48◆鼻の利く援軍
連日の雨でぬかるんでいるかと思いきや、荒れ地の草は旺盛に水分を吸収していて歩きやすかった。
雨上がりの荒れ地を全員で黙々と歩く。
「いるけどこない」
「なんでだろう?」
「分からないけど、警戒してる?」
「ふむ」
「出してみますか」
「ラベトリオ?」
「実は私はただの戦士ではなくて召喚も扱えるのです」
「召喚って、魔物なの?」
「まあ召喚されるものは似た感じです」
「興味あるわ!どんな召喚獣なのかしら?」
「犬ですね。魔界の犬といわれたことがあります。もちろん本物の魔界の犬ではなくて、見た目からですけどね」
「出してもいいですか?」
「も、もちろん」
「ん、見たい」
「楽しみね!」
「ラベトリオ、ここでなくても着いてからでもいいのでは?」
「いいえ、少し慣れてもらった方が戦いやすいでしょうから」
「そうですか。では反対しません」
「ありがとうございます」
「我が友ジルベルト、《郷愁の犬》よ。出でよ!」
魔力の塊を地面に放り投げる。するとそれをきっかけにして、魔力が地面から吸い上がるように集まってきて犬の形を作った。
――アオン!
「まあ!」
「「おおーっ!」」
魔狼とほぼ同じサイズの犬の形のもやもやが現れた。
「意外とでかいな」
「触り心地は不思議な感触ね!」
触れるとさわさわした感触はあるが犬とは違う。奥の実体が不確かな感じだ。
魔力で作られた体なのだ。
「またよろしくお願いしますね」
導女フラバスも頭をなでて挨拶していた。
「見たことあるわ!むかしダークのおじさんのところにいたのにそっくり」
「そうですか。珍しい術ですが、そういうこともありますか」
「不思議な臭いがする。ラベトリオの匂いと混じってる。きっと魔狼も嗅ぎつけたから来ない」
「一度ここの土地でも召喚できるか準備で出しましたからね。そのせいでしょう」
「そういうことか」
「魔物が来たらジルも相手をしますよ。それ以外にも臭いには敏感なので、周囲の警戒に役立ってくれます。もっともこのパーティではそこは必要ないかもしれませんがね」
ミキュラの方を見てラベトリオが話した。
「探知が得意なのです」
「ふみぃ。ワタシと一緒」
しばらくは全員の匂いをフンフンと嗅ぎまわっていたが、それが済むとラベトリオの指示で先頭のミキュラの後ろを歩き始めた。
斥候が得意な同士で仲良くやってもらえるといいな。
結局魔狼は去って行って近づいてこなかった。
ジルベルトのおかげだと次も煩わされることなく荒れ地の中級迷宮に移動できるから助かるのだが。
楽しんでいただけたら幸いです。




