35◆引き上げと三階のボス戦
監視所から出て帰ることにする。
泊まり込みで戦うにはボスが湧く期間が不規則すぎた。
「避けて帰る?」
「そうしようか」
「そうね。興奮が冷めて少し疲れたわ!」
もう五階でもボスをのぞいて大きな脅威ではないと確信した。
出てくるごとに撃破して進む。
ボス戦の反省点は単独の敵との戦闘では振り返るのが難しい。
どう動けばもっと危険を避けられただろうか?
それとあの魔術!
雷撃は強烈だった。もう一発食らっていたら動けなくなっていたかもしれない。
それと普段ワルケリアナも使っている氷魔術の効果が地味にいやらしいものだった。
最近できるようになってきた連撃へのつなぎが出来なくなるからだ。
役目を果たしつつ、戦力として活躍しようとしたら対策は必須のものといえる。
その点ドロップ品が魔術抵抗の付与だったのはありがたかった。
二人の分も早く取れるといいなと思う。
スケルトンメイジによる魔術の狙いだから全員が標的にされる可能性はなくならないだろう。
四階も無難に通り、三階に入るとミキュラが何かを見つけた。
「強そうなのを感じる。あっち」
「やろう。ボスだろう」
「そうね。ガラアックが動けるならやっていいでしょ!」
「ん、進む」
普段は階段へまっすぐ来るので、もう移動しなくなった地域への道筋をたどると、素早く動き回る影を見た。
迷宮の上の方を飛んでいる。大きさは小ぶりだが速さが普通のオオコウモリよりはるかにある。
果たして捉えられるだろうか?
「キキキキ!」
「いけるか?」
「ん」
「任せて!」
「《双氷結》!からの《双氷結》!」
辺り一帯が冷気で覆われた。
三人で固まって狙ってくるところを叩き落とす。
スピードの落ちたラピッドバットの軌道が地面すれすれを行くところをミキュラが斬りつける。
「エイエイ!」
「ウリャ!」
こちらも一発入れた。戦闘棒に切り替えて、素早く振れるようにする。
「キキキキ!」
「あっ!」
ワルケリアナが躱すが体当たりを食らってよろめいた。
すかさず盾で叩き落とす。
落ちたラピッドバットに追撃を入れるもすぐに飛んで逃げられてしまう。
「大丈夫か?」
「ヘイキ!」
「速いな!」
「《双氷結》!」
「エイ!」
氷の塊が翼について上手く跳べなくなったラピッドバットをミキュラが叩き落とした。
近くに寄って追撃を加える。
右、右と戦闘棒に手ごたえが帰ってくる。
飛び立とうとしたところを盾で叩き落とした。
さらに加えて戦闘棒を当てた。
「エイエイ!」
ミキュラの連撃が体を切り裂いて、ラピッドバットは動きを止めた。
すぐに迷宮が吸収を始める。その後にベルトと魔石が残った。
「ふー」
「素早いうえに飛んでると手強いな」
「そうね!でも氷魔術で上手くやれたわ!」
胸を張るワルケリアナだった。
「ああ」
「ベルトは〈AGI+〉ですって。素早さが上がるみたい。誰がもらってもいいものだわ」
「じゃあ、ミキュラかな?」
「ん、そうする」
「そうね!」
「再戦するときも、ワルケとミキュラが頼りだな」
「「もちろん!」」
「飲んでおくといい」
ポーションをワルケリアナに渡した。
「ありがと!」
他の魔物はとくに問題なく倒して迷宮を出る三人だった。
冒険者ギルドに換金に戻る三人を夕日が赤く照らしていた。
楽しんでいただけたら幸いです。




