44◆楽にならないスケルトンメイジ
迷路を進んで監視所で挨拶する。
「こんにちは」
「おう。なんだか人数が増えたな。よかったじゃないか」
「ありがとう。またボスを狙うよ」
「いいぞ。まだ倒されてないはずだ。最近は新顔が増えてここまで来始めてるからな。倒せるときは倒しておくといい」
「ええ、じゃあまた!」
のぞき窓が閉じた。
「ちゃんといる。こっち」
「頼む。ミキュラの誘導で進むぞ」
「「「はい」」」「おう」
小部屋への途中でも問題なく連戦で倒して進んだ。
扉が固く閉じている小部屋の前に到着した。
「二体のスケルトンナイトと一体のスケルトンメイジがいる。一体ずつ引き受けるから二人で手前のスケルトンナイトから倒してくれ」
「はい。盾持ちにするよ」
「わかった」
「魔術で新しいのを試すから驚かないでね!」
「いつも通りでいいのか?」
「大丈夫よ!」
「「「はい!」」」
「《聖導の壁》!」全員へ光の輪が降りかかる。
「《聖導の盾》!《聖導の守り》!」ガラアックへ。
「《聖導の盾》!《聖導の守り》!」ラベトリオへ。
導女フラバスの導術がガラアックと全員に守りの力を与えた。
「行くぞ!」
小部屋に突入すると、鎧を着たスケルトンナイトが二体とスタッフを持ったスケルトンメイジの姿が見えた。こちらを見て笑っているように見える。
「カタカタカタカタ」
ワルケリアナの魔術が冷たい光を放った。
「《氷結刃》!」
巨大な白い氷の刃が水平に現れるとそのまま部屋の中を切り裂いた。
全体に冷気が押し寄せてくる。
スケルトンナイトもスケルトンメイジもまとめて冷気で固める力があった。
「おうっ!」
その中を駆け抜けて奥側のスケルトンナイトに盾を立てて突進する。
――バキバキ!
そのまま反動でスケルトンメイジまで跳ね返るように突き進んだ。
右手のロングソードで斬りつける。
右、右、右と当たって相手を揺さぶる。
ラベトリオの気勢が上がる。
氷の付いたスケルトンナイトに襲い掛かった。
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
盾持ちの構えから繰り出す攻撃は猛然とスケルトンナイトを叩き伏せた。
突き返しに差し出されたロングソードがかすりもしない。
釣られたのかミキュラの動きもキレがある。
「エイエイ、エイエイ!」
ミキュラの構えが警戒する姿勢に戻る頃には、スケルトンナイトの身体は床に崩れ落ちていた。
「こっち終わり!」
「おう!」
スケルトンメイジの動きが魔術の発動の構えになったのを見逃さなかった。
盾で殴りつけて崩す。だが、スケルトンメイジのタフさが勝った。
杖から雷の魔術が放出される!
――バリバリパリパリ!
「ぐはっ!」
全身を痛みという名の痺れが走り抜けた!
それでも意識は残っていた。以前に比べると耐えられない痛みじゃない。
「まだまだ!」
「《聖導の癒し》!」
ガラアックを癒しの光が包み込む。力が湧いてくるのを感じた。
脇のスケルトンナイトの攻撃を盾で受け流す。突き返しを入れて、追撃は控える。
スケルトンメイジの魔術を警戒するのが優先だ。
「こっちは任せて」
「ああ!」
ラベトリオが回り込んでスケルトンナイトを攻撃した。
巧みな足さばきと体の動きをして斬りつけるところまで持って行った。
右、右、と連撃が入る。
お返しに一撃をもらいそうになったが見切って回避していた。
身体の動きに余裕が感じられる。
「《雷矢》!」
ワルケリアナの雷魔術が音を立ててスケルトンナイトに命中した。
痺れるように砕ける骨の騎士の姿だった。
「こっちも終わりです!」
「よし!」
気配を消していたミキュラがスケルトンメイジの背後から斬りつけた。
「エエーイ!」
かなりの強い一撃だったが魔物は耐えてスタッフを振り回した。
「うあっ!」
盾越しにいい一撃をもらった。
――パリーン!
光の盾が砕けて衝撃を和らげてくれたがなかなかの一撃だ。
慌てて反撃しようとしたがすべて空振りに終わった。
盾で殴りつけて対峙を保とうとする。
「《聖導の盾》!《聖導の癒し》!」
柔らかい光に包まれて回復するガラアック。
「ありがたい!」
ラベトリオが移動して攻撃する。
右、右、右と三連撃して魔物の頭を叩く。
「エイエイ、エイエイ!」
珍しくミキュラの連撃にキレがない。いくつか外した。
「落ち着いて行こう!」
「「「おう!」」」「ん!」
「《双炎矢》!」
ワルケリアナの二本の炎の矢がスケルトンメイジに突き刺さった。燃え上がる魔物。
スケルトンメイジがスタッフで殴りつけてきたのを回避するガラアック。
突き返しを入れて隙を逃さなかった。
右、右、右と打ちかかって外し、当たり、当たり、その後盾で殴りつけた。
「チェア!ソイ!チェア!ソイ!」
ラベトリオの連撃が決まるがスケルトンメイジの姿勢は揺らがない。
「頑丈だな!」
「エイエイ、エイ!」
ミキュラが連撃を入れて気配を消した。
「《双氷矢》!」
今度は二本の氷の矢が飛んで突き刺さる。
魔物の身体が大きく凍り付いた。
スケルトンメイジのスタッフでの殴りつけが再びガラアックに襲い掛かった。
「くぅ!」
躱しきれずに掠った。
――パリーン!
光の盾が砕けて衝撃を和らげてくれたのでダメージは軽くなった。
「《聖堂の盾》!《聖導の癒し》!」
砕けた盾の光に包まれたまま反撃する。
右、右、右と当てたところで、スケルトンメイジが床に崩れ落ちて骨の山になった。
先に倒したスケルトンナイトの姿はすでに迷宮に吸収されてない。
魔石がその場所を示しているだけだ。
「意外と手こずりましたね」
「だねえ」
「まだまだってことだな」
「もう少し動きを見直した方がいいかしら?」
「はい、魔石とドロップの杖」
「導術に強化のかかった杖だわ!フラバスさん使いませんか?」
「ええ、使わせてもらうわ。でも今のも残しておきたいのよ」
「じゃあ、早速〈箱〉を買わないとですね!」
「〈箱〉?」
《インベントリー》の説明をして、休憩に入った。
「そういう《ギフト》なんですねぇ」
「あまり口外しないでくれ」
「わかってます!」
「便利なものだなあ。よろしく頼むよ」
「ああ」
導女フラバスは不思議そうに自分のカバンを開けたり閉めたりしていた。
そっちには関係ないよ!
《ギフト》の内容を知られたくない場合には、誤魔化す方法がないわけじゃない。
中身の重量を軽くする魔道具のカバンというのも超レアだけどあるらしいから、気になるならそれを使っているふりをするという手もある。
そこまでの《ギフト》でもないだろうとは思っているのだけど。
休憩しに監視所まで戻ったが、全員だと今度は待機場所を狭く感じる。
初心者迷宮を完全に攻略できるのはいつになるやら。
それにはあの大サソリを倒さないとならない。強敵だ。
以前グリーブスには「まだはやい」と言われた。
優秀な《癒し手》も仲間になったことだし、戦力の追加もできた。
ここでもう一歩強くなるとしたら…自分だろうなあと思うガラアックだった。
楽しんでいただけたら幸いです。




