ゲームマニア
1.追跡
ビルの屋上へと続く階段を上っていく。しかし、その階段を上った先にあったのは地面=大地であった。その大地の上にはひとつの建物=自動車修理工場が立っている。その建物に入る。中は無人のようではあるが、相手は潜んでいるようすである。銃撃が始まる。仲間たちは倒れていくが、その倍、相手たちを倒していく。次のステージへの階段を上る。その先にあったのはお堂。中央に阿弥陀如来坐像がある。使われた形跡の火鉢。まだ温かい。相手はどこに隠れたのだろうか。
2.戦闘
われわれが火鉢を調べようとしたそのとき、背にある阿弥陀如来坐像が攻撃を仕掛けてきた。それはどうやら改造されたロボットのようであった。仲間が三人やられる。私は転げ回り障子の後ろに隠れる。阿弥陀如来坐像は目から焦熱光線を吐き出しつつ辺りを壊滅させていく。なすすべがない。しかし、私は相手の弱点を見切っていた。障子とともに転げ回り相手に銃口を向ける。相手が私に気づくその前に背中のポケットに光線を与える。その衝撃により、阿弥陀如来坐像は動きを止めてもとの仏像へと姿を戻した。
3.帰還
「今日の戦果は?」
「はい。金が650g、銀が1180g、その他金属が4583gです。」
「金像は本物か?」
「金と銅でできていました。」
「メッキか?」
「はい。」
「課長へ報告。」
「承知しました。」
私は更衣室でスーツに着替えた。これから取引先の方と会う。今月中に仕入れた金属類の内、数%まで取引できるだろうか。それをこれから決めるのであった。
4.仕事終わり
20XX年。世界は金属を欠乏していた。それは数年前に飛来した地球外生命体が地球上の金属に寄生し、人間を襲い始めた。人間たちは最初は戸惑いながらも、この事態に適応し、地球外生命体の排除と奪われた金属類の回収を決意した。現在、私は民間の金属回収会社に勤めている。その後、地球外生命体に寄生された金属類はその金属的性質に変化が起き、多種多様の粒子的作用をもたらすことが分かった。人間たちは、これを知り、こぞって地球外生命体に寄生された金属類の回収を目論んだ。それと同時にある程度、地球外生命体の存在を確保し、それが生み出す超金属を再生産することを目指した。もともとはそれら超金属の再生産と回収は国家の事業であったが、超金属の生産量が安定し、希少価値もなくなり、超金属工業が普遍化されると超金属の再生産と回収は民間にも卸されることになり、今では、超金属生産業者の数は軒並み増えている。そして、それらの再生産と回収はVR技術を使い行われるようになった。それは21世紀初めの人々が見たらゲームマニアのようであるのかもしれない。