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22◆中級:風の迷宮・一階

誰かが呼び始めて定着したのが〈風の迷宮〉だ。噂によるといくつかの階層で風の魔物が出るらしい。

そうすると属性装備の期待から名前に属性が着けられることが多い。

ここも例に漏れない迷宮なわけだ。


「草原だな」

「ん。草原」

「聞いていたとおりね!マップはどうなのかしら?」

「あってるみたいだな。いつも通り頼む。ミキュラ」

「わかった。さっそく一体来てる」


デカイネズミが牙を見せながら走ってきていた。一抱え近くあるハイラットだ。

――ドン!

鈍い音を立てて、盾で受ける。そのまま突き返しも入れる。

「ヂューギャギャ」

「《氷結》《氷矢》!」

「エイッ!」


ミキュラの短剣が鋭く当たり倒れた。魔石が残る。

「強くない」

「まあ中級とはいえ一階だしな」

「そうね。もう少し回りましょ!」


複数遭遇を避けつつ、草原を進む。背の高い草むらになるととたんに魔物の発見が遅くなる。

ミキュラは気が付いているが、こちらが視認するのが遅れる。

「意外と厄介だな。複数来なくて助かってる」

「もっと勘を磨くべき」

「はい」


ドロップは質の良い革の防具をよく落とす。小物が多いがグラブとヘルムは全員に行き渡った。

なくてもよかった部分だが中級ということもあり固めていくことにした。

「似合うかしら?」

「うーん、変わらないかな」

「あら、そう。もともと持ってたものと比べたら質が良さそうでよかったわ!」

「ここ産のものが結構出回っているな」

「ん。これもそう」

ミキュラが革の脛当てを見せる。楽しそうに尻尾が揺れた。


◆◇


「広い」

「そうだな。地図によるとまだまだ先がある」

「ボスまで遠いかしら?」

「場所は決まってないみたいだ。部屋のないボスだな」

「そう!じゃあ、いるかもしれないわね!」

「どうだろうな。狩られてるんじゃないか?すでに三組はすれ違ってるぞ」

「そうね、それはあるかも」

「いままで気配はなかった。いた範囲を通ってない」


「正直変化に乏しいな」

「そうねぇ」

「ずっとデカイネズミばかりだものね!」

「階段まで行って引き上げるか?」

「わかったわ」

「ん。そうする?」

「しばらくここに来るからな。帰り道にも慣れておいていいだろ」

「わかった」


進むと戦闘音が聞こえてきた。

地図によると階段の近くのはずだ。


「やってる。多分ボス」

「お、どんなのか見させてもらおうぜ」

「いいわね!参考になる」


近接武器を持った四人で取り囲んで、ボスと思しき巨大なネズミを叩いていた。

それでもまったく臆したことなく反撃しているのは魔物の性質なのだろうか。


「逃げる魔物はいないのかな?」

「いるよ。仲間を呼んできてひどいことになる」

「あら。襲ってくるだけじゃないのね」

「そう。油断はダメ」


戦闘は危なげがない。近接の他に癒し手らしき術士がそばにいて目を光らせている。

こっちを見てきたので、合図に手を挙げておいた。

幾分緊張感が上がった気がするがそうでもないかもしれない。

気合をかける声が大きく響く。にぎやかだ。

「テェヤ!」

「それっ!」

「なんでぇ急に!張り切りやがって!」

「見られてんだろうがよっ!」

「ああん?」

「女の子だぞ!」

「「「「まじ?」」」」

「「マカセロ!」」

「いやここは俺が!」

「何言ってんだ、おら!」

「連撃を決めるっ!」

「《風の癒し》掛けますねー」


タフさではさすがに中級の階層ボスといった感じだ。

攻撃を捌くことはできそうだが、あの人数であれだけ叩いても平然と噛みついてくる。

簡単にはこの迷宮は進めないだろうなと感じた。

その後しばらく続いた戦闘も、二人の戦斧が連続して当たり、魔物が動きを止めた。


「「おおう!見ててくれたか!オレの雄姿」」

「《マードの爪》よ!こっちにも来るからヨロシクネ!」

「「「「お、おう!」」」」

「ボスだろ?やるなあ」

「ん、参考になった。ありがと」

「いえいえ。うちは《戦神の斧》の五人です」


「なんでこっちが下手なんだ?」

「いや、向こうが元気いいじゃねぇか。可愛いし」

「ありゃクリームんとこのお嬢様だ。やべぇな。昔よりはるかにキレイになってる」

「あん?クリームさんとこ?」

「ん。よろしく」

ミキュラの耳がピクッとした。


「「お疲れ様でーす」」

「おれ、獣人娘も悪くないと思うんだ」

「そういうときはいいと思うんだ。だろ!」

「「はい、このあたりは掃除して魔物はいませんでーす」」

「なんだなんだ、お前たち」


「ありがとう。参考になったよ。またな」

「おう。気を付けてな」

「「「「またよろしく!」」」」


ワイワイガヤガヤとドロップがどうのと騒ぐ五人を置いて、三人は階段へと向かった。そこまで離れてはいなかったし、わかりやすく小山になっていたので迷わなかった。

階段の小部屋に入って一休みする。


「明日はここまで素早く来れるといいな」

「そうね!手応え的には二階からが本番なのかしら」

「そうかも」

「今のボスも早いうちに倒してみたいな」

「機会はあると思うわ!新しい魔術でどこまで行けるか楽しみ」

「ワタシもまだ試せてないのがある」

「それは頼もしいな」


帰りはミキュラの誘導で戦闘が殆どなかった。

迷宮を出て荒れ地に入ってからも「避ける」といって時間を稼いでから進んだりしたので予定外の戦闘はなかった。

手間を考えるとあまり出会いたくない魔狼なのでよかった。





楽しんでいただけたら幸いです。

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