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32◆様子見とコテンパン

三階には森が広がっていた。

二階より成長した木々が木立を連ねている。

「いる。強そう」

「他には?」

「大丈夫。やる?」

「逃げ道だけ確保しておいて」

「「はい」」


「あの木」

「よし」

――ヒュッ!ヒュッ!

つがえた矢が放たれる。きれいに命中した。

「ギギギギ!」

迫力が違った。幹が一抱えあり、枝の太さも二階の倍ぐらいある。


「フン!」

幹に盾ごと体当たりする。相手の動きが止まった。

枝の払いが来ると思って構えたのが間に合わなかった。

鋭いスイングの払いでひっくり返された。

――ブン!

「ガッ!」

手応えで分かる。耐えきれる力じゃない。

すぐに反対側の枝でダウンスイングが来る。それをもろに食らった。

――ゴツ!

「「ガラアック!?」」

「ぐはぁ!」

「エイエイ、エイ!」

「《雷矢》!からの《氷結》!」


一瞬トレントの注意がミキュラに向かい、ワルケリアナに変わる。

(今のうち!)

ポーションを震える手で飲み干す。

飲みやすい位置に入れといてよかった。

「割れてもいいからそうしておけ」という助言が身に染みてありがたい。


「エイエイ!」

ミキュラの連撃が決まる。脇を通り抜けようとしていたトレントの幹に盾をぶつける。

「フン!」

右、右と連撃を入れて、枝の振りの衝撃に備える。

今度は受けきる!


――ガン!

意識が遠くなる。体ごと跳ばされたのが分かった。

もうちょっと、いや、ちょっとじゃ足りないかもしれない。

崩れた体勢を立て直して構えるが、次の攻撃に備えられない。

「エイエイ、エイ!」

トレントの狙いがミキュラに切り替わる。

その隙にもう一本ポーションに手を掛けた。飲んでおいた方がいいだろう。


「撤退ね!」

「すまん」

「わかった」


ミキュラがしなやかに振り返って走りトレントを奥へ誘導する。

「ギギギギ」


「危なかったわね!」

ワルケリアナが体を引っ張る。だが上手く動けない。

「まだフラフラする。ミキュラは平気なのか?」

「平気よ。ほら」


ミキュラの気配が消えた。一瞬倒されたのかと思いヒヤリとする。

「ミキュラ!?」

トレントはそのまま奥へ進んでいってしまった。


「撒いてきた」

しばらく待つと、近くにミキュラが戻っていた。

周りの気配を捉えるのは上手くなってきたと思ったが、ミキュラの成長はその上を行くようだ。

「助かった」

「ありがとう。ミキュラ」

「ふう。上がろう。小部屋で休みたい」

「そうね!ガラアックがここまでやられるとは思わなかったわね!」

「強いね。ここ」

「ああ」


階段の小部屋で休みを取る。

二人に肩を借りて戻ってきた。


「足りないな。あれと戦うには」

「何が足りないのかな?」

「『重さ』かな」

「ふうん。わかってるなら対応できるわね!」

明るくワルケリアナが言う。

「避けて戦うのはできそうだけど、ガラアックには難しそう」

「多分無理だろう」

「鎧を重いのに変えてどうにかなるかな。それまでは二階が戦場だな」

「ん。わかった」

「ええ、そうしましょ!」


あの護衛をした冒険者たちの怪我の具合と自分のダメージを比べてみる。

ポーションも効いてる。まだ動けるほうだ。

だが…あの太い枝の払いは無理だな。『重さ』が足りない。

次もきっと持ち上げられてしまうだろう。

それと意外と動きが早い。

枝が長い分懐が深いため、回避だって間に合わないだろう。


三階の魔鹿は四階の魔兎とならぶ買取品の狙い目だ。ドロップは肉だけでなく他の素材も落としてそれがマードの支えになっている。

そこへ入り込めれば一人前といっていいだろう。

だが今回の様子見で弾かれたオレ達《マードの爪》は、まだまだだってことがわかったわけだ。


休憩していると他のパーティーが通り過ぎていく。五人組、六人組ばかりだ。四人組、三人組はさすがにいない。

休んでいるこっちを興味深そうに見ていく者もいるが、全く興味を示さない者たちもいる。

人数は戦力に直結することを考えると、甘く見ていると思われても仕方ない。

悪く考えるのはよそう。

人数の補強は前からの課題だ。

二階で狩りつついい奴を捕まえたい。


課題の見える反省の多い様子見になった。





楽しんでいただけたら幸いです。

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