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17◆ダイアを連れて

「スライムは核を狙えばそれでいい」

「は、はいっ!」

ペチペチと軽い音がする。スライムの狙いはコチラで盾を押し付けてるぶん固まっているから問題ない。

それでもこれだと養成訓練みたいだな。

ワルケリアナが苦笑いを浮かべている。

「本気でやっていいんだ」

――ザシュ!プニュ!ザシュ!

「はい!」

「連れてくる」

ミキュラが階段までの通路を先行する。

連続して戦闘が続くとダイアドアラントもだんだん慣れてきた。


――シュッ!プニュ!シュッ!

核を切り裂かれたスライムが床に溶けて魔石を残す。

「ムフー」

「ドヤってないで進む」

「は、はい!」


一階は簡単に進めた。

階段を下りる。


早速スケルトンをミキュラが連れてきた。

「骨!」

「ふんっ!」

盾で受け止めて切り返す。

装備の良さが出ているのか、ダイアドアラントが剣を振り回して当たるとスケルトンがびくついて動きを止める。

何かしらの付与が付いているのかもしれない。

ならこちらもその隙を利用させてもらおう。


「《火炎》!」

「フン!」

「エイエイ!」

糸を切られた人形のようにスケルトンが崩れ落ちる。魔石も転がった。


「この魔術はワルケリアナさんのもの?」

「そうよ!」「そうだぜ」

「す、すごい…」


二階は苦労するかもと思ったが魔術を使う数を増やさなくても楽に進めてしまった。

ミキュラの先行で魔物が同時に来ることもなく、落ち着いて捌けていた。


階段の小部屋で軽い休憩する。

「オレ達も楽できてる。いい感じだ」

「そうだといいです!」

「その剣も強いみたいね」

「代々伝えられている剣です。魔物を固める力があるとか」

「一瞬だがたしかに効いてるな。それがでかい」

「ん、はっきりわかる」

「この調子で頼むぜ」

「はいっ!」


三階のオオコウモリはワルケリアナが張り切って焼きまくって倒した。

魔術を使うタイミングが減って使いたくなったらしい。

こっちは戦闘棒でたまに手伝うぐらいで終わってしまった。


「触れませんでした…」

「そんなもんだ。オレ達も慣れと工夫が必要だった」


「次の階から魔物が弓を使ってくる。油断するなよ」

「わかりました」

「じゃあ行こう」


四階層の始めのうちは、魔物に遭遇しなかった。ミキュラも首をひねっていた。

「いない」

「かたまっているのか?」

「だとすると厄介」

「警戒して進みましょ!」

後ろの家来組も先行偵察の報告を聞いて警戒し始めた。


階段部屋の近くまで来て、迷宮の空気が変わった。

「四体いる」

「やれる数ではあるな」

「いける?」

「一気に突っ込むか?いや、弓と呪文で遠距離勝負と行こう」

「相手の矢は盾持ちが受ける」

「わかった」「はい」

「始まったら裏を取る」


弓をつがえて見えている一体を狙う。

「《雷矢》!」

同時にミキュラの矢も突き刺さって影が倒れ始める。

すぐに影が重なるように動いて別のシャドウゴブリンが弓をつがえているのがわかる。


「こっちだ!」

盾を取り出してロングソードで叩いて威嚇する。

狙われる分には盾が有効に機能する。

――ガン!

一本弾いた音と完全に外れた風切り音が耳に届く。

「《氷結》!からの《氷結》!」

「エイエイ!」

ミキュラの連撃が入った影が崩れ落ちる。

いつのまにか背後に回っていたのだ。

これで残り二。


氷で固まっている。動きが鈍い。

「突っ込む!」「ハイ!」

影の動きがミキュラとこちらで迷いを見せた。

その隙に突進が決まる。

「フン!」

「ヤァッ!」

「エイエイ!」

二体の影が崩れ落ちるはほぼ同時だった。


「みんな平気ねっ!キャァ!」

「ワルケ!こっちへ!」

矢が飛んできていた。危ないので迎えに行って盾をかざす。

「三ぐらいいる。偵察が戻ってきた」

「狙えるか?」

「見えてるわ!《火炎》!」

燃やしたがダメージを与えた程度だ。

「少し下がるぞ。合流だ」


「ミキュラさんこちらへ」

「ん。盾助かる」


四人がそろった。相手の矢は見当違いの方向に打ち始めている。

「他にも合流されると面倒だな。倒そう」

「このまま前進だな。背後について来い」

「《炎矢》!」

盾を構えているので矢は打てない。考えどころだ。

「あそこにいるので全部かしら」

「わからない。注意はしてるけど他には確認できてない」

「油断はできないわけね」

「《炎矢》!」

「先に行ってる」

「頼む」

再び盾を叩いて煽る。矢がこちらに飛び始めてきた。

一気に近づける距離までじわじわと前進する。

「《炎矢》!」

一体の影が崩れ落ちた。そこに重なるようにして弓をつがえるシャドウゴブリンがいた。

――ヒュッ!ガン!

腕のいい弓手なのだろう綺麗に飛んできた。かえって守りやすい。

「しのぎどころだ」

「どうすれば?」

「盾に隠れて進む」

「はい」

「他には見えないよな?」

「いませんね」


「エイエイ!」

そろそろ駆け出す距離というところで、ミキュラの短剣が魔物を斬りつけて切り倒した。

「《氷矢》!」

最後の一体がワルケリアナの魔術で倒されると当たりは不気味な静けさに包まれた。


「魔石を回収して階段部屋に行こう」

「わかったわ」

「弓のドロップはこっちで持っておく」

「売り物ね!」

「はい!」

ミキュラと合流する。


階段部屋に入り込むまで警戒は緩めなかった。

「ミキュラよくやった!」

「さすがね!」

「えへへ、もっと褒めていい」

「上に戻ったら食事をおごるよ」

「やたー」

「ワルケもすごかったな。連続で撃って疲れてないか?」

「少し疲れたわ。まだいけるけどね!」

「次は五階だけど先に休憩にしよう」

「そうね、護衛依頼が目的だものね」

全員でうなづく。

ダイアドアラントも真面目な顔でうなづいていた。





楽しんでいただけたら幸いです。

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