38◆調査に同行する・その2
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他のパーティと混ざって動くのは気を遣うが意外と緊張しなかった。
向こうはベテランだ。任せて安心だろうという気持ちもある。
斥候のバミルダ。戦士兼運び屋のトライフグルフ。癒し手のセザランス。
さらに、旅の途中で合流したという導女フラバスと護衛のラベトリオの二人組が付いて来ていた。フラバスは丈夫そうなカバンを斜めに掛けている。ラベトリオは戦士だと自己紹介したが、含みがあるようだった。
「戦士様のパーティは三人なのですか?」
「ええ、募集しているのですが、ちょうどいいランクの人員が当たらないのです。導女様」
「まあ、では、私達ではいかがでしょうか?今回の調査でお互いを知るということで!」
「は、はあ。ありがたいことですが、導女様だとランクが合わないのでは?」
「いえそれは大丈夫です。目的もありますので、しばらくはマードの街にいたいので依頼を受けて資金を稼ぎたいのですよ」
「かまわないなら、うちでいいわね!」
「ん!」「よろしくお願いします。導女様」
「毎回導女様といわれるのも仲間の感じがしませんね。フラバスで結構です」
「わかりました。フラバス。ではオレの事もガラアックと呼んでください。いや、呼んでくれ」
ニッコリと笑うフラバスは美人ながら、心に何かを隠しているのがわかる顔であった。
心配事でもあるのかなと思うガラアック。
仲間が増えて尻尾を振っているミキュラ。
なんとなーく油断できない気分のワルケリアナ。
顔を抑えているラベトリオ。(フラバス様隠せてません!)
これで予言を調べる足場が出来たと喜んでいるフラバス。
パーティ全員のバラバラな気持ちも含みつつ、調査は進むのだった。
「確かに魔物のいる位置が前と違うな」
「そうね」
「もっと山脈側にいたのがこっちに出て来てるな」
普段は隠れているトカゲもうろついていた。大きさの割に臆病といわれているがこいつらは好戦的だ。小さいが頑丈で強固な歯を持っている。
「やるぞ!」
「おう!」
二mほどのミストリザードだが、このあたりでは見ないものだ。
一体を《三本の剣》が、もう一体を《マードの爪》で引き受けた。
瞬く間に片付けていくミルトリン達の姿を視界に入れつつ、自分の獲物に集中する。
ミルトリンがとびかかる。
蹴りから入るのは姿勢のためなのだろう、実際には当てずに剣で薙ぎつけて左右に体ごと動いて斬りつける。
隙ありと見てさらに追撃を入れると脇にステップする。
そこへソルトリンが飛び込んできた。ほぼ同時にバミルダの鉄の矢が突き刺さっていた。
左右に体ごと動いて斬りつけるソルトリン。今度は動かずに追撃を入れた。
「ギョエエエ!」
噛みついて来ようとするミストリザードの顎をトライフグルフの斧が下からかちあげて防いだ。いつのまにか魔物を綺麗に包囲している。
出来た隙を逃す面子ではなかった。
ミルトリンの連撃が右、左、右と体ごと炸裂した。
ソルトリンもそっくりの連撃を右、左、右と叩き込む。
トライフグルフが体をずらすと、そこを通り抜けた鉄の矢が脇腹に綺麗に命中した。溜めを作っていたトライフグルフが斧を振り下ろすと、それがトドメとなった。
「ギョエ…」
戦闘開始はほぼ同時だった。
「《聖導の盾》!《聖堂の守り》!」
導女フラバスの導術の柔らかな光がガラアックを包み込んだ。
いつも通り弓から入った。
――ヒュッ!ヒュッ!
二本とも当たるが跳ね返されてしまったようだ。固い皮なのだろう。
駆け寄って盾で一撃入れる。すぐに追撃の右を入れた。
相手の反撃は恐ろしく鋭い歯での噛みつきだ。暴れるように飛びついてきたので盾で叩き落とすように受ける。
「活きがいい!」ラベトリオがロングソードで斬りつける。連続で入った。
「エイエイ、エイ!」ミキュラが裏に回り込んでいた。
「《雷矢》!からの《氷結》!」
音を立てて雷の矢が突き刺さり、氷の塊で移動が阻害される。
弾けるようにのたうつ隙に連撃を入れた。
右、右、右と入れて、さらに右、右の後に盾で殴りつける。
手ごたえはある。やれそうだ。
「エイエイ、エイエイ!」
ミキュラの連撃が凄みを増してきた。そしてスゥっと気配を消す。
「チェア!」
ラベトリオの斬りつけも連続で決まる。盾を背中に両手持ちに切り替えていた。
その間にこちらも盾で殴りつけると、付いていた塊の氷が弾け飛んだ。
右で連撃を入れようと力んだところで、尻尾のしなりに弾かれた。
「ギョエエエ!」
「うわっ!」
――パリーン!
光の盾が砕けて飛び散った。守られている力を感じる。
なんとか両足で耐えた。トレントよりもはるかに重たい一撃だ。
すぐに反撃に行こうとして行けなかった。
盾を構えて様子をうかがう。
宙に浮いた主導権を取りに行く。
右、右、右と隙をつぶすように叩き込む。最後に盾で殴りつける。
「《聖導の盾》!」
追加の支援が導女から届く。心強い。
「《双炎矢》!」
二本の炎の矢が走って突き刺さる。一瞬だけ全身が炎に包まれた。
「エエーイ!」
ミキュラの渾身の斬りつけが決まった。ミストリザードの身体がぐにゃりと曲がった。
「チェアア!」
ラベトリオの強撃も決まる。
盾で殴りつけて、右、右と入れたところで手応えが無くなった。
「よしっ!」
「ふう。いつもこんな感じで?」
「大体はそうね!あなたたちがいて楽できるわ!」
「相手の強さでいえば、今までで一番かもな」
「「うん」」
「ほう、そうですか…」
「思ったよりお強いですね。みなさん」
「やれるじゃねぇか。安心したな」
「ああ。いい盾捌きだった!」
先に終わっていた《三本の剣》が見守っていてくれてた。
「ありがとな」
魔石を回収して進むことにする。
魔物が普段と違う場所にいることが確認できた。
残りは何が原因で魔物が動いたのかを調べるのが目標だ。
楽しんでいただけたら幸いです。




