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【第43話】内なる救世主

 機械の鳥と竜が空中でしのぎを削りあう夜空の下、儀式場『静謐の庵』は名前とは正反対の喧騒に包まれていた。


「はあああああああああっ!」


 強化した腕力で振るった薙刀杖で大風の使徒たちをなぎ倒したサーシャは額の汗を拭う。エルフの青年たち顔負けの戦闘力で戦うサーシャの表情には、しかし疲労が強く浮かび上がっていた。


「こいつら、どんだけいるんだっ!」


 彼女と背中合わせで戦うエルフの青年アダンもまた、槍で目の前の敵を突き倒しながら思わず毒づく。その横からさらにもうひとりの大風の使徒がその手を伸ばしてきた。


「アダン、屈め!」

「っ!」


 ロシュートの叫びに反応してしゃがんだアダンの頭上を矢が通過する。矢は使徒の手を貫き、悲鳴を上げた赤いローブの男を殴り倒したアダンはロシュートに叫び返す。


「ありがとうロシュートさん!けど、流石にだいぶキツくなってきたぞ!いったん引くかい!?」

「そうしたいところだけど……!」


 ロシュートは疲れ切ったエルフの言葉への返答に窮した。


 現在ロシュートたちは『静謐の庵』の半分ほどまで前線を押し込んでいた。何人、いや何十人もの大風の使徒を倒し、中央の魔法機へめがけて進行している。


 だが、大風の使徒の数は圧倒的だった。


 一人ひとりの戦闘力はあまり大したものではなく、武器を使わずとも腕力のみでなんとかなる場合も多い。しかし倒しても倒しても後ろから出てくるうえ、彼らには戦いへの恐怖心がない。虚ろな目をした使徒たちは信仰心だけでは説明のつかないほどに心を凍りつかせており、ロシュートたちの気迫にひるむことはあっても動けなくなるまで絶対に戦いを止めないのだ。


「同胞たちよ、ここが踏ん張りどころだ!間もなく『荒神様』復活の準備が完全に整う!それまで『ミュー・フォース』を死守せよ!」


 中央の魔法機の周囲に立つ『宣教師』たちが叫ぶ。彼らの手に握られている杖と魔導書からは怪しげな光が耐えず発せられており、光を見た使徒たちは虚ろな目でロシュートたちに立ち向かってくる。ロシュートはそれがおそらく洗脳魔法による洗脳状態を維持、ないし強化する魔法だと睨んでいるが、中止させようにも大勢の使徒たちが壁となり攻撃を阻んでいる。


「サーシャ、無理するな!いったん下がれ、俺が代わりに前に出る!」

「そうですねっ。ではロシュートお兄ちゃん、お願いっ!?」


 ロシュートの指示に返答しようとしたサーシャは、ズンッ、と腹底に響く衝撃に言葉を詰まらせる。


 そう、魔法機による断続的な攻撃はまだ続いている。一回一回はユイナのおかげで耐えられていたが、戦いが長期化してきたことによってそのダメージは確実に蓄積してきていた。


「きゃあっ!」

「サーシャッ!!」


 魔法機による攻撃『ミュー・フォース』によってよろけたところに、大風の使徒が詠唱した風魔法を食らったサーシャが吹っ飛ばされた。薄く張った水の上を派手に転がった彼女にロシュートは慌てて駆け寄り助け起こす。


 不幸中の幸いかサーシャは軽傷であり、吹き飛ばされたことでうまく前線から下がることができた。エルフの青年たちも隙を突いてうまく入れ替わり、前線で戦っていた面子が少し後ろに下がって息を整えているのが見える。


「ごめんなさいロシュートお兄ちゃん、もう大丈夫です」

「謝るのは俺の方だ。援護が遅れちまった」


 身体中を擦りむいて申し訳なさそうにするサーシャの頭を軽く撫でつつ、ロシュートは立ち上がって前方を見た。エルフの青年たちがどうにか前線を保たせているが、このままではジリ貧なのは目に見えている。まだ少数だが大風の使徒が徐々に後ろへ回り込もうとしてきているのも気になる。


 ロシュートはポーチの中にある地属性強化ボール改を意識した。あと1個、再び広範囲の地属性魔法を発動すること自体はできる。しかし彼は自身の体力が残るかどうか自信がなかった。サーシャも限界が近いいま下手に倒れるわけにはいかない、だがやらなければ突破口も開けない。


 頭をよぎった八方ふさがりの絶望を、ロシュートはどうにか振り払って考え続ける。とにかくサーシャを下がらせた穴を埋めるため、彼が短剣を抜いて前線に出ようと立ち上がったその時だった。


「使徒たちよ!」


 どこからともなく、いや、頭上からヴェルヴェットの声が儀式場に響き渡った。一瞬大風の使徒たちの手が止まる。


 突然のことに様子を見るしかないロシュートたちに告げられたのは、大風の使徒たちに向けた絶望的な指令だった。


「『ミュー・フォース』の安全殻を解除、最大出力で再発動し、目の前の敵を殲滅しろ!これは、我々の最期の戦いである!」


 司祭直々の命に、大風の使徒たちの反応は早かった。


「司祭様!承知しました。ああ、ついにこの時が来たのです!皆さん、聞きましたね?」


 中央の魔法機の傍に立っていた宣教師たちが声を合わせて叫ぶ。


「これより『復活の儀』を開始する!『ミュー・フォース』を最大出力へ!そして同志と互いに導きの言葉をささやき合うのです!」


 直後、ロシュートたちが行動を起こすより早く中央の魔法機に変化が起きた。


 ガラスを踏み砕くような音を響かせながら中央の魔法機にセットされた巨大結晶の回転速度が増していく。回転の力を利用して結晶の傘がさらに展開し、脈動する核が剥き出しになった。核は蒸気を纏っており、膨大な熱を冷却するために結晶殻が展開したのだとロシュートは悟る。


 そして。


 ギィイイイイイイイイ!と動物の断末魔のような音、そして目に見えない波動が響き渡った。


「ぐおおおおおおおおおおおっ!?」


 突如襲ってきた強烈な頭痛にロシュートは思わず頭を押さえて膝を突く。心臓のあたりに短剣を直接突きつけられているような嫌な違和感と頭痛、耳鳴り、そして発熱。身に着けている道具の魔法陣も強烈な熱を発している。


「みんな、大丈、夫……」


 どうにか事態を把握しようと周囲を見渡したロシュートは、そこにあった光景に絶句した。


 広場にあふれる悲鳴は、ロシュートたちのものだけではなかったのだ。


 サーシャも、エルフの青年たちも、そして大風の使徒、宣教師までも。その場にいる全員が頭を抱えて苦痛を叫んでいる。


 違いがあるとすれば、大風の使徒たちはみな苦悶の中にどこか恍惚とした表情を浮かべていることだ。


 眼を見開いて叫びながら、使徒たちは頭を包むフードを取り去る。あらゆる髪の色、あらゆる種族の大風の使徒たちは互いに抱き合い、歓喜と苦痛の涙を流し、互いの後頭部に触れた。


 止める間もなく、誰から頼まれる間もなく、使徒たちはいっせいに詠唱する。


「『メサイア』」


 彼らの抱えている魔導書、魔法陣が暴走している聖典がさらに輝いたかと思うと、一瞬炎に包まれ灰となって砕ける。


 数秒もせずに出力を増した『ミュー・フォース』の断末魔のような音がやみ、ロシュートたちには強烈な頭痛と倦怠感が残された。人々の悲鳴も止まり、静謐を取り戻した儀式場に立つ者はみな一様にふらふらと立ち尽くす。


 だが、大風の使徒たちは動き出した。


「アアア、ウアアアアアアアアッ!」


 うめき声を上げながら突進してくる大風の使徒たちは、もはや正気ではなかった。


 白目を剥き、血涙を流しながらロシュートたちに掴みかかろうとする。


「なっ、こ、こいつらっ!」


 精神を気丈に保ったエルフの青年が、迫る使徒のひとりを槍で押し返そうともがく。だが正気を手放した使徒は人知を超えた力で槍に掴みかかると、逆にエルフの青年を押し倒そうと力を加える。


「うわああああ!?」

「い、ま、助けますっ!『エンレグレス』……っ!」


 ふらつきながらも、未だに熱を帯びている薙刀杖で脚部強化魔法を発動したサーシャはエルフの青年に掴みかかっていた大風の使徒へ一気に走り、強化した脚力に任せ思い切り蹴りつけた。エルフの青年が手放した槍は衝撃でよろけた大風の使徒に奪い取られてしまうも、どうにか引きはがすことに成功する。


「う、嘘っ!?」


 咄嗟の行動で青年を救ったサーシャは、しかし、自分が蹴った大風の使徒を見て絶句した。


 彼の指は蹴りを受けた衝撃に任せて無理やり槍を剥ぎ取ったことでその何本かがあらぬ方向に折れ曲がっており、たとえ専門知識がなくとも一目で骨折していると分かる。だが赤衣の狂信者は痛みを感じないとばかりに槍を握りしめたまま、目の前の敵を血の溜まった眼で睨んでいたのだ。


 そこには人間性など微塵もない。獣ですらない。


「洗脳魔法を使った、人間の限界を超える身体強化か……!」


 ロシュートが持てる知識で状況を把握しようとすると、そうとしか表現できない。


 大風の使徒たちは『ミュー・フォース』によって強化・暴走した洗脳魔法『メサイア』を互いにかけることにより、憎悪によって動く屍とでも呼ぶべき存在となり果てていた。


「サーシャ、大丈夫か!」

「ろ、ロシュートお兄ちゃん、どうしたらっ」


 ロシュートは困惑のあまり泣きそうになっているサーシャに追いつき抱き寄せつつ、腰が抜けてしまっているエルフの青年の襟首を掴んで共に後ろへ下がらせた。


 痛みを忘れ、自分が壊れるのもいとわない怪力を発揮する大風の使徒たち。動きの緩急が激しくなるのかぼーっと立って動かなくなった者もいれば、狂乱のままに腕を振り回している者もいる。脅威度にムラがあるとはいえ、ロシュートの周囲ではすでにエルフの青年たちを狂気に身体を任せた大風の使徒たちが圧倒し始めていた。


「早くアレを止めないとヤバいな……!」


 ロシュートは核が剥き出しになった中央の魔法機、魔法陣を暴走させる『ミュー・フォース』の発生源を睨みつける。大風の使徒たちの洗脳が解けるかは未知数だが、味方が消耗している現在あの脈打つ巨大結晶を止めなければ勝ち目はない。


 それに、周辺に設置されていた『子機』の魔法機よりも遥かに強い出力で起動しているのも気になる。もしかすると、ヴェルヴェットは破壊された『子機』の出力分を()()()()()()()荒神様(ラ・テンペスタ)』を復活させる儀式を完遂しようとしているのかもしれない。


「クソォ!」


 憶測でしかない危惧と焦燥がロシュートの内で膨れ上がった。彼はあふれ出しそうな恐怖を振り払おうと短弓を構え、最初と同じように魔法機を射る。矢はもはや風魔法に防がれることはなく魔法機に到達、剥き出しになった核に当たりはしたものの、今度はその回転が生み出すエネルギーによって弾かれた。ロシュートは思わず舌打ちする。


「あの核を壊せれば止まるはずっ!」

「それなら私たちで一気に道を開きます!その隙にロシュートお兄ちゃんが魔法機を破壊してくれれば……!」


 彼を傷つけまいとして自らの身体に鞭を打とうとするサーシャの提案を、しかしロシュートは首を横に振って却下した。


「ダメだサーシャ。魔法機の核は矢を弾いた。現状出せる最大の力を持ったお前が破壊を担当した方がいい。もうみんな限界が近いいま、道が開けるまでは、お前はまだ温存しておかなくちゃならない」

「でもっ!」

「サーシャ」


 なおも食い下がるサーシャを、ロシュートはじっと見つめる。


 サーシャを過剰に守ろうとしているわけじゃない。彼女の実力を信頼したうえで、勝つために必要だから温存しなくてはならないのだ。彼のその意思は無言のうちにもサーシャに伝わった。彼女は歯噛みしつつも、自分を納得させるために頷きロシュートの後ろに下がる。


「みんな、聞いてくれ!」


 サーシャを背中で庇いつつ、ロシュートは前の方で大風の使徒たちをどうにか抑え込んでいるエルフの青年たちに向かって叫ぶ。


「今から俺とみんなで一気に魔法機までの道を開く!合図したら戦力を一気に集中させて突破するぞ!魔法機の破壊はサーシャがやる!」

「それを待ってましたってね……つまり僕らはサーシャちゃんのために死ぬ気で武器を振るえばいいんだろう。望むところだ!」


 大風の使徒を押し返しつつ、アダンが叫ぶように返答した。他のエルフも一様に頷き目くばせを交わす。同じ村で長年生きて来た彼らにとって互いの考えていることは手に取るようにわかる。それが命がけの行動であっても、連携行動に会話は必要なかった。


「やるぞ……!」


 前線に向かって走りながら自らを鼓舞するために呟き、ロシュートは短剣を強く握りしめる。


 巨大結晶の魔法機が設置されている祭壇まではまだ距離がある。強行突破するとして、我を忘れて襲いかかってくる大風の使徒たちが構成する肉の防壁をどこまで貫通できるかは分からない。それどころか、突破できずに力尽きる可能性すらある。


 だがユイナを、サーシャを、ウィンディアン村の人たちを守るためにはこの無茶を通すしかない。


「行くぞみんな!俺に続ッ!?」


 合図のために声を張り上げようとした瞬間、ロシュートの耳元を通過する風切り音がそれを遮った。


「そこの無能異端者さん、一瞬動かないでくださいね。わたくしの射線に入ると大変ですよ?」


 彼は冬の湖のように冷たく棘のある言葉を背後から聞いた。続けざまに発射された青白く光る十字が次々と彼のそばを通過し、大風の使徒たちの胸に突き立っていく。使徒たちは狂乱のままに十字を引き抜こうと手をかけるが、まるで糸が切れたように突然意識を失ってその場に倒れた。その胸部から何かを吸い上げ、十字はぼんやりと発光しながら氷の結晶のようにゆっくりと成長していく。


「お前、ウマコトのっ!?」

「リリシア・コースタス。本当は異端の男に名乗る名前などないのですが、ちゃんと自己紹介をしておけと言われていまして」


 ロシュートが振り返るとそこにいたのは紺色のヴェールに頭部を包む修道服の女、リリシアだ。彼らが切り開いてきた道を駆けてきたらしい彼女は濡れるのも気にせずにしゃがむと、手にしたクロスボウのような武器を構えなおしてレバーをジャキッ、と引き起こす。どういう原理なのかクロスボウに光の十字が装填され、彼女は再び引き金を引き始めた。


 更なる射撃により大風の使徒たちが押し戻される中、ロシュートは当然の疑問を彼女にぶつけた。


「援護してくれるのは嬉しいが、なぜここにいる!?」

「無駄に大声を出さないでください、虫唾が走ります。そして答えは簡単、わたしたちはもう()()を終えたのですよ。だいぶ数を減らしたので、残りの魔法機はウマコトがひとりで壊すそうです」

「それで助けに来てくれたのか?」

「不本意ながら、ですがね」


 リリシアは光の十字を撃ち出しつつ、深くため息をついた。


「昔の友人の頼みだから、と彼は言ってましたね。というかあなたの妹、ユイナ・K・キニアスですよ」

「ユイナが、ウマコトに?」

「ええ。手が空いたら援軍に来いと言ったようですね。あの男、アホですから。彼女の言うことならすぐ吞んでしまうのですよ」

「あの、あなたはユイナさんとはどういう……?」


 ユイナがウマコトに森の各所で起動している魔法機を破壊して回るよう頼んだのは知っていたが、さらに直接的に本拠地の攻略を手伝うように頼んでいたとは。


 ロシュートにはあのいけ好かない男をあれだけ嫌っていたユイナがどのようにして頼んだのか、どうしてそれをウマコトが承諾したのか、理由が全く分からなかった。そしてそもそもユイナとウマコトの関わりをよく知らないサーシャも思わず首を傾げている。


 彼らのそんな反応は想定内とでも言いたげにリリシアは再びため息をつくと、気だるげに口を開く。


「わたくしにもユイナやあの男が考えていることなんて想像がつきませんわ。おかげで連日の発明に疲れたとか集団戦は得意じゃないとか抜かすモレイクさんやゴルドラさんの代わりにわたくしと……」

「オイラが助けに来た、ってことだな!」


 明朗快活な声が響き、橙色の短髪を汗に濡らした女戦士がロシュートたちのそばを駆け抜ける。


 グレース・ロックベルト。大岩のような巨躯の女は湖の傍で惨劇を生み出した大斧ではなく、引き抜いた木を粗雑に折って加工しただけのこん棒を人間離れした膂力で振り回し、大風の使徒たちを蹴散らしていく。


「あんたたちも『正義』のために行動してるって聞いて、オイラずっと一緒に戦いたかったんだ!助太刀するぜ!」

「……と、このように暑苦しい筋肉山脈が援軍として駆り出されたわけですわ。ま、面倒ですけどわたくしとしては異端者をこの世から消せて都合がいいのですけど」

「消すって……でも」


 ロシュートは困惑しつつも、リリシアが撃ちグレースが倒した大風の使徒たちを見る。こっぴどくやられてはいるものの、見る限りではあの夜のような犠牲者は出ていない。彼の疑問を見透かしたリリシアは言う。


「それもウマコトの指示です。あそこにある大変気色の悪い、冒涜的な魔法機はわたくしたちにとっても有害なのでさっさと片付けてしまいたいのですけれどね。ロシュート・キニアス、()()()()()()()()()()()()()限界が来るまでは絶対に人を殺すな、と彼は言いました」

「仲良く、したいから……」


 自称異世界人サトウマコト。


 歩み寄りのつもりなのだろうか。だがロシュートには彼の考えていることが、むしろもっと分からなくなった。


「限界というのはモレイクさんがわたくしたちに施したあの魔法機対策の魔法陣のことです。正直ここまでひどい負荷がかかるとは思っていなかったのでこのままだとあれには近づけません」


 ロシュートが前線で暴れるグレースの肩を見ると、確かにユイナが魔力波遮蔽用に作ったマントのそれと似たような形をした魔法陣が刻まれている。リリシアは修道服を着込んでいるので見えないが、彼女も身体のどこかにそれが施されているのだろう。


「ですのでわたくしたちは防御魔法陣が焼き切れるまでは粘りますが、それでもまだあの魔法機を破壊できない場合は……」

「殺してでも、止める」

「そういうことです」


 リリシアは装填分の十字を撃ち終わり、再びレバーを起こしながら鋭い表情でロシュートの顔を見上げた。


「あなたはわたくしたちのやり方に異議があるようですけれど、ならば御託を並べるより先にご自分でなんとかしなさいな。機会は与えられているのですから、実力のない雑魚が謎のこだわりを発揮したところで認められるわけがありませんのよ?」


 歯にもの着せぬ、まっすぐな罵倒。


「ああ、やってやるさ!」


 だがむしろ、ロシュートはそれで目が覚めた。

読んでいただきありがとうございます!

次話は明日投稿します!

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