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30◆伝説の勇者と魔王

伝説の勇者は大陸を引き裂き、迷宮を埋め立て、山を削ったと言われている。

魔王も迷宮から出でては世界に絶望をもたらすとされている。

どちらも伝説で、現在は確認されていない。

だが《候補》は多くあるようだ。


「○○○○○という殿方が発見されたわよ!」

「悪戯妖精から?」

「そうです」

「まあ!《ギフト》持ちなのかしら?」

「もちろんでしてよ!」

「「「「まあ!」」」」

「まだ若い戦士らしくて情報はほぼないのだけれど…荒れ地の近くにいるみたいね」

「「「荒れ地!」」」「遠いパス」

「○○○○も近くなかった?」

「○○○○○○○も近いわよね?」

「あれこれってもしかして?」

「「「「集団発生?」」」」

キャー!と叫ぶ妖精の集団。だが体の下半身はカバンの中だ。

カバンの種類も様々で大きさも同じものは一つもない。

それでも外から見ているとカタツムリの妖精が雑談会をしているように見えるかもしれない。


最近は報告される動きもなくて退屈していたところに燃料が追加されたようだ。


「別に強くならなくてもいいのだけど。迷宮の一つや二つは攻略してもらわないとね!」

「「どうしてよ!」」

「まーた悪だくみちてる!」

「そんなことないわよ。美しい鞄を手に入れてもらうのには迷宮攻略しかないじゃない」

「そうかしら。一級職人のカバンも乙な物ヨ」

「「えー(疑いと期待の目)」」


収納の限界を超えるカバンに宿るカバン妖精たちの集会とは、誰にも気づかれずに行われる秘密の会議だ。


迷宮の宝箱に宿るという悪戯妖精たちが悪さをするのとは反対に、導くのが役割だと思っている。

勇者たちの悩みと苦しみは尽きることがない。

《候補》といえど免れることはできない宿命として幸運と不運がまとわりつく。

それでもカバンが大きければわずかな救いとなるだろう。


迷宮と宝箱とカバン。

それらが結びついていることを知っている者は人族では誰もいない。





楽しんでいただけたら幸いです。

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