39◆調査に同行する・その3
先行して調べていたバミルダと付いて行ったミキュラが戻ってきた。
どうやら何かを見つけたらしい。
「洞窟だ。たぶん未発見の迷宮だろう」
「あった」
「のぞいてみるか?」
「そうだな」
「どのくらいの魔物がいるのかは調べておきたいな」
「上級の気配があったわ」
「強そうだった」
「まあ、のぞいてすぐ出よう」
「全員で動く」
「「「はい」」」
洞窟の入り口は広かった。全員が横に並んでもまだ端には届かないぐらいだ。
大型の魔物が出入りしてもおかしくない。
大きいということは一般的に強いということだ。
「よし、いくぞ」
ミルトリンの号令で全員で固まって進んだ。
「おう!」
草原の景色が広がっていた。
ゾクリと背筋を冷たいものが走った。
他の迷宮と変わったものはないはずなのに、それは警告として体が感じたものだった。
「まずいね」
「強敵みたい」
「上級?」
「意外と落ち着いてるね」
「この感じ、上級迷宮ですね」
「導女様は前に潜ったことがあるのか」
「入り口だけですが。その感触と似ています」
「魔物を見りゃ一発だろうさ」
ミルトリンがそういう。ソルトリンがうなずいた。
「近いのは?」
「一ついるけど勧めないよ。逃げるのに慣れてないと走れない」
「そりゃ経験が必要だな」
「オレ達はここにいよう。足手まといみたいだからな」
考えてからそういった。装備を見られていると感じた。
「…まあそうだな」
「じゃあ行ってくる。すぐ戻る。そうしたら一目散に出ていいぞ」
「出口に罠はなかったからね」
「そこまで?」
「そうだぞ」
「じゃあ、待ってろ」
ミルトリンとソルトリン、それとバミルダの三人だけが奥に進んでいった。
下生えの高い草むらに消えていく。
「走るのは苦手なのでね」
癒し手のセザランスは残ることにしたようだ。
トライフグルフは落ち着かなげにあたりを見回している。
しばらくもたたないぐらい後に叫び声が聞こえた。
「やべぇ!逃げろ!」
「ウインドリザードのでかいのじゃねぇか!」
「逃げろ逃げろ。走れ走れ!」
三人が全力で走って逃げて来ていた。
こちらを無視する勢いだ。
その後ろから何かが来ている感じはないが、ミキュラは青ざめていた。
「来てないけど見つかってるかも」
「走って逃げるぞ!」
出口が狭くなっている迷宮でなはなくて助かった。
全員が出られたことを確認すると深いため息をついた。
「どっかの迷宮の階層ボスよりでかいのが雑魚でいた。上級確定だな」
「あの荒れ地の迷宮でも出る奴だが大きさが違う。どんだけ属性の力があるかわからんぞ」
「ボス同士で縄張り争いが起きてるってのは、ハグレでもおかしくないな」
「そんなに強い相手でしたか?」
「ウィンドリザードをはじめとして属性持ちはその力をため込んでるからな。対抗装備なしだと痛い目みるのさ」
「今回は持ってきてないからな」
「中級でもそのうち出てくるが、相手にしない方がいいかもな!」
「覚えとくよ」
「よし。じゃあ外に出たらしいハグレの捜索と行くか」
「え、帰るんじゃ?」
「バミルダが見つけるまで駄目だ。手間ばかりになるからな」
「へぇ」
「ミキュラわかるか?」
「分かんない。強いのがいっぱいいる」
「そうか」
「ひときわ強いのがアッチとコッチにいて、あっちのはたぶん休んでる」
「こりゃあたしより上だね」
「その休んでるのってトカゲに似てるとかわからないか?」
「たぶん迷宮の中にいた奴に似てる。食事の後かも」
「当たりだな!」
「行って顔を見て帰ろうぜ!」
「さっき逃げたのに今度も見てくるんですか?」
「仕事だからな。戦闘はしないぞ」
「じゃ、準備だ」
地図を見て見当をつけるバミルダとミキュラ。
おおよその位置までわかるなんて、凄すぎだな。
「偉いぞミキュラ」
「んふー」
「頼りになるわ!」
再びミストリザードとの戦闘になったが、こんども同じように対処した。
《三本の剣》のメンバーの視線が温かい。
「蜘蛛がいるって話だったけど、見ないな」
「おかしいわね」
「蜘蛛はいっぱいいるけど固まってる」
「へー」
「集団で固まって身を守るか。ここの蜘蛛たちならやりかねないな」
「突かないようにしないと」
「離れてるから平気」
「そうか」
(多分気づかれてるけど、動きがない。気にしてないのかなー?)
「なんか言ったか?」
「ん。なんでもにゃい」
しばらく移動が続いて、回り込んで移動した。
遠方に巨大な石の上で昼寝する大きなトカゲを確認した。
「いたぞ、あいつだ」
「やばい感じがここでもするな」
「よし、地図に印をつけたか?」
「ばっちりさ」
「じゃあ、帰ろう」
「あい」
調査はここまでだ。無事完了してホッとしてる。
森から移動して野営の準備だ。
《インベントリー》から出すだけなので簡単だ。
導女フラバスと戦士ラベトリオは一緒に動くことになった。
《マードの爪》にとっては大きな戦力強化の出会いのきっかけとなる調査依頼だった。
楽しんでいただけたら幸いです。




