03◆再挑戦
若干修正しました。
初級ダンジョンの三階を歩く獣人の少女。
「慣れてきた」
足元にオオコウモリの死体が落ちている。
すぐに迷宮が吸収を始める。
魔石の他にドロップも牙が残っていた。
「やった!」
その頭上をオオコウモリが羽音を立てて跳び始めていた。
「しつこいなあ」
◆◇
ガラアックとワルケリアナの二人が三階へ降りてきた。
装備を戦闘棒に持ち替えるガラアック。
獲物の匂いを嗅ぎつけてオオコウモリが頭上を飛び回り始めた。
「引き寄せてね」
「大丈夫だ」
「《火炎》!」
「キキキキ!」
「それっ!」
炎に包まれたオオコウモリが落ちてきたところを戦闘棒で叩く。
「「当たった!」」
地面に落ちたオオコウモリにトドメの追撃を放つ。
「フン!」
オオコウモリが動きを止めた。
「「やった!」いけそうね」
「ああ!」
《火炎》の範囲にも慣れてきた。少しぐらいなら触れても大丈夫そうだ。
パーティのメンバーに全く何も影響しない攻撃魔術もあるらしいが、ワルケリアナの魔術はそうではないらしい。
いまのところお互いの邪魔にならずに問題なく動けている。
「《火炎》!」
「キキキキ!」
「フンッ!」
燃えながら突っ込んできたオオコウモリを地面へと叩きつけるように
盾で受ける。
追撃は右手の戦闘棒だ。叩きつけて倒す。
魔石とドロップの牙が残っていた。
その後は緊張感を残しつつ危なげない戦闘を繰り返す二人だった。
階段のある小部屋で休憩する二人。
「私の家のこと知ってるでしょ?」
「いや?」
「…そ、そう。そこまで有名じゃないのかもしれないわね」
「お嬢様なのはわかるが、貴族なのか?」
「他の国みたいな貴族じゃないけど、まとめる側なのはそうよ」
「ふーん」
「だから強くなって、ワタシも発言力を上げるのよ!」
「目的があるんだな」
「ええ!」
「だからあなたには感謝してるのよ!こんなところで躓いてなんかいられないんだから!」
「そうだな。そのうち迷宮の攻略で名を揚げてやるぜ」
「いいわね!」