブリン種族の影が動いているのだ。
その呪いを解くには倒すしかないという。
「周りを見ててくれ」
「ええ!」
「エイエイ!」
「フン!」
ミキュラの攻撃がかすめるように当たる。
その脇からロングソードで思いっきり叩きつけた。
それが決め手となった。
影が歪んで地面に崩れ落ちる。
その動きはゆっくりとしていて、自然な動きとは違い不気味なものだった。
「他にはいないみたいね」
「ウン、感じられない」
「ふう」
影が倒れたところに魔石が残る。ドロップはなかった。
「ここは急いで抜けるのはむずかしいだろうな」
「そうね、そんな気がするわね」
「帰る?」
「そうしよう。来た時より楽に帰れるとは思うが」
引き返す三人だった。
その後三階ではミキュラが大活躍した。
オレが耐えていればその間に切りつけて始末してくれる。
「楽!」とミキュラ。
狙いがこっちを向いているので他のことを考えなくていいのがいいらしい。
二階でワルケリアナが二発で仕留めるのをみると、目を丸くしていた。
複数いて面倒なときは避けていたらしい。
三人でそのまま無事に迷宮から帰還した。