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28◆中級:風の迷宮・二階を進む

「宝箱じゃないか?」

「あら、宝箱だわ!」

「ほんとだ。気が付かなかった」

ミキュラの警戒を潜り抜けて木の根元に空いた空間に小箱があった。

綺麗な小箱で迷宮産の宝箱だとわかる。

もしかしたら誰かの落とし物かもしれないが、そうだとするなら吸収されていて無くなっているはずだ。

「罠に気を付けて」

「うむ」

「離れてるわね」

「無理そうならオレが開けるよ」

「大丈夫。罠があっても外せる。練習した」


「…外れた。矢が飛び出る奴」

(ミキュラの耳に小さな笑い声が聞こえた。楽しそうだ)

「開けていいぞ!」

「エイッ!」

――パカッ!

金貨がザクザクと入っている。照り返しで金色に反射するぐらいだ。

「凄いじゃない!」

「当たりだな!さすがミキュラ」

「ふにぃ。ガラアックに任せる」

「あいよ」

かなりの重みなのでこれも《インベントリー》に仕舞う。冒険者向きの《ギフト》で助かる。

「小箱まるごと持てないかしら?」

「お、いけた」

二人でニンマリと笑う。なにかと出し入れするのに入れ物があると便利ということに気が付いたのだ。


「剣の分の出費にはまだ足りないな」

「けどいい稼ぎ」

「そうね!魔術の補充にあてたいわ!」


「そういえば、防御の魔術はないのか?」

「あまり有効だって聞かないわね」

「そうなのか」

「近づかれる前に倒すと考えてるふしがあるからかしら?」

「ふーむ。魔術士はそうでも前衛に掛けるのは有効じゃないか?」

「あら!考えてみたことなかったわ!?」

「ありそう。でも聖術の方がありそう」

「《癒し手》が使えるのか?」

「タブン」

「「へぇ」」

「ギルドで見かけたら聞いてみるか…」


「よし、進もう」

「「はい」」


◆◇


「よそとぶつかる」

「避けるか?」

「おかしい動き。こっちに向かってるような。ケガしてるのかも」

「放置しておいて大丈夫そうか?」

首を振るミキュラ。

「まあ待ってみるか」

「そうね。階段部屋もそろそろあってもいいころだけど」


すぐに冒険者達が現れた。

二人が一人を運んでいる。完全に倒れたらしい。

それ以外の二人もケガをしている様子だ。


「おーい、大丈夫か?」

「大丈夫に見えるならいいんだが。派手にやられた」

「そうか。助けはいるか?といってもうちには癒し手はいないんだ」

「ああ、もしかしたらと思って気配のある方に来たんだがそこまでついてなかったか」


「癒し手なしの三人でここまで!?腕がいいのか、運がいいのか」

「ポーション数本渡せるぞ」

「いや、それよりも。その腕を見込んで依頼をしたい。入口まで送ってくれないか?」

「護衛だな」

「そうだ」


三人で目を合わせる。断る理由はとくにない。

「こっちの指示に従うなら受けてもいいぞ」

「なら、たのむ。正直余裕はないんだ」

「じゃあ行こう。指示はミキュラが出す。なるべく戦闘は回避して進むからそのつもりで」

「おおう。頼もしいぜ」

「やっぱり渡して置く」

数本のポーションを渡す。うなずいて受け取ると、運んでいる二人に渡していた。

怪我人が重傷者を運んでいるのだ。


移動を始める。時間がもったいない。

「ガードリックだ」

「ガラアック。あっちがミキュラで、こっちがワルケリアナ」

「ワタシたちは《マードの爪》よ!」

「オレ達は《荒野の息吹》だ。倒れてんのがうちの《癒し手》だが、後ろからトレントにからまれてな。正直下級ポーションだと起こせないだろう」

「かなりやられたんだな」

「気づく前に倒されてた。魔鹿と対面してたんでな。注意をそらして逃げてきた」

「正直逃げられて幸運だった」

「ああ、もう駄目だと思ったぜ」


先行するミキュラが振り返る。

「トレントくるけどやる?」

「倒す方が早いか?」

「見てていいぞ。加われるなら早く済む」

「ああ、俺だけ動こう。他のは足手まといになりかねん」

「わかった」

「やってしまおう」

「ん」


「くうぅぅ、怪我がなければやれるんだが…」

「大人しくしてろ。周りの警戒を頼む」

「ああ」


――ヒュッ!ヒュッ!ヒュッ!

三人で矢を打ち放つ。

「ギギギギ」

トレントが勢いをつけてこちらへ来る前に、盾を構えて先に出た。

攻撃範囲に入れば突進も止める。


盾で殴りつける。

すぐに右で斬りつけた。連続して隙を切り裂く。

攻撃してきた枝を全身の力で受け止める。

枝に切りつけ返す。


「《雷矢》!」

ワルケリアナの雷魔術が音を立てて命中する。

トレントがわずかにのけぞる。

「おいおい」


「エイエイ、エイ!」

ミキュラの連撃も冴えている。切れ味鋭い。


両手剣を構えたガードリックが連撃を放つ。

蹴りをお見舞いして再び連撃を放つ。

確かな実力の持ち主だ。


薙いできた枝を受け止める。

「フン!」

強く盾で振り払う。突き返して枝に切りつける。

トレントが奇妙な痙攣をおこして静かになった。

迷宮に吸収され始めた。魔石が転がり出る。


「やるなあ、嬢ちゃん」

「ありがと!」

比べると当たり前だが両手剣の破壊力がすさまじいな。

長い戦闘があっさり終わる。


「行こう」

「ああ。生きて帰る芽が出てきた。頼もしいぜ」

「ちゃんと出口まで送るよ」


それからは絡まれずに一階に戻ることができた。

一階ではデカイネズミに絡まれたが、複数同時に襲われることはなかった。

「エッヘン!」

ミキュラの腕と、幸運が《荒野の息吹》についていたからだろう。

入口まで戻ることができた。


「送り届けたぞ」

「ああ助かった!」

「約束の報酬だ」

「確かに受け取った。馬車代はあるのか?」

「あるよ。なくてもギルドまでの貸しにしてもらうからいいさ」

「ふーん。気を付けてな」

「ああ、世話になった。ありがとう。いい腕だな」

「どういたしまして。困ったときはお互い様さ」


◆◇


「ミキュラはよくやったわね!」

「さすがだな!」

「ふふーん!もっと褒めていいよ!」

「エライエライ!」

「よし!おごるぞ」


ゆっくりと荒れ地を歩いて帰る。

馬車に乗ればよかったと思ったのはかなり歩いた後だ。

「そういうこともあるわね!」

「でも問題はない」

「そうだな!」


ギルドまで戻ったあと、酒場で果実水で乾杯した。

食べ物も魔鹿のステーキがある。ガードリックが「食ってくれ」と置いて行った肉を焼いてもらった。

肉汁に香りの乗った味わいで噛むたびに旨味が口の中に溢れる。

「ウマママ」

「こりゃ高値で売れるわけだ」

「そうよね、この味よね」





楽しんでいただけたら幸いです。

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