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36◆戦闘と装備の強化

タカイダイーチの南の山脈側にある森林で魔物の動きがおかしいと報告があった。

冒険者ギルドの調査班が調べたところ、普段大人しい獣も、魔物の動きに影響される形で暴れているらしい。

森に詳しい狩人の話では森のボスが戦いを繰り返しているとのこと。

しばらく森には入らない方がいいという告知があった。

ついでに腕自慢向けに追加調査の依頼も張り付けてある。


「これ、前に調査依頼出てたやつ?」

「そう。受けるか迷って止めた奴よ!」

「ふみぃ」

「荒れ地の迷宮には関係がないからなあ」

「ギルドの貢献にはなるけどね。結構強い魔物が出るからどうかしら」

「うちじゃ無理?」

「止めておきましょ!」

「「はい」」


「子供のころに聞かされるものよ。森の魔物の話はね」

「へー」

「大体は食べられちゃうんだけど、時には優しくて編み物を教えてくれたりするの!」

「どんな魔物なんだ…?」

「蜘蛛の魔物よ!お話の中でも実際の森でも強い魔物がいるの」

「どっちも蜘蛛なんだな」

「そうよ。牛なんかもペロリと食べちゃうのよ」

「「うわあ」」

「討伐依頼も昔に出てるけど誰もやる気なんてないわよ」

「出会いたくないな」

「でしょう?その子分みたいな蜘蛛の魔物だって強力なのよ!そういうのがいっぱいいるのよ」


「ランクが上の冒険者でも油断してると帰ってこられないんだから」

「じゃあ、いつも通り初級迷宮をのぞいていくか」

「そうね!五階のボスに余裕で勝ち切りたいわ!」

「うむり」

「じゃあ行こう」

「「はい」」


◆◇


残念ながら初級迷宮五階のボスは湧いていなかった。

監視所の二人に挨拶だけしてすぐに引き上げた。

手早く回れば午後前に荒れ地の迷宮まで進めるからだ。


途中で会う魔物はあっさり倒して魔石を回収する。

オオコウモリもロングソードで切れる練習をするぐらいだ。

なかなか当たらないが、以前とは違う。タイミングが分かってきた。


◆◇


「次は荒れ地の迷宮だな」

「ん」

「そうね!喉が渇いたから水筒出して!」

「ほらよ!」

「ありがと!」

「ワタシも」

「ほい」「ん」

「オレも飲んでおくか」

冷たい井戸水を入れた水筒がそのまま出てくる。

《インベントリー》の便利さに気が付くのが遅かったが、使い始めると本当にありがたい。

重い荷物も入れておけるから重さを無視できる。

要らないものまで入れそうになるが、それは控えるようにしている。

いつ限界がくるかわからないからな。

軽い野営ならできるようにと装備を整えて、その分の道具は全部箱ごと《インベントリー》の中だ。

箱で区別できるようになって、使い勝手がよくなった。


迷宮の入口からトレント戦まで一気に進む予定だったが一階でミキュラが気が付いた。


「強そうなのがいるみたい」

「みたい?」

「隠れたり出てきたりしてる。多分スキル持ち」

「ボスかしら?」

「多分そう。そうでなくてもレア個体」

「やろう」

「「うん!」」


草原の中で小山が出来ていた。そこに大きな巣穴が出来ていた。

そこから牙の飛び出たデカイネズミが顔を出して様子をうかがっている。

以前会った冒険者たちが取り囲むようにして倒していた魔物に見える。

「あれがそう。周りにはほかに何もいない」

「よし!」

――ヒュン!ヒュン!

二本打って一本が当たった。すぐに飛び出て来て小山の途中からくるりと一回転する動きを見せた。

何かが飛んでくる!

「うわっ!」

――バシュッ!

思わず上げた盾を鋭く切り裂くように衝撃が走った。

「魔術?!」

素早く装備を切り替える練習をしておいてよかった。


盾を前に構えつつ突進する。

相手は待ち受けていて、またくるりと一回転した。

――バシュッ!

かなりの衝撃でトレントの枝にも劣らない攻撃だ。

そのまま盾で殴りつける。右手のロングソードを叩きつける。

「ジュージジジ!」

「エイエイ、エイ!」

ミキュラ連撃が脇からあたる。小山の斜面だと戦いにくいが器用に当てた。

「《雷矢》!からの《氷結》!」

「ジュウ!」


噛みつきを一瞬差で盾で止める。すぐにくるりと一回転した。

――バシュッ!

突き返しを入れようとしたところを逆にふさがれた形になった。

手が出せない。

代わりに盾で殴りつける。外した。

かろうじて続けて突き込んだ先が掠る。


「エイエイ、エイ!」

ミキュラの連撃が綺麗に決まった。カッターラットの攻撃がミキュラに向かい始める。

その隙を逃さなかった。

右、右、右と三連撃を入れた後、よろける魔物の腹に連撃を入れた。

最後に盾で殴りつける。

「《双火炎》!」

ワルケリアナの火魔術がまともに当たると、ひっくり返って動かなくなった。

倒れた体が迷宮に吸収されていく。

魔石と短剣が床に残っている。

「よしっ!」

「ふー」

「意外と手強かったわね!」

「魔術を使うネズミか…オレより頭いいんだな」

「ただのスキルよ。気にしちゃダメ!」

「そういうものかな?」

「そういうもの。魔物のスキルだからね」

「ふむ」


「この短剣、風の属性魔術がこもっているわ!凄い当たりね!」

「へえ。どうなるんだ?」

「斬りつけているとたまに魔術が発動するみたいよ」

「そりゃ凄い」

「短剣だしミキュラの強化だな」

「うん。もう一本いいのが欲しかったからウレシイ」

尻尾が機嫌よく揺れている。

「いい強化だ」


階段の小部屋で休憩することにする。

お茶を出して遅めの昼食だ。

属性武器がここで出るなら次の期待も高まるというものだ。





楽しんでいただけたら幸いです。

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