21◆荒れ地へ
荒れ地の中級迷宮の一つに潜ることにした。
そのための下見だ。まずは辿りつけなきゃ仕方ない。
魔物に絡まれるときいたのでかなり警戒して進んだ。
「ギルドの掲示にパーティメンバーの募集を出しておいたわ」
「いい奴がくるといいな」
「ん。でも難しい。ワタシは幸運だった」
「ランクが近くて一人者はなあ。変わり者が来そうではある」
「実力があるなら少し変でも構わないわ!」
「うむり」「えー」
霧が出ることもあるが、今日は曇り空なだけだった。
「ミキュラ感じるか?」
「いるね。もうすぐ来るよ。魔狼の一種だと思う」
弓を構える。見つけた。
魔猪ほどではないがでかい狼。
絡んでくる気まんまんといった足取りだ。痛い目に合わせておく必要がありそうだ。
「フッ!」
連続して三本放って二本当てた。ちょうどいい距離を心得てるようだがこちらも上達している。
ミキュラが二本当てた。器用だ。
さすがに怒りをあらわに突撃してきた。
「《氷結》《氷矢》!」
――ヒャウン!
似合わない悲鳴を上げて転ぶ魔狼。トドメに槍で突き刺して動きを止める。
迷宮じゃないから消えていかない。
「魔石取る」
ミキュラが素早く捌いて心臓近くから魔石を取り出した。
「助かるよ」
「ん。慣れれば簡単」
放っておいても鳥の魔物の餌になるだろう。放置する。
そのあと数回絡まれた。たしかにこれは駆け出しのままだと無理だっただろう。
「昔いた犬に少し似ているのがいやね」
「ワルケリアナの家で飼っていたのか?」
「そうだと思うのだけど、はっきりと覚えてないわ!もうちょっと潰れた顔をしていたわ」
「そうか」
冒険者が着けた印の標識を辿っていけば、迷宮に着ける。
迷うほどの距離もない。ただし絡まれなければだ。
もし対応に誤って道から外れると荒れ地の中でさ迷うことになる。
夜には冷えるから野営の準備をしてなければ体力の消耗を余儀なくされるだろう。
ちなみに今回は準備はしてない。
いざとなったら真っ直ぐに街へ向かって走るつもりだ。
「ん。それがいい」
「そうね!」
構えすぎないのもこのパーティのいいところかもしれない。
迷宮の入り口にはテントが張ってあり、商人が店を出していた。
迷宮の監視所もある。奥にはそれほど規模は大きくないが隊員の詰め所もあるらしい。
特に買うものはない。高いのだ。
「いらっしゃい。見ない顔だな」
「今日からだ。新人に扱い易い地図はあるかい?」
「あるけど1枚ずつだぞ。200でどうだ?」
「高いな。自分で書くよ」
「そうかい。落とし穴に注意するんだな。書く間もなく落ちるって話だ」
「ありがとう。50なら買うよ」
「そ、そうか?じゃ成立だ。毎度あり!」
「一階だけか。まあ慣れるためだからいいか」
「オレはバルティスモアだ。買取もしてるから、今後ともよろしくな」
「冒険者のガラアックだ。よろしく」
近くの盛り上がった石組みの小山には、迷宮の入り口が大きく口を開けて冒険者を待っていた。
「ここまで順調だし、のぞいてみようか?」
「ん」
「そうね!」
楽しんでいただけたら幸いです。




